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#17 世襲

ポイです
夕暮れ時の散歩が気持ちいい季節になってきました
ローヌ川を渡る橋の上からの写真
夜21時になってようやく暗くなります


社長の息子


BIgBOSS Tさんが独立の為退社したあと
多忙な毎日でも充実していた感じでした
20年近くもこの仕事をしていた訳だし
独立ということもあってTさんの退社は円満退職
Tさんお疲れ様でした

8さん飲酒の乱の後
秋口だったと思う、休憩中のOさんとポイにやってきた店長が

店長「えーとね、今度接客で新しい人来 
   るんだけど、社長の息子だから」

Oさん「え?そんなの関係ないでしょ、
   社長の息子だから特別扱いしろっ
   てこと?」

ポイ「言うと思った」

店長「いやいや、そんな事はないけど、
  一応言わないとさ次期社長だから」

一同 「え!社長引退?」

年齢を考えて引退を決めて
息子が社長になる前に1番大きい店舗で経験をしておけとの事らしい
それまでは代理で部長が社長に就任
ぶっちゃけ現場には関係ないと自分の中で思ってましたが、関係どころか崩壊を招く発端でした

下っ端なポイには社長と会う機会なんて2度しかなく、アルバイトが社員になってそれなりの責任を持ったものの
特に接点があるわけでもなく
嫌味な部長が絡んでくる程度です

元々Oさんがいた店舗の人達とポイ達は
接点が多く良い関係であり
仕事とプライベート両方で交流したり
2店舗でOさんを筆頭にしてグループのような関係性で、誰かが病欠、怪我、などがあればヘルプに向かうなど
強い繋がりがありました
息子が入ってきたときに、その息子がしたことで10人もの従業員が辞めることになるなんて想像も出来なかったです


就任


半年ほど経ってから息子は新社長に就任

その頃業績を考えた上で
調理部門に変化を起こすと言う話を新社長から聞いたとOさんから説明をされました

Oさん「息子、調理部門テコ入れするら
 しくて新しい奴引っ張ってくるって」

ポイ「こっちにですか?」

Oさん「いや、まずは新宿三丁目からら
 しいよ、歌舞伎町は俺いるから大丈夫
 って、色々と意味わかんねぇって文句
 言ったけど」

8さん「どんな立場で入るんですか?
  つーか何やりてぇんだ息子」

Oさん「なんかおかしいね、あんまりお
  かしいならこっちも考えるけど」

ポイにはなんとも言えないような
不穏な感じが続いたある日


いきなり終了

その日は出勤時間が11時と遅めで
すでに店はオープン直前の筈なのに
閉まってて、店長は電話しっぱなし
他の早番の接客の人らは動揺してなんにも手がつかず

ポ「おはようございます….なんですか?
 なんでオープンしてないんですか?」

接客「いや、なんていうか、その」

Oさん「あー、いいからこっちで話すか
 ら、ポイくん!もう仕事しないよ!
 やらないよ、あの2代目呼んだから上
 で待っててよ」

8さん「ポイ、もうだめだわ2代目、み
  んなで話してなもうやらないって決
  めたんだわ、お前残りたいんだった
  ら残っていいぞ」

ポイ「その話に参加してない!いきなり
   なんすか?何が起こったの!?」

なんかみんなハンバーガー買ってきて食べてるしもう訳がわからない

事のあらましは
2代目が連れてきた奴は料理長候補
既に三丁目の店にはTさんOさんと長いこと一緒にやってきた人が料理長やっていたが、2代目は不満だった
閃いた2代目は人脈からその候補を引っ張ってきて、料理勝負実力勝負させて
切磋琢磨、売上向上、勝ったほうが料理長、これは良いアイデア!
と決定して通達
もちろんOさん共々みんな反対したけど
聞く耳持たず2代目押し通す
料理勝負の日程が決まり(日曜日)
社内連絡で通達されてOさんがキレた

ポイ「そりゃだめっすわ、そこで働いた
  こともない関わりもない人がいきな
  り料理勝負して、しかも社長が連れ
  てきたってことは料理長にする気だ
  だからでしょ?面談したり会議した
  りじゃなくて2代目の一存でそれ決
  まったんですか?」

Oさん「そう、不満だったかもしれない
 のはわかるよ、でも2代目が決めて連
 れてきた奴は2代目のコネだろ?
 出来レースだよそんなもん」

ポイ「…あんまりにもっすね」

Oさん「ポイくんは?どうする?今いる
 やつはみんな辞めるけど、ポイくんが
 決めていいよ強制はしないよ」

ポイ「ここまでみんなと一緒にやってき
  て、ここまで成長して、自分だけ残
  るって事はできないです、ポイも辞
  めますよ」

8さん「そうか、そりゃそうだよな
  みんなでやってきたもんなぁ」

Oさん「わかった、あとは息子と話そう
  もうやんねーけど」

まだ来ていない面々にもOさんが連絡して全員揃った後、2代目到着

Oさんはシンプルにもう仕事はやらない
8さんはキレすぎて危ない、もう飛びかかりそうでおっかない
Mさんは笑いながらも8さん抑えつつ
2代目を罵倒
ポイ含め若いのはポカーン
とんでもない事態に理解が追いつくわけもなくここで働くことは終わりなんだって思うのみで言葉なんて出てこなかった

3時間ほど対談した後に本日付で
歌舞伎町6名、三丁目4名
計10名の離職が決定
実にあっけない終わり方

その日の予約もあったため系列店舗から人員をかき集め仕事をしている人の横で
僕らは私物の片付けと撤退準備をしていく
後から聞きましたがこれを
「総上がり」と言うそうです

一旦自宅へと戻り
Oさんの呼びかけで新大久保へと全員集まり、慰労会というか説明も兼ねた飲み会を開始

Oさん「みんな、本当にごめんね
   でもこれで良かったと思う!
  引いちゃいけない時ってあると思う
  んだよね!道理に反してまで仕事は
  しなくていいと思うよ、今までお疲
  れ様でした!」

そんな言葉を皮切りにこの面子での飲み会が始まり、各々の気持ち、今までのこと、これからのこと等を話しながら
歌舞伎町での時間は終わりを迎えました


ポイ「全員って言いますけど、ぺーさん
  いないっすよ?誰か連絡しました?
  あの人来なかったですけど」

Oさん「あ!してねぇよ!忘れてた!」

8さん「あの人今日休みだったでしょ?
  それによくわかんねぇ人だし別にい
  いだろ、普段から連絡しねぇし」


本当は終わってほしくなかった
もっと続けて、まだまだみんなと仕事をしたかったし、もっと教えてもらいたいこと聞きたいこともあった
後悔なんてたくさんあるけど
納得は自分の中でしてるけど
感情と理解が追いつかなくて一人自宅で泣いた

最後も普通じゃないと思うし
最初から最後まで刺激的な毎日で
自分を形作った貴重でイカれた大切な思い出だと思う
歌舞伎町ありがとう

今みんなどうしてるかな?
と思いながら執筆、そしてフランスで生きております

ありがとう歌舞伎町
関わった人達に感謝と尊敬を
そしてぺーさん忘れてごめんなさい












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