【自分でできる】不貞慰謝料請求のやり方~損をしないで慰謝料をゲットする~
※この記事では、弁護士に依頼しなくても慰謝料請求ができるように、書面や訴状の例をダウンロードできます※
【書式 更新履歴】
①書式 慰謝料請求の内容証明郵便の例
②書式 慰謝料請求の内容証明郵便の例 ※手書き用
③書式 示談書の例
④書式 示談書の例 ※手書き用
⑤書式 損害賠償の訴状の例
こんにちは、地方在住弁護士です。
芸能人の不貞の騒動が話題になっています。
普段の相談でも、
不貞(浮気、不倫)を理由に慰謝料請求をしたい、
という相談が多いです。
その相談の中で、
どれくらいの金額が慰謝料として認められるか
や、
具体的にどうやって請求するのか、
といった質問がとても多いです。
そこで、
不貞による慰謝料請求のやり方
について書きたいと思います。
※内容証明の手紙の例や、示談書の例を、最後の章でダウンロードできます。
1 慰謝料請求のパターン
慰謝料請求をするのは、次のパターンに分かれます。
①離婚をしていないが、不貞相手に慰謝料を請求する
②離婚をして、不貞相手に慰謝料を請求する
③離婚をしていないが、不貞をした夫(妻)に慰謝料を請求する
④離婚をして、不貞をした夫(妻)に慰謝料を請求する
このうち、
①離婚をしていないが、不貞相手に慰謝料を請求する
のパターンが、慰謝料請求をするパターンで一番多いです。
今回は、
この①のパターンのやり方や相場
などについて説明したいと思います。
2 慰謝料の裁判の相場
私の経験によれば、裁判で認められる慰謝料の金額の相場は、
200万円を超えるケースは少ない
100万円~150万円前後のケースが多い
だと感じています。
また、平成27年10月から平成28年9月までの1年間に
東京地方裁判所で言い渡された123件の判決のうち、
請求が認めらた95件の判決をまとめた報告によると、
次の結果が出ていました。
「最も多いのが150~199万円である。その次のが100~149万円。次いで、200~249万円、50~99万円となっている。
150万円が概ね中央値となっている。」
※大塚正之「不貞行為慰謝料に関する裁判例の分析(1)37頁
『家庭と法の裁判』2017年7月号
したがって、統計的にも、慰謝料の相場は、
150万円前後
になっているといえます。
ツイッターや離婚のまとめ記事などで、相場は、
100~300万円
などと書かれていますが、
これは、不正確です。
離婚をした上で、不貞をした夫(妻)に対して慰謝料請求
をしたケースも含まれているため、金額が実際よりも高めになってしまっていると考えられます。
3 どのような事実があればいいか
慰謝料の額を決めるにあたって、次の事情などが考慮されるようです。
・不貞をしていた期間
・不貞の回数
・病気の発症(うつ病や不眠症など、不貞の影響により心身症状が生じていたかなど)
・不貞相手の妊娠や出産
・婚姻期間(自分が不貞をした結婚相手と結婚していた期間)
・不貞前の結婚状況(不貞発覚前の家庭生活は円満だったか)
(1)不貞をしていた期間
不貞をしていた期間が長ければ長いほど、不貞の回数が多ければ多いほど、精神的な苦痛の程度は大きい
といえるため、
慰謝料の金額が増える、
ということになります。
(2)病気の発症
不貞の影響でうつ病や不眠症になっていれば、
それだけ精神的苦痛が大きい
と主張することができます。
(3)不貞相手の妊娠や出産
不貞相手が妊娠したり、出産したりしていれば、
不貞のみならず、子どもまで作ったということで、精神的苦痛が大きい
といえます。
(4)婚姻期間
結婚していた期間が長かったり、家庭生活が円満であったのであれば、
不貞により平穏な家庭生活を破壊したとして、やはり精神的苦痛が大きい
ことを示すことができます。
4 どのような証拠があればいいか
上の事情が存在することを、証拠により明らかにする必要があります。
・不貞をしていた期間・不貞の回数
→メールやLINEメッセージなどのスクリーンショット
不貞を認める結婚相手の発言の録音
ラブホテルなどの密室に一緒に入る様子の写真 など
・精神的苦痛の程度
→うつ病や不眠症などの診断書 など
(1)メールやLINEの内容の注意点
不貞相手との単なる日常会話的な内容のメールでは役に立ちません。
メールでは、性的な関係をうかがい知ることができる内容、
例えば「昨日は気持ちよかったね(ハート)」、「愛している」といった内容でなければならないということです。
さらに、
いつ、誰が送ってきたメールなのか、分かるようにスクリーンショットを撮る(証拠として保存する)
必要があります。
いつ、誰から送られてきたメールか分からないと、証拠としての価値は半減してしまいます。
(2)夫(妻)の不貞を認める発言
不貞を問い詰めると、不貞をしていた夫(妻)は、
あっさり不貞を認める発言をする
ことが意外に多いです。
しかし、
その後で、やっぱり不貞をしていない、などと自分の発言をくつがえすことも多いです。
そのため、後で言い逃れができないように、問い詰めるときは、
スマホなどで録音
して証拠化するようにしましょう。
(3)病気を発症した場合
うつ病や不眠症などの診断書があれば、裁判所に対して精神的な苦痛の大きさ立証することが可能になります。
これらの証拠をそろえて、上で説明した事情の存在を立証していくことになります。
5 証拠を保存する
前にツイッターでも紹介したように、不貞をした夫(妻)は、
不貞を繰り返すことがあります。
そのため、今、慰謝料請求をしなくても、後でする可能性があるため、
証拠は絶対に消さないようにしましょう。
夫(妻)がまた不貞をしたのでやっぱり慰謝料請求したい、
というときに、証拠を消してしまったことを後悔される方をよく見ます。
また、証拠を無くしてしまう、という方も多いので、
金庫に入れたり、貴重品置き場にまとめて置いておくなど、
無くさないように、しっかり保管しておきましょう。
LINEメッセージは、ふとした拍子に消えてしまうことがあるため、上の手順でしっかり保存しておきましょう。
6 スマホを要チェック
別の記事で、
スマートフォンがきっかけで不貞がバレるケースが多い
ことを書きました。
つまり、
スマホは証拠の宝庫
だといえます。そのため、
不貞をしている夫(妻)にバレないように、
スマホをから証拠を集めましょう。
LINE、カカオトーク、メール、Gmail、ショートメール・・・
色々とあります。
ロック画面を解除しなければなりませんが、
ロックを解除できたら、
上のアプリを開いて証拠を探しましょう。
性的な関係が分かるようなメッセージや画像を見つけたら、
自分のスマホで写真を撮りましょう。
メッセージや画像がたくさんある場合は、
スクロールしながら動画を撮影しましょう。
6 慰謝料請求の流れ
(1) 全体の流れ
慰謝料請求は、次の流れで行います。
①慰謝料を請求する手紙を作成し、郵便局で発送する
→交渉が成立すれば示談する(慰謝料を指定した口座に送金してもらう)
↓
②返答がない場合は、裁判を起こす
↓
③判決
→判決で命じられた慰謝料を、指定した口座に送金してもらう
↓
④判決を得ても相手が支払わない場合、強制執行(預貯金や給料の差押え)を行う
以下で、内容証明や示談書の文例をダウンロードできます。
(2) 手紙の発送
ア 内容証明郵便の場合
内容証明は、出し方に特別なルールがあります。出し方のルールは、次のリンク先に書いてあります。
内容証明郵便の書き方にも細かなルールがあるのですが、
そのルールにしたがった編集可能な文例をUPしました。
※内容証明郵便の文例(編集可能)は最後の章でダウンロードできます。
これを自分なりに書き換えて、郵便局で発送しましょう。
イ 配達証明郵便の場合
内容証明を細かなルールがある内容証明郵便を出すのが面倒なら、
配達証明郵便により発送する方法もあります。
これも郵便局で出します。
この方法でも、相手に手紙が届いた日付の記録が手元に残りますので、後で役に立ちます。
ウ 特定記録郵便(レターパック)の場合
内容証明郵便や配達証明郵便は、
相手が届け先にいて受け取らなければ、戻ってきてしまいます。
どうしても受け取ろうとしない相手に対しては、
特定記録郵便(レターパック)で送るといいでしょう。
レターパックなら、相手のポストに手紙が入ったか(届いたか)どうか追跡することができます。
(3) 示談書の作成
相手と慰謝料の金額について折り合いがついた場合、
示談書を取り交わすことが多いです。
これは、後から紛争の蒸し返しを防止したり、不貞があった事実を明確にするものです。
※示談書の文例(編集可能)は最後の章でダウンロードできます。
(4)訴状
交渉をしても相手方が慰謝料を支払わない場合は、
裁判を起こさざるを得ません。
訴状を作って裁判所に提出しましょう。
※訴状の文例(編集可能)は最後の章でダウンロードできます。
7 できるだけ高い慰謝料を手に入れる方法
裁判になってしまうと、
慰謝料の相場はグッと下がってしまいます。
そのため、
交渉の段階で、早く示談を成立させ、
慰謝料を手に入れるようにするのが望ましいです。
交渉に時間をかけてしまうと、
相手が弁護士に相談して対策を立ててしまい、
高額の慰謝料をもらうことが難しくなってしまいます。
したがって、次の流れで交渉を行うといいと思います。
①手紙(内容証明郵便)を発送する
↓
②慰謝料を払う内容の返答がある
↓
相手が提示した金額が、
③-1
150万円以上を、一括で払う内容なら、示談する
③-2
150万円未満なら、増額を求めるように交渉を続ける
↓
④150万円未満の金額より、少ない金額しか提示されない場合、裁判を起こす
150万円以上の金額を一括で払う内容なら、
仮に裁判を起こしても確実に150万円をもらえるか不確定ですし、
裁判を起こせば、費用や労力がかかるため、
示談してしまった方が、トータルで得だと思います。
一方、
150万円未満の金額しか提示されなかったり、
150万円以上の金額でも、分割であったりする場合は、
交渉を継続した方がいいでしょう。
特に分割である場合、
途中で支払いが止まる可能性
もあるため、
少なくとも100万円はまでは一括で支払ってもらいたいところです。
ですが、それでも金額が上がらない場合は、
腹をくくって裁判を起こす、
という判断もありえるでしょう。
8 相手にお金がなかった場合
いざ交渉や裁判をやってみると、
相手に慰謝料を払うお金がないことが分かる
ことがあります。
また、不貞相手の親のお金をあてにすることも法的にはできません。
このように、相手にお金がない場合、
相手が嘘を付いている可能性を除けば、
運が悪かったとしかいいようがありません。
こちらが赤字にならない金額を回収して、
夫(妻)との接触禁止を約束させて、終わらせるのが賢明です。
9 やってはいけない交渉方法
(1)不貞相手のプライバシーを侵害すること
よく相手の職場に不貞をしたことを連絡したい、
という相談があります。
不貞相手が職場にいる場合によくあるケースです。
しかし、
相手から、逆にプライバシー侵害や名誉毀損で、
損害賠償請求を受ける可能性があります。
そうなると、
かえって得られるお金が減ってしまいます。
したがって、
怒っても、不貞相手の職場への連絡は、ぐっとこらえるべきです。
(2)不貞相手の家族を巻き込む
不貞相手の実家に連絡して欲しい、
という要望を受けることがあります。
しかし、これも職場への連絡と同様に、
相手から、逆にプライバシー侵害や名誉毀損で、
損害賠償請求を受ける可能性があるため、
かえって得られるお金が減ってしまうおそれがあります。
したがって、実家への連絡も控えるべきです。
9 弁護士費用や探偵費用は回収できるか
弁護士や探偵に依頼したときにかかった費用を、慰謝料請求のときに上乗せできるのか、という相談をよく受けます。
残念ながら、
弁護士費用や探偵費用を100%上乗せすることは、
裁判例上、認められていません。
裁判で認められるのは、
裁判で認められた損害額(慰謝料額)×10パーセント
です。
例えば、慰謝料が150万円認められた場合、
弁護士費用は、15万円で、
合計で145万円(150万円+15万円)
の損害賠償が認められることになります。
したがって、
たくさん弁護士費用や探偵費用をかけても、裁判になってしまった場合、「認められた慰謝料の金額×10%」だけになってしまいます。
費用のかけすぎには注意が必要です。
10 弁護士や探偵に依頼すべきか
上で説明したように、
裁判になったときの慰謝料の相場が150万円前後だとすると、
弁護士や探偵に依頼した場合、
赤字になるか、ほとんどプラスで得られるお金がない
ことになる可能性が一定程度あると考えられます。
そのため、
まずは自分で慰謝料請求をやってみて、
裁判を自分で起こすことが大変だったり、証拠を自分だけで集めるのは限界があり、
かつ、
どうしても不貞相手に夫(妻)との不貞を止めて欲しい場合は、
弁護士や探偵に依頼した方がいいでしょう。
11 まとめ
以上のノウハウをまとめると次のとおりです。
☑ 裁判になる前の、交渉段階で示談するのが望ましい
☑ 不貞の回数などが分かる証拠をしっかり収集する
☑ 探偵費用などのかけすぎには注意する
自分で慰謝料請求をしたい方は、実践してみるといいかと思います。
それでも、もし自分は分からないことがあれば、やはり専門家である弁護士に相談された方がいいでしょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
無事、示談が成立し、慰謝料が払われることを祈っております。
※以下で編集ができる手紙などの文例をダウンロードできます。
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