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【進撃の巨人という哲学書】39.さまざまなリーダー。さまざまな参謀 ~53話~

アニメタイトル:第53話 完全試合

あらすじ

壁外の戦闘
エルヴィンが立てた作戦は調査兵団全員が獣の巨人に向かって馬で特攻です。
その特攻の最後尾からリヴァイが立体起動装置で獣の巨人にたどり着き、そのずば抜けた先頭力で獣の巨人を仕留める。その一点に欠けた玉砕作戦です。
しかし真っ先にその投石は先頭を走るエルヴィンにも。。。

壁内の戦闘
雷鎗で顔を吹き飛ばされたライナー鎧の巨人。
それを助けに壁内で巨人化したベルトルト超大型巨人。
その爆熱風で多くの調査兵団は死傷してしまいました。
なんとか命の助かった第104期の面々。
彼らの存在は幸いにベルトルト超大型巨人には見つかっていませんが、見つかればひとたまりもありません。
さあ。どうする。
壁内の指示を任されているアルミン。
この絶体絶命状態で作戦が浮かびません。
成す術なしです。
「僕には分らないどうすればいい!?」
「ジャン 君の方が向いている。」

と、なんとアルミンはこの状況の指揮権をジャンに丸投げします。
ジャンはアルミンの状況を即時に理解し、第104期の面々に的確な指示を出し、アルミンを少し離れた場所において冷静さを取り戻させます。
そうこうしている間に、エレン巨人はベルトルト超大型巨人に蹴り飛ばされ、ジャン鎧の巨人の頭も復元してしまいました。
このままでは成すすべがありません。


あれこれ考えてみよう。

今回はそれぞれの能力。について考えてみたいと思います。

一言で言えば、アルミンは参謀です。ジャンはリーダーです。
アルミンは一歩引いた場所から、大局を読み大きな視点で作戦を立てる事を得意とします。
ジャンはその現場現場で、瞬時に的確な判断で方向性を示します。

この絶体絶命で瞬間、瞬間の判断が求められる場面で、アルミンは思考がオーバーヒートして真っ白状態です。ジャンに丸投げします。
ジャンはそのアルミンの状況をも瞬時に理解して引き受けます。それもリーダーの資質でしょう。

「川だ。川に移動するぞ。全員エレンに乗れ。ガスを節約しろ」
「エレン。あるタイミングでベルトルトを引きつけなきゃならねえが、それまで見つからねえようにしろよ。」

ジャンの的確な指示で窮地を脱します。

「アルミンは少し離れた所でやつを観察しろ。もうベソかくんじゃねえぞ。必ず手がかりがあると信じろ」
ジャンはアルミンの適正を最大限に活かせるように戦闘から一歩退けます。

「アルミン。俺は状況は読めるが、この場を打開できるような策は何も浮かばねえ。最終的にはお前に頼るからな」
ジャンは自分の適性もよく理解しています。

「あの巨体に無策で突っ込めばああなっちまう...何か一発逆転の策でもない限り、この奪還作戦も俺たちの命も人類の未来もすべておしまいだ。だからってこのまま大人しく皆殺しにされてたまるか。攻撃を仕掛けるぞ。やつはまだ雷槍を知らない。俺とコニーとサシャで気を引く。その隙にミカサが撃ち込め」
ジャンは攻撃の指示も的確に出します。

この時間稼ぎによってアルミンが次の手を考えるのです。

リーダーと参謀は違いますね。
歴史を紐解けば
劉備玄徳に諸葛孔明
曹操に荀彧
孫権に周瑜
豊臣秀吉には黒田官兵衛や竹中半兵衛
徳川家康には本多正信
武田信玄には山本勘助
上杉謙信には直江兼続
まあ。あげたらキリが無いのですが。
名リーダーと名参謀のコンビは面白いですね。

またリーダーといってもその組織のトップとチームのリーダーは違うでしょう。
織田信長や上杉謙信のように絶対的カリスマリーダーもいれば、劉備玄徳や豊臣秀吉のようになんか抜けた部分すら人徳で人が助けてくれるリーダーもいますね。
また、エルヴィンとジャンにはリーダーとしての資質が違います。
実直なジャンは少人数の仲間を現場で統率する力があります。
例えるなら最強足軽軍団の足軽大将のようなかんじです。
一方エルヴィンはどこまでも兵団のトップです。カリスマとはどこか詐欺師的な空気を纏っているものです。

また参謀といっても、指揮官の補佐役である参謀と、指揮官と同等とも言えるくらいの力を持ち戦いの方法を考える軍師とはまた違いますね。
そういう意味ではハンジは軍師タイプでアルミンは参謀タイプかもしれません。
豊臣秀吉が「ワシが死んだ次は誰が天下を取ると思う?」という話になり、家来たちは「徳川家康だ」「前田利家だ」と大物武将の名を上げるのですが、秀吉の答えは「違う。黒田官兵衛だ」と言ったのは有名な話ですね。それは秀吉が官兵衛を恐れていたからかもしれません。
参謀は軍師となり、時には天下を取る力をも持つ事が出来るやもしれません。
しかし、実際、黒田官兵衛は関ヶ原の合戦のおり、九州から天下を狙いますが叶いませんでした。
ともしたら、石田光成や明智光秀も同じタイプかもしれません。いずれの天下は取れませんでした。

近代の政治で言えば、菅義偉という政治家が興味深いです。
政治の善し悪しを言うつもりは全くありませんが、安倍晋三と菅義偉のコンビはリーダーと参謀の名コンビの典型のような気がします。
安倍氏の人間味を菅氏の知性がよく支えました。
安倍氏の体調不良により菅氏が総理となりましたが、やはりトップでは光らず短命政権で終わりました。
それは「私はトップではない。支える側だ」という菅氏の自覚が強かったからかもしれません。
つまり、人にはそれぞれのタイプがあって、どんなに優秀でもその人に適したポジションにいなければ力を発揮できないものです。

そんな風に組織における個人の能力を考えるのは楽しいですね。
このキャラクター一人一人の個性を細かく描き分けているところが進撃の巨人の大きな魅力です。

さて
エレンは超大型巨人に食らいつきますが吹き飛ばされて壁に衝突。動けなくなりました。
そうこうしているうちに、顔を吹っ飛ばされたライナーが巨人の能力で復活してきました。
もう調査兵団は絶体絶命です。

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