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【詩を食べるレシピ】さくらのことばでほめてあげられたら/桜のティラミス

読むと、気持ちがふわっとやさしくなる詩がある。

忘れていた…あるいは、そもそも持ちあわせていなかった「やさしい目線」を得られるのも、詩のよさの一つなんじゃないかと思う。詩人の目を通して世界を見ると、花びらのようなやさしさを感じとれる。

そういう「やさしさ」の最たるものがこの詩なんじゃないか、と思う詩「さくら」(まど・ みちおさん)を紹介。

さくらの つぼみが
ふくらんできた
と おもっているうちに
もう まんかいに なっている
きれいだなあ
きれいだなあ
と おもっているうちに
もう ちりつくしてしまう

ここまでは、「あるある…」だ。さいきん桜がちらほら咲きはじめているけど、きっといつの間にか散りつくすのだろう。

そしてここからが、詩人のやさしさ。

まいねんの ことだけれど
また おもう
いちどでも いい
ほめてあげられたらなあ…と
さくらの ことばで
さくらに そのまんかいを…

「いちどでもいい/ほめてあげられたらなあ…と」

この詩を読むたびに、何度でもハッとして涙でまつげがうるむ。

昔から、日本人は桜の美しさを和歌に俳句にと詠んできて、名歌もたくさんある。でもそれらはにんげんの言葉でにんげんの機微を好き勝手うたっているのであって、さくらのことばで、さくらのことを褒めているわけではないのだ。そんなことにも気づかなくって、さくらに悪いことしちゃったなぁ…。

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もう見頃を迎えようとする円通寺の桜が、ふるふると震えながら咲いているのを見ながら思った。

今年こそは、「さくらのことば」でほめてあげたい。
さくらの色を、さくらの姿のよさを、風情を。

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桜のティラミスを作る

そう考えながらつくったのが「桜のティラミス」だ。
さくらをほめるなら、ホワホワの甘いものをつくりたい…でも、甘いだけじゃなく、さくらのキリッとした感じや儚さもくわえたい。
そこで、味を重層的に組み立てられるティラミスをつくることに。

マスカルポーネチーズと白あん、そして桜の塩漬け、さらにラムレーズン…この組み合わせがとんでもなくおいしかったので、毎年桜の季節のたびに作ろうと決めた。

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《材料》
・カステラ(市販のもの)
・マスカルポーネチーズ 100g
・白あん(こしたもの)100g
・桜の塩漬け 適量 
・生クリーム 100cc
・砂糖 大さじ1
・桜パウダー (無ければ、粉砂糖などで代用可)
・ラム酒
・干しぶどう

材料は、富澤商店さんなどでそろいます!

かすてらはイオンで購入しました。こういうのです


《作りかた》
前準備…前日から干しぶどうをラム酒につけておく。桜の塩漬けを4,5本、水につけておく。
・マスカルポーネチーズと白あんをねりあわせ、刻んだ桜の塩漬けをまぜあわせる。
・生クリームに大さじ1の砂糖を入れ、好みのかたさにたてる。
・カステラは半分に削ぎ、2枚にする。
・カステラ→生クリーム→カステララムレーズン→マスカルポーネの順に重ね、最後に桜パウダーをかける。

余談ですが、余ったクリームは、ビスケットや焼き芋につけてもとっても美味しいです。

さくらのことばって、どんなんでしょう。
桜の姿を思いながら、ぜひご賞味ください。

まど・みちおさんの詩は、いろんなものへのやさしいまなざしに溢れている。たとえば、ノミや蚊。花。かまぼこ、ちくわ。

やさしさは、余裕のなさからすぐに磨り減ってしまう。
クシャクシャした気持ちになったり、心が疲弊したりしたら、あったかい飲み物とまど・みちおさんの詩をおすすめします。

なお、詩はやさしい気持ちになるものばかりではありませんので、ご注意を。笑


そのお気持ちだけでもほんとうに飛び上がりたいほどうれしいです!サポートいただけましたら、食材費や詩を旅するプロジェクトに使わせていただきたいと思います。どんな詩を読みたいかお知らせいただければ詩をセレクトします☺️