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hamahouse
恋が終わるとき
去ってゆこうとする彼女に、僕は何と言葉をかければよいのか、さっきから考えあぐねていた。
「私たち、初めから間違っていたんだわ」
昨夜、そう言って彼女は泣いた。
そんなことはない、と僕は答えられなかった。
ただ黙り込んだ。
寝室へ向かう彼女の小さな背中を抱きしめることもできなかった。
終わりに近づいている二人の関係を、修復できる方法はもうないのだろうか。
彼女の言うとおり、僕たちが積み重ねてきた過去は全てが間違いだったのだろうか。
思い出そうにも、二人が出会った頃の記憶すら覚束ないことに僕は愕然とする。
僕たちはどのように恋に落ちたのだったか。
どのように見つめあい、どんな言葉を語り合い、どんな風に愛し合ってきたのだったか。
気持ちは風化するものなのだろうか。
それとも、枯れてゆくものなのだろうか。
さよなら、と言った彼女の横顔は、何だか僕の知らない人のものに見えた。
ああ、僕はもう、すでに彼女の笑顔さえ思い出せなくなっている。
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