神社でマーケティングを始めた結果と分析(R42月)
現在國學院大学2年の山名隆晃と申します。
神社でマーケティングを始めて1ヶ月経ち、明らかになった事実や、新しく出た仮説をまとめ、共有、フィードバックを頂けたらなと思い投稿に至りました。
※以下で用いる営利的な用語は経営面から神社を捉えたものであり、神社の目的は神道教化、神宮大麻の増体、伝統文化の継承だと考えています。
インスタ
ホームページ
公式LINE
始めた経緯
このままだと、100年後の収益は約270万(現在の1/3)になり、神社を専業で経営できないことが分かった。
2022年1月、実家の神社の受付業務を担当しました。
申込の集計を取った際に、昨年2021年から申込数が1,562件→1,428件へと134件減少していることに気付きました。
人口減少による参拝者減少に伴い、申込数が減っていくだろうという予想はできていましたが、具体的な数字を見て危機感を覚えました。
「このまま減少すると5年後、10年後、100年後には何件減少するのだろう」と思い、過去14年間の申込数と初穂料の推移をまとめ、年平均減少率を算出。
減少率は、「0.992」。一見大した減少率ではないように思われますが、5年後は1285件、10年後は1157件、100年後は174件です。
来年以降、収益を維持・増加するためには、今年は最低11件新規で正月の申込を増やさなければなりません。
現状の収益構造とこれまでの取り組み
氏子数と立地
実家の神社は、氏子数が約500件程の中規模に該当する神社であり、立地としては駅から車で10分、バイパス道路から5分です。
収益
約8割が三が日と初音祭(はつね)と言われる特有のお祭り。それ以外の月の申込数は少ないので記録していない。
御朱印数は年間約2,200。
これまでの取り組み
SNS運用は、特に行っておらず、時々神主(54歳)が祭事をSNSで告知している。
マーケ施策案(R42月時点)
2つの大きなカテゴリでまとめ、施策を考えました。
SNS運用
目的
「日常的に参拝したことがない方に来て頂く」ターゲット
パターン1 昼休憩 12:30~
40歳女性、昼休憩にママ友とインスタを見ながらTLを見ていたら、今週末にお祭りが神社で行われることがわかった。近場だから一緒に行ってみることになった。
パターン2 帰宅電車途中 19:00~
日中は仕事に励んだこともあり、電車で座った時にどっと疲れが出てきた。何気なくインスタを開くと、自然豊かな写真と1日の疲れを癒す投稿で少しばかり回復した。次の週末には実際にその自然を体感したいと思った施策
潜在的な参拝者の日常に投稿の閲覧を習慣付ける。
①決まった時間に各媒体で投稿
上・中旬は昼と夜の2投稿をしていた。下旬から余裕ができ、朝は太鼓を叩く動画、昼は境内の写真、夜は人気のある御朱印の写真を投稿している。
②神社に関する簡単な問題を出し、ユーザーとコメント欄で会話する
コンテンツ化
目的
「伝統文化や建造物を学習コンテンツや体験型学習としてパッケージにし、参拝する前に神社でできることとしてイメージしやすいものにする」
ターゲット
パターン1
・いわき市平に住む結婚した男性43歳。普段、御朱印集めなどはしない。平日は仕事で忙しく、子供を連れて出かけることはできないが、月曜日インスタで見かけた盛り塩作り体験の投稿を見て、週末家族で行ってみることにした。
パターン2
いわき市勿来に住む女性28歳。仕事の昼休憩にママ友と話していたら、財布に小さな和風の小袋が入っていた。「それ何〜?」と聞くと、どうやら自分で塩を作ってきたらしい。「家にある盛り塩が崩れてきてしまったから、今度行こうと思うんだ。一緒に行く?」とママ友。子供も連れて行くことにした。
施策
①月替わりの手書き絵付き御朱印
②公式LINE活用による神社探検
境内を散策しながら歴史を学べる
③「大黒様の塩作り」
日本で唯一自分だけの盛り塩、守り塩を作れる
結果
参拝者数
日中お参りに来る人が増えた
御朱印
昨年度、月の御朱印数が少なく数えていなかったため、前年比は出せなかった。
神主体感は「+20枚くらい」。合計229枚を授与した。
ご祈祷件数
+ 2,3件 問い合わせが少し増えた
SNS運用
・インスタ、GMB(マイビジネス)でのインサイトが増加
ホトカミのいいね数やFacebookのインサイトは変動なし
・フォロワー60人→800人
・インスタを楽しみにしているという女性グループが参拝している
コンテンツ化
・公式LINEは既にリリース。境内でのポスターやチラシをまだ設置していない。
・「大黒様の塩作り」は企画中
分析
どの媒体を見た時でも、神社の情報が整理されていて、足を運びやすいコンテンツで溢れていることがが大事なのでは
フォロワー数はバニティメトリクス
神社に足を運んで頂く割合と、鎮座する市周辺の方に見て頂く方を増やすことを重視
周期的に足を運ぶことができる、月替わりテーマを持つ体験型コンテンツがキーなのでは
まず参拝して頂くことが大事だが、同時にご祈祷の申込も訴求していく。
その他
「他の神社の氏子を奪ってしまう」という考えは、神社の独善的なものなのでは
神道について非常に浅学ですが、文化は人々が中心であって神社が主体ではないと考えています。
なので、人々がどの神社を参拝するかという選択するという事柄を、「奪う」等の自社を中心として部分的に捉えるのではなく、全体として神道文化の教化活動を促すと捉えるべきだと思います。
伝統文化を継承し、新しい伝統文化を作る
屁理屈かもしれませんが、「古くから」というのは現在から見たものであり、現在もまた未来から見ると「古く」に該当するため、時間軸に捉われず取り組むことが創造的な社会になると思います。
ex) 夏詣
しかし、新しく文化を作ると同時に、既存の文化が異なるものになってしまわないように、気を付ける必要がありますね。
申込システムも進めています….
業務の負担を軽減し、かつ参拝者の申込を再度しやすい独自システムを開発しています。(react, firebase)
まずは実家の神社で検証し、事業化を考えています
最後までお読み頂きありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?