誰かのペース
私は食べるのが遅い。
家族で外食に行ってもいつも1番最後に食べ終わる。
そんな私が忘れられない出来事がある。
小学校低学年の夏休み。
父方の祖父母の家に里帰りしていた時のこと。
夕食時。
1人食べ終わり、2人食べ終わり、
みんながとっくに食べ終わっているのに私だけがまだ食べていた。
そんな私を祖父はじっと見つめていた。
私はドキドキしていた。
正直言って食べることが遅いのは私のコンプレックスだった。
怒られるのかな……。
そう思っておずおず祖父を見ると祖父は言った。
「〇〇ちゃんはよく噛んで食べるんだね。ええこっちゃ」
ニコニコ笑いながら。
そうして、「ゆっくりお食べ」と言ってくれた。
私はとても嬉しかった。
自分のペースを認めてもらえたことがとても嬉しくて、今でもしっかりとその時のことを覚えている。
私は食べるのが遅い。
だからこそ、待ってもらえる嬉しさを知っている。
だからこそ、誰かのペースを守る大切さを知っている。
自分のペースを認めてもらえることは、きっと誰かのペースを認めることに繋がっているのだと私は思う。
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