映画『怪物』を観て（ネタバレあり）

先日、映画『怪物』を観てきた。

これは絶対にネタバレなしで観た方が良い映画だと思った。

と言うことで、ここから感想を書こうと思うが、ネタバレを含むので、まだ観ていない方はお気を付け下さい。

母親。先生。子ども。
一つの出来事が3つの視点で語られる。
視点が変わるだけでこんなにも見え方が変わるのかと驚いた。
母親のパートではとんでもない教師に見えた先生が先生の視点になった途端にその違和感に気付く。
あれ？　この先生、こんなんだったっけ？
そこで明かされる事実に驚いたところに、子どものパートになり更に驚く。
真実がどんどんと塗り替えられていく。
『怪物』と言うタイトルから観客はどうしても「怪物」を探してしまう。
この人が怪物なのか。いや、この人か。それともこの子が？
しかし、観終わって感じたことはひとつ。
怪物なんていなかったのでは？
そもそも「怪物」って一体何なんだろうと怪物の意味を考えてしまった。
ラストシーンは様々な解釈が出来ると思う。
これはハッピーエンドなんだろうか、バッドエンドなんだろうか。
美しい光の映像を観ながらそう思ってしまった。

観終わった後、「面白かったね」と笑える楽しい映画ではない。
でも、様々なことを考えさせてくれる良い映画だった。
また、映画の内容だけでなく、子役の2人を含めてキャストの演技が素晴らしかった。
誰一人その演技に違和感を感じることがなく、物語の世界に入り込むことが出来た。
もう一度観ると1回目では気付かなかったところが分かるだろう。
でも、1回目ほどの衝撃はないんだろうなと思うと知ってしまったことを残念に思う自分がいる。
記憶を消して見たい作品なんて言葉を以前耳にしたことがあるが、この映画もその一つなんじゃないだろうか。