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【イベレポ】ことばのギフトを受け取ってつむぐ。あたらしい詩のたのしみかた。

こんにちは。詩のソムリエ 渡邊めぐみです。詩の楽しみ方や味わい方を提案しています。

とつぜんですが、「詩をつくる」というと、どんなイメージですか?
教室で白紙のうえに書かされた(いやな?)記憶がよみがえる人が多いかもしれません。あるいは、思春期のころ一人でノートに書きつけた記憶。

そうではなく、ピクニックのように気軽に、心地よく、みんなで詩を味わい、楽しめないか…
そんなワークショップが東京都港区・ご近所ラボ新橋とのコラボで実現しました。

とある日曜日の午前。「詩であそぼ みんなでつくろ」というオンライン・ワークショップに9名がご参加くださいました。

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「詩は苦手」「これまでぜんぜん詩にふれてこなかった」という方が大半でしたが、みんなで連想をつなげ、即興でことばをつむぐことで、「新しい楽しみを発見した」という感想を多くいただきました。その様子をレポートします。

コール&レスポンスで詩を読む

詩って、書くのも読むのも恥ずかしいですよね。詩って、そういうもの。なので、どうすればそれを払拭できるか、をいつも考えています。

そこで「読む」ときにはJazzのコール&レスポンスのように、おしゃべりするように、ペアで一行ずつ、交互に。すると!ペアの人の声やトーンに誘われて自分の表現がするする生まれ、響き合います。ペアのテンションにゆだねるも、身をぱっとひるがえし別のテンションで返すも自由。
なにが起こるかわからないこのドキドキ感!
読んだのは谷川俊太郎さんの「いるか」。

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「また きてみるか」に個性があらわれるのもオモシロイのです。

即興でことばをつむぐ

みんな徐々にエンジンがかかったところで、今度は「打越マトリクス」という俳句を作る遊びへ。俳人の佐藤文香さんが考えた発想法で、今回は「水」についてぽんぽん連想を出し合いながら俳句を作りました。(詳しくはこちらの本に!↓)

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作例:アスファルト水まきてよりサンバかな

楽しいのは、自分では思い浮かばないような単語が飛び出てくること。思いがけないことばを組み合わせ、映像を立ちあげるよろこびがあります。

つづいて、即興演劇をやっているご近所ラボ新橋のせなちゃんこと田淵せなさんが、「昔々あるところに…」「毎日毎日…」「ところがある日…」といった《接続詞》をつなぎながら即興で物語をつむいでいく遊びをナビゲートしてくれました。ハラハラしながら、笑いながら物語ができちゃう。ことばをつむいでいく本人たちもどこへ行くかわからないスリリングさ◎

れんそうものがたり3

大笑い

詩人のことばを借りて詩をつむぐ

そのあとは、詩のソムリエが厳選した「詩の最初のワンフレーズ」と「詩のモチーフ」をひとりひとり引いてもらい、詩を作ってもらいました。

センテンス

(いや、わたしドヤ顔すぎな…。)

詩を書こうとして悩むのは、書き出し部分。そこを世界中の名詩が「助走」をつけてくれたら、意外とすらすら書けちゃうのです。

例えば、参加者のTさんは、「コルドバ、/遠く、ただひとり。」(ガルシア・ロルカ『騎手の歌』)にモチーフは「月」を引きあて、詩をつくってくださいました。

「雲もゆく/おれもゆく」という谷川雁「雲よ」の一節を引き当てたのは、20代女子。「おれ」という普段使わない一人称にひっぱられ、イメージが湧き出てきたのがおもしろかった、とのこと。雄大な詩が生まれました。

いただいたご感想

・みなさんの詩をきいて「世界ってきれいなんだな」と思った。それぞれ視点がちがうから素敵と思った。心と体の体温が上がったような気がする。
・勇気を出して飛び込んでみたら言葉を与えられて広げていく楽しさがあって、今までに経験したことがない深い時間を過ごせた。
・詩には親しみがなかったけど、自由に連想して内容にこだわらず作るのが楽しかった。新しい発見でした!
・ふだん、論理や整合性を追い求める世界にいるので、みなさんの言葉の選び方やセンスが豊かだなぁとうれしくなった。

すてきなご感想をたくさんいただいてうれしいです!

今回、オンラインでありながら、一緒に参加している人の息吹を濃く感じられるあたたかな回となりました。参加者さんから「ことばというギフトを受け取った」という言葉。ひとりひとりの感覚世界やことばをシェアし、ギフトとして受け取り、ことばをつむぐ。そこには温度があり、香りがあり、てざわりがあります。ひとりでは気づけない豊かな「味わい」です。

オンラインでこのような「ギフト」を受け取り合う時間が生まれたことに感謝です。

「やっぱり詩っていいですね」そう言われ、心がぽっとあたたかくなった日でした。ウレシイ。

ばいばい

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Contact Details

ワークショップのご要望はコメント欄または megwatanabe7@gmail.com までお願いします。



そのお気持ちだけでもほんとうに飛び上がりたいほどうれしいです!サポートいただけましたら、食材費や詩を旅するプロジェクトに使わせていただきたいと思います。どんな詩を読みたいかお知らせいただければ詩をセレクトします☺️