ライドウ×ライドウ
葛葉ライドウという
キャラクターがいる
女神転生のATLASが出しているゲーム
デビルサマナー葛葉ライドウシリーズの
主人公
大正浪漫というか
帝都物語の登場人物のような
憲兵というか
帝国軍人というか
学生服のようなものを着ていて
学生帽のような帽子をかぶり
切れ長の目に秘めた意志が感じられる
そんな人物
私は彼が好きで
腐女子なので
BL本を漁っていた
ライドウ本には
お決まりの
カップリングというものがあるが
私はメジャーなカップリングではなく
ライドウ×ライドウ
という
同じ人物同士の
組み合わせにハマっていた
詳しくは説明しにくいが
ある時点でのライドウと
別の時間軸のライドウは
独立して存在しており
それぞれ
攻め受けしている
もちろん公式には
全く記されていない
どころか
完全なる
私の妄想だ
私以外に
そんなカップリングを
夢想して
ニヤニヤしている人間は
いないだろうと思っていた
オタクなのでコミケに行こうと思って
カタログを眺めていたら
ライドウ×ライドウ
本を出しているサークルがあるという
興奮冷めやらず
鼻息荒く会場に向かう
ブースには
売り子さんがひとり
彼女が作ったのだろうか
おずおずと聞く
売り子さんは驚いたらしく
自分ではなく
サークル主が作ったのだと
今すぐ呼びますと
手を挙げてサークル主を呼ぶ
まさかこんなカップリングの本を
買いに来る酔狂はいないだろうと
作者も思っていたのかもしれない
私は興奮していたが
作者も興奮しているかもしれない
サークル主が急いてきた
熱に浮かされたような
少し潤んだ目をした
キレイな女性だった
こんなマイナーカップリングの本を
買いに来てくれて
ありがとうございます
いや、マイナーどころの話ではなく
私しか求めていないようなものだ
こちらこそありがたい
かっちり握手した
こういうのが
ソウルメイトというのかもれない
前世で姉妹だったに違いない
私だけの妄想が
私だけのものではないと
気づかされること
広い世界で
ひとりきりで
抱えた想いを
共有できる友
同人誌で繋がった
かけがえのない
同好の志
最近
私は迷っていた
今度出す詩集に載せる
書き下ろしの詩が
形になっていなくて
もがいていた
迷いながら
ライドウ×ライドウ本のことを
思い出す
私が作りたいものを作って
それがたったひとりにでも届くこと
それだけでいいのだ
偉い人に認められるとか
技巧を凝らして見栄えを良くするとか
本当はどうでもいい
人の目を気にして
形だけ整えてどうする
私が書きたいものを書く
私が作りたいものを作る
どこか遠くのあなたへ
届くようにと
好きなものを好きな人へ
届けばいいと
私らしく
私のままで
そのままで
いられるようにと
ライドウ×ライドウは
魂の叫び
世界中で
ひとりしかいない
大切な人へ
愛を込めて