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雑記|はじめての里帰り〜平家と源氏とロミオとジュリエット〜

ポエジオな日々・・・
"ポエジオ"は詩情のこと。くだらない話からまじめな話まで、気ままに綴ります。

はじめての帰省

「GWは旦那さんの実家に帰ってたんだよね、どうだった?」と聞かれて、
「そうですね…平家の圧が思ったより強かったです」というのが最初に出てきた感想だった。

夫のふるさとは、離島。コロナのせいで行くことが出来ず、はじめての帰省となった。かつて平家が流れ着き、それを助けた海士たちの物語がある島だとは聞いていたのだけど、到着してみたら思っていた以上!

だって、ターミナルに平家の家紋の蝶がたくさん散りばめられているんだもの。驚いた。ターミナルのそばには平家盛と家臣の像。

壇ノ浦の戦い後、流れ着いた平家盛(船酔いだったらしい、親近感)を匿った漁師と平家のつながりは強く、家盛はお礼に、アワビをこの島の漁師だけがとってよいという権利を与えたのだとか。夫の祖父もアワビ漁師だったし、夫は小学生のころに「平家踊り」という、なんというかちょっと暗い踊りを練習したとも言っていた。

ひえぇとなってしまったのは、わたしが源氏の子孫という認識がうっすらあったからだ。といっても、とお〜いとお〜い、とお〜〜い祖先なのだから、平家の血だって混ざっているんだろうけど。

ちょっとビビってしまった。なんかすんません、みたいな。貝にあたるくらいの呪いはあるかもしれん…と震えた(※何もありませんでした)。

島のこっちがわとあっちがわ

島は、車で2時間もあればまわれる。一日目は家盛よろしく船酔いでおとなしく寝ていたけど、二日目は元気になって夫と子どもと島をぐるっとドライブした。

夫の両親は、どちらもこの島の出身。ドライブをしながら、島はふたつのエリアに分かれ、仲が悪かったという話を聞く。義父と義母は、別々のエリアで生まれ育ったそうだ。

「ふーん、ロミオとジュリエットじゃないの。《おお、ロ〜ミオ。あなたはどうしてロミオなの。あなたのお父様をわたしのために捨てて下さい!》」
と、車のなかでロミジュリごっこに興じた。


What's in a name?

砂浜を歩きながら考える。
平家と源氏。ロミオとジュリエット。島の反対側の、義父と義母。
おなじ人間だけど、なかなか一筋縄にはいかないなぁと思う。血筋、このやっかいで、離れられないもの。

ジュリエットのせりふに、こんなものがある。

What's in a name? that which we call a rose
By any other name would smell as sweet.

名前には、何があるというの? 私たちがバラと呼ぶものは、
他のどんな名前で呼んでも、同じように甘く香るわ。

いやまぁ、ホントそうだよね。本質をついている、美しいセリフだ。ばらの例えを持ってくるところが、シェイクスピアらしい。

名前といえば。

GWを終えて、とある場で名刺交換したところ、「旧姓で活動されているんですね」と言われた。戸籍上は、夫と話し合った結果、夫の姓にすることで合意した。結婚してもうすぐ二年たつけど、夫の姓はいまだにちょっとなれないというか、別の人のような感じがある。病院なんかでは、6割くらい聞き逃している。
旧姓にこだわっているわけでもないのだが…渡邊の「邊」ってややこしいしね。

じゃあ、わたしってなんなんだろう。
ときどき、それが宙吊りになる気がする。

でも。

"What's in a name? "

名前より大事なものがある、とジュリエットはささやく。

***

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