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神社でマーケティングを始めた結果と分析(R42月)

現在國學院大学2年の山名隆晃と申します。

2019年 正月の紙媒体による受付業務を担当
→非効率を感じ、3ヶ月かけてiOSアプリ開発
2020年 他神社にも申込が可能であったため、反対意見が多数
→ アプリは断念、スプレッドシートで500人以上の名簿を作成
2021年 紙媒体とデータベースの業務フローが衝突
→ 紙媒体だけの時より非効率になった
2022年 申込情報をクラウド上に保存する独自システムを開発中

これまでの取り組み

神社でマーケティングを始めて1ヶ月経ち、明らかになった事実や、新しく出た仮説をまとめ、共有、フィードバックを頂けたらなと思い投稿に至りました。
※以下で用いる営利的な用語は経営面から神社を捉えたものであり、神社の目的は神道教化、神宮大麻の増体、伝統文化の継承だと考えています。

インスタ

ホームページ

公式LINE



始めた経緯


このままだと、100年後の収益は約270万(現在の1/3)になり、神社を専業で経営できないことが分かった。

2022年1月、実家の神社の受付業務を担当しました。
申込の集計を取った際に、昨年2021年から申込数が1,562件→1,428件へと134件減少していることに気付きました。

人口減少による参拝者減少に伴い、申込数が減っていくだろうという予想はできていましたが、具体的な数字を見て危機感を覚えました。

「このまま減少すると5年後、10年後、100年後には何件減少するのだろう」と思い、過去14年間の申込数と初穂料の推移をまとめ、年平均減少率を算出。

減少率は、「0.992」。一見大した減少率ではないように思われますが、5年後は1285件、10年後は1157件、100年後は174件です。
来年以降、収益を維持・増加するためには、今年は最低11件新規で正月の申込を増やさなければなりません。


現状の収益構造とこれまでの取り組み

氏子数と立地

実家の神社は、氏子数が約500件程の中規模に該当する神社であり、立地としては駅から車で10分、バイパス道路から5分です。

収益

約8割が三が日と初音祭(はつね)と言われる特有のお祭り。それ以外の月の申込数は少ないので記録していない。
御朱印数は年間約2,200。

これまでの取り組み

SNS運用は、特に行っておらず、時々神主(54歳)が祭事をSNSで告知している。


マーケ施策案(R42月時点)

2つの大きなカテゴリでまとめ、施策を考えました。

SNS運用

  • 目的
    「日常的に参拝したことがない方に来て頂く」

  • ターゲット
    パターン1 昼休憩 12:30~
    40歳女性、昼休憩にママ友とインスタを見ながらTLを見ていたら、今週末にお祭りが神社で行われることがわかった。近場だから一緒に行ってみることになった。
    パターン2 帰宅電車途中 19:00~ 
    日中は仕事に励んだこともあり、電車で座った時にどっと疲れが出てきた。何気なくインスタを開くと、自然豊かな写真と1日の疲れを癒す投稿で少しばかり回復した。次の週末には実際にその自然を体感したいと思った

  • 施策
    潜在的な参拝者の日常に投稿の閲覧を習慣付ける。
    ①決まった時間に各媒体で投稿
    上・中旬は昼と夜の2投稿をしていた。下旬から余裕ができ、朝は太鼓を叩く動画、昼は境内の写真、夜は人気のある御朱印の写真を投稿している。
    ②神社に関する簡単な問題を出し、ユーザーとコメント欄で会話する


コンテンツ化

  • 目的
    「伝統文化や建造物を学習コンテンツや体験型学習としてパッケージにし、参拝する前に神社でできることとしてイメージしやすいものにする」

  • ターゲット
    パターン1
    ・いわき市平に住む結婚した男性43歳。普段、御朱印集めなどはしない。平日は仕事で忙しく、子供を連れて出かけることはできないが、月曜日インスタで見かけた盛り塩作り体験の投稿を見て、週末家族で行ってみることにした。

    パターン2
    いわき市勿来に住む女性28歳。仕事の昼休憩にママ友と話していたら、財布に小さな和風の小袋が入っていた。「それ何〜?」と聞くと、どうやら自分で塩を作ってきたらしい。「家にある盛り塩が崩れてきてしまったから、今度行こうと思うんだ。一緒に行く?」とママ友。子供も連れて行くことにした。

  • 施策
    ①月替わりの手書き絵付き御朱印
    ②公式LINE活用による神社探検
    境内を散策しながら歴史を学べる
    ③「大黒様の塩作り」
    日本で唯一自分だけの盛り塩、守り塩を作れる



結果

  • 参拝者数
    日中お参りに来る人が増えた

  • 御朱印
    昨年度、月の御朱印数が少なく数えていなかったため、前年比は出せなかった。
    神主体感は「+20枚くらい」。合計229枚を授与した。

  • ご祈祷件数
    + 2,3件 問い合わせが少し増えた

  • SNS運用
    ・インスタ、GMB(マイビジネス)でのインサイトが増加
    ホトカミのいいね数やFacebookのインサイトは変動なし
    ・フォロワー60人→800人
    ・インスタを楽しみにしているという女性グループが参拝している

  • コンテンツ化
    ・公式LINEは既にリリース。境内でのポスターやチラシをまだ設置していない。
    ・「大黒様の塩作り」は企画中


分析

  • どの媒体を見た時でも、神社の情報が整理されていて、足を運びやすいコンテンツで溢れていることがが大事なのでは

  • フォロワー数はバニティメトリクス
    神社に足を運んで頂く割合と、鎮座する市周辺の方に見て頂く方を増やすことを重視

  • 周期的に足を運ぶことができる、月替わりテーマを持つ体験型コンテンツがキーなのでは

  • まず参拝して頂くことが大事だが、同時にご祈祷の申込も訴求していく。


その他

  • 「他の神社の氏子を奪ってしまう」という考えは、神社の独善的なものなのでは

神道について非常に浅学ですが、文化は人々が中心であって神社が主体ではないと考えています。
なので、人々がどの神社を参拝するかという選択するという事柄を、「奪う」等の自社を中心として部分的に捉えるのではなく、全体として神道文化の教化活動を促すと捉えるべきだと思います。

  • 伝統文化を継承し、新しい伝統文化を作る

伝統とは、信仰、風習、制度、思想、学問、芸術などの様々な分野において、古くからの仕来り・様式・傾向、血筋、などの有形無形の系統を受け伝えることをいう。

weblio

屁理屈かもしれませんが、「古くから」というのは現在から見たものであり、現在もまた未来から見ると「古く」に該当するため、時間軸に捉われず取り組むことが創造的な社会になると思います。
ex) 夏詣
しかし、新しく文化を作ると同時に、既存の文化が異なるものになってしまわないように、気を付ける必要がありますね。

  • 申込システムも進めています….
    業務の負担を軽減し、かつ参拝者の申込を再度しやすい独自システムを開発しています。(react, firebase)
    まずは実家の神社で検証し、事業化を考えています


最後までお読み頂きありがとうございました。


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