【小説】木漏れ日は揺れるのか。【第一章】
木漏れ日揺れる、木の葉の影揺る階段教室。
5限、確率学物理論の講義にて。
フラフラとわたしの眼前に現れたその小さなモスキートに対し、蒲公英の綿毛を吹き飛ばすかのようにそっと息を吹きかけると、朝方まで新宿で飲んでいたわたしのボロ雑巾のような残念なその吐息に、モスキートはより一層フラフラと、もはや「ふわふわ」にも似た所作で、階段教室の上の方へと浮いていき、小さな換気口へと吸い込まれて行った。
定かではないが、わたしの隣でいびきをかきながら机に突っ伏したままの木島もまた酒の臭い