陽縒

ねこがすきです

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最近の記事

眠れないとき

眠れないとき、わたしは、布団の中で空想する。 例えば、今わたしは、とても高い橋の欄干の上で、今にも落ちそうなところをぎりぎり保っている。体を真直ぐにして、「きっと少しでも身動ぎしようものなら真っ逆さまだぞ」と自分を脅して。このまま少し右を向いて仕舞えば、わたしは暗い川へ落ちて行き、そのまま眠りについて仕舞えるのかもしれない。朝が来たら陽光に誘われて川の底からぷっかりと浮かび上がってくるのかも。もしくは、深く深く沈んで二度と目を覚まさないのかも。このまま左を向いてしまえば、わ

    • どうか、しあわせに

      美術室で会った。あの人は、綺麗な青空と、子どもたちの遊ぶ公園と、初夏の緑を、とても丁寧に描いたキャンバスの前に立っていた。すると徐に目の細かいヤスリを手に取り、削り始めた。一体どうしたのかと驚いて、次に、もったいないと小さじ1杯程度の悲しみが広がった。一滴だけ、涙が零れた。 「狐の嫁入りっていうんだよ。」 振り返ったその人は言った。穏やかな、優しい表情だった。確かに、削られて霧がかかったように霞んだ景色は、天気雨に見える。 「あまりに細かい雨が降るとね、この世界の綺麗な

      • 年末年始・帰省の記録

        ストーブに近づきすぎた毛の長いねこがしっぽを焦がすかおり 祖母が言う「苦がつかないよう9避けて」今年も砂糖醤油でいただく 踏みそうな足まで届く袖重くこどもでいたいと駄々をこねたり 「なんだっけ」最近増えたと気づいたらなんだかとても泣きたくなるの コトコトの草履はリズム、高い声、ウィンドバンドがひっくり返る 20歳になりました。大人にならなきゃいけません。振袖は寒かったけど、こんなに綺麗なお着物を着る機会なんてもう無いだろうし、母の嬉しそうな顔を見たら、「20歳までが

        • ひさしぶりの握手 ハードグミくらいの君の手

        眠れないとき

          欠伸の意義を

          (…)ここに安らぎなどない (……)明らかな瑕疵こそ、愛されるべきなのだ 整数解として求められることに 本当は注目すべきでないのだらう 二項対立は、そうではない じつと、見つめて居れば 輪郭などは幻覚なのだと解る (…)少し懶惰であつてみやう (……)吾の内臓は仕事を辞めない 抜けた髪の一本や 少し噛んでしまつた舌にこそ 孤独を見出したのならば それはヒトを成している (…)ならば暫し荏苒と、 (……)……………

          欠伸の意義を

          帰り道に聞こえた鈴虫の鳴き声と、救急車のピーポーという音が、リズムとかタイミングとかが妙に合っていて、なんだか笑ってしまいました。

          帰り道に聞こえた鈴虫の鳴き声と、救急車のピーポーという音が、リズムとかタイミングとかが妙に合っていて、なんだか笑ってしまいました。

          courtship

           あるところに、薄暗い部屋の隅に、壺が置いてあった。土間の中、窓からの光が、ちょうどすれすれに当たらない場所に。小綺麗な装飾が施された壺だが、寄って見てみると、その柄の、可愛らしいお花の金メッキが剥がれかけている。土の上に裸に置かれているからか、その足元は泥だらけだった。  誰かが戸を開けたままにしておいたせいだ。大きな鷲が入ってきた。鋭い賢さが窺える眼球がぎろりと光り、立派な翼は土埃をたてる。部屋の中を、探偵のように、或いは強盗のように、隅々まで見渡している。  すると、

          Thinking of a black cat

          Because I could not stand to be solitary I was thinking of a black cat He is the one I see frequently in the twilight; it is his habitat His gold eyes twinkle like stars in much lower sky Its flicker charms our hearts I oft stop my steppi

          Thinking of a black cat