【進撃の巨人という哲学書】#2 Season1 2.【力】と【勇気】の話をしよう
アニメタイトル:その日
あらすじ
いきなりの巨人の出現で壁は破られ、人間はパニックになり逃げ惑います。
巨人は人間の恐怖などお構いなしに手当たりしだいに人間を捕食していきます。
ウオールマリア、ローゼ、シーナという3重の壁で守られてきた100年の人類の平和はついに崩されました。
最も外側に位置するシガンシナ区は陥落です。
ウオールマリアも破られ、人類の生活領域は3分の2になりました。
当然、多くの避難民の為に食糧難になります。
避難民は食料確保の為に荒れ地の開拓に従事させられました。
直ぐにウオールマリア奪還の為に避難民を投入し巨人と戦いますが、勝てるわけはありません。
25万人が戦い生き残ったのは僅か数100人です。
つまりはウオールマリア奪還作戦という口実の口減らしです。
このままでは人類に未来はありません。
「巨人を一匹残らず駆逐してやる!」エレン、ミカサ、アルミンは第104期訓練兵団として入隊をしました。
あれこれと考えてみよう
母を助けられなかったエレン。
そして巨人と戦う事も出来ず、エレンとミカサを助ける事が精一杯でエレンの母を見殺しにした駐屯兵団ハンネス。
今回はハンネスの言葉を考えてみましょう。
エレンの力とハンネスの勇気を考えます。
例えばエレンが、勇気を出して無鉄砲に立ち向かったとしても、力なく一瞬で巨人に潰されたでしょう。
例えばハンネスは飲んだくれといえども兵士です。それなりの力はあります。しかし勇気を出して戦っても、同じく一瞬で巨人に潰されたでしょう。
世の中には力が無くても勇気を振り絞って立ち向かう事で勝利する。
そんな安い物語が溢れています.。しかし現実はそんなに甘いものではありません。
巨人の前に一人の人間など、蚊のようなもので、せめてスズメバチ程の力を持たなくては、それは勇気ではなく無謀です。
少し登山の話しをしましよう。
伝説の登山家ハセツネこと長谷川恒男さんが遭難死したのがウルタルⅡ峰です。
そのウルタルⅡ峰を登頂し無事に生還した高橋堅さんは新潟の山屋です。
一緒に飯豊連峰のGWのバリエーションルートを歩いた事があるのです。
とても小柄でニコニコとした人です。
雪と藪の飯豊連峰の残雪期。もちろん登山道などありません。
そこかしこに雪尻(せっぴ:残雪の下は空洞になっている場所)が隠れていて、雪尻を踏み抜けば谷底に落ちてしまいます。
安全の為には、尾根から下がって藪の中を歩いた方がいい、でも藪は木々の枝に行く手を阻まれてなかなか進まないし、体力を奪われますのでなるべく藪のない残雪を歩きたいのです。
そのルートファインディングが山屋の経験と技術と勘。つまり山屋の力なのです。
その高橋堅さんはとてつもなく安全なルートを取ります。
どんなに藪で阻まれていても、絶対に落ちないという安全なルートファインディングを取るのです。
夜のキャンプで酒を飲みながら「堅さん、もうちょっと雪上でもいいんじゃないですか?」と問うと
堅さんは「いや~。目の前で友達が滑落する状況を経験すると慎重になるんだよ。」と笑うのです。
安全なルートを歩けるって物凄い力なのです。
「ちょっと危険でも藪のない楽なルートを責める」なんて言っている自分を恥ずかしく思いました。
そんなのは勇気にもならないのです。単なる無謀だという事を教えられました。
話を進撃の巨人に戻します。
事を起こすには勇気の前に力が必要なんです。
力無き勇気は単なる無謀に他なりません。
しかし、力があるのに勇気を出さないのは逃げに他なりません。
このバランスが非常に大事です。
ハンネスの「エレン、お前に力が無かったからだ」と言う言葉と「俺に勇気が無かったからだ」という言葉は、結果は同じでも、その意味は違うのです。
ハンネスには巨人と戦う力はなくとも、二人を助ける力はあったのです。
そしてその力を正しい勇気で発揮したと考えられます。
勇気を保障する力が大切です。
エレン達はその力を得るために訓練兵団に入隊しました。
またドラマが進展しますね。
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