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【進撃の巨人から見る心】42国語のお勉強  ~56巻57巻~

アニメタイトル:第56話 地下室
アニメタイトル:第57話 あの日

ついにエレンの父、グリシャ・イェーガーが残した秘密の眠る地下室へと入った面々。
その地下室に眠る書物にはエレンの父、グリシャ・イェーガーの半生が書かれています。
以下は書物に書かれているエレンの父、グリシャ・イェーガーの幼少期の物語です。
ここで様々な巨人の謎が暴かれます。


あれこれ考えてみよう。

ここは物語が大きく脱皮する前のさなぎの期間のようです。
いや~難しい。。。
難しいですが、とても重要です。物語をしっかりと押さえておきましょう。

エレンの父、グリシャ・イェーガーの物語です。
グリシャが幼い頃、妹(フェイ)と外の世界へ出ました。

「どけよドブネズミ。悪魔の血か。エルディア人め。こんなところをうろちょろと。」
その世界は市内に住むマレー人と、レベリオ収容区で隔離されて生きているエルディア人とに分かれているようです。
マレー人はエルディア人を迫害しています。
グリシャはエルディア人です。
それでも好奇心旺盛な兄妹は空を飛ぶ飛行船を追って、あちらの世界へ入ってしまいました。
兄妹は二人の憲兵に捕まり、グリシャは拷問され、フェイは翌日、哀れな死体となって発見されました。

マーレ治安当局の憲兵が2名家に来て、妹の死の状況や原因を両親に説明します。
ここで敢えてその2名の名前を書いておきます。上官はグロス。その部下はクルーガーという名前です。

娘の死に泣き崩れる両親に二人の憲兵はろくな説明もしません。
「そもそもエルディア人の子供が許可もなく街をうろつくのが悪い」
「お前の息子は一族の立場をよく理解していないようだがお前らの先祖が犯した過ちはしっかり教育しているんだろうな?」

母はただただ泣き崩れ
父は「ご指導頂きありがとうございます。我が愚息には教育し直しておきますので…」
とその男にへりくだって頭を下げたのです。

グリシャは「私は父にこの男に眩暈のするような憎しみを覚え、それ以上に自分の愚かさを呪った」

それから父はグリシャに歴史を教えます。
父は語ります。

「今から1820年前我々の祖先ユミル・フリッツは大地の悪魔と契約し巨人の力を手に入れる。」
「ユミルは死後も九つの巨人に魂を分けエルディア帝国を築いた。」
「そして大国マーレを亡ぼしこの大陸の支配者となる。そこからは暗黒の時代だ。」
「ユミルの民は他の民族を下等人種と決めつけ弾圧を始めた。土地や財産を奪い他民族に無理やり子を産ませユミルの民を増やした。その民族浄化が約1700年続いた」
「だがかつての大国マーレは増長を極めたエルディアに内部工作を挑み、それがもたらした内戦でエルディアの弱体化に成功した」
「さらには「九つの巨人」の内の七つを手駒に従え、80年前の「巨人大戦」に勝利したのだ」
「当時のエルディアのフリッツ王は残された国土「パラディ島」に三重の壁を築き、国民と共にそこへ逃げ込んだ」
「だが全員ではない、我々マーレ派のエルディア人残党は奴らに見捨てられ、この大陸に取り残された」
「本来なら我々はマーレによって根絶やしにされてもおかしくない立場だ」
「だが、その発想こそが我々が悪魔の末裔である由縁であろう」
「寛大なマーレは我々を殺さずに生きる土地を与えて下さったのだ」

はい。ここまでを整理します。
かなりの日本語読解能力が必要ですね(笑)。
中学の国語のお勉強です。整理しますね。

①大昔(1820年以前)は大国マーレが支配してた。

<暗黒の時代>
②1820年前にエルディア人のユミル・フリッツは大地の悪魔と契約し巨人の力を手に入れた。
③ユミルは死後も九つの巨人に魂を分けエルディア帝国を築いた。
④エルディア帝国がマーレ大国を滅ぼして大陸を支配した。これを「暗黒の時代」という。
⑤ユミルの民(エルディア人)は他の民族(マーレ人など)を弾圧して子供を生ませユミルの民(エルディア人)を増やした。この民族浄化が1700年続いた。

<巨人大戦時代>
⑥マーレ人は増長を極めたエルディア帝国に内部工作を挑み、それがもたらしたエルディアの内戦でエルディア帝国は弱体化した。
⑦九つの巨人の内の七つの巨人をマーレ人が手にした。
⑧エルディア帝国の当時のフリッツ王は「パラディ島」に逃げ込んで三重の壁でエルディア人の国を作った。
⑨エルディ人の全員が「パラディ島」に移住できたわけではなく。我々マーレ派のエルディア人残党は大陸に取り残された

<現代>
⑩マーレ人のご加護により我々エルディアの残党は生きる土地を与えてもらっている。
⑪そこから先は「パラディ島」での物語。超大型巨人出現からウオールマリア奪還計画の成功までの物語。

ここまでがグリシャの父の言葉が語る事実です。中学の国語でいう「場面をとらえよう」です。
ここからはその言葉による想像と因果関係です。中学の国語でいう「行動の理由・人物像をとらえよう」って感じでしょうか。

1)大国マーレvsエルディア帝国の歴史のようです。
2)グリシャ一家(エレンの父グリシャ、両親、妹フェイ(殺された))はマーレ王国に残されたエルディア人残党のようです。
3)妹フェイが殺されたのは、飛行船を見たさに、エルディア人居住区を出てマーレの土地に踏み込んでしまった事が原因のようです。
4)エルディア人には9つの巨人の力を有していましたが、今は2つ。7つはマーレ人が持っているようです。
5)「巨人大戦」に負けたエルディア人は「パラディ島」に逃げ込みました。
6)つまり、マーレ人が支配する世界に、「パラディ島」に移住できなかったエルディア人の残党が奴隷のように居住区を与えられて暮らしているようです。
7)エレン、ミカサ、ジャン、サシャ、コニー、エルビィン、リブァイ、ハンジなどは、5)のパラディ島に逃げたエルディア人の末裔のようです。
8)ライナー、ベルトルト、アニ、ユミル、ジークは、2)のグリシャ家と同じようにパラディ島に行けなかったエルディア人の残党の末裔のようです。

さてここからがやっと本題です。
中学の国語でいう「心情をとらえよう」に入ります。

そこまで父の歴史の説明を聞いてグリシャは思うのです。
「娘を失った直後の父親にしては饒舌だった」
「ご主人様の言いつけを守り、嬉々として己の祖先を卑下する姿は犬さながらであった」

グリシャは叫ぶのです。
「あの男は嘘をついていた。きっとあの男がフェイを殺した!」と
「俺もフェイも、街を歩いただけだ」と

父は怒りながら諭すように頼むようにグリシャに言います。
「黙れ」
「言っただろ?我々の祖先は大罪人なんだ」
「優生思想に走り、民族浄化をやった」
「この体にはその悪魔の血が流れているんだよ」
「お前は何だ?」「そんなに父さんと母さんと一緒に「楽園」に行きたいのか?」
「「イェーガー一家は治安当局を疑い恨みを抱いてる」、そんな噂が流れただけで我々はおしまいだ」
「いいかグリシャ?」「我々が直接の加害者じゃなくても、被害を受けた側の長い歴史にとってみれば関係無いことだ」
「我々にできることはこの収容区でただ慎ましく、沈黙し、生きることだ」
「頼むから、父さんと母さんをフェイと同じ目に遭わせないでくれ」

そしてグリシャは心の中で叫びます。
【間違っているのはどちらだろうか。私かこの世界か恐らくは両方だろう私は無知で愚かで世界は理不尽で狂っている】

男の子にとって父は偉大です。
どんな父でもその子にとっては父はヒーローです。
しかし自分が男として成長するにつれて「あれ?そうでもないかな?」と疑問の中で少しづつ父のホントが男のホントが見えてくるのです。
その段階を少しづつ積み重ねる事で、そうして父を倒しながら男の子は男になるからです。
しかし、あまりにも突然に父に幻滅させられた男の子は悲劇です。
どこをどう見ても、父はただの奴隷じゃないか!
奴隷の父が息子であるグリシャを同じように奴隷にしようと、必死に叱り諭し、しかしその実態はただただご主人様(マーレ人)に媚びへつらっている。
そんな現実を突き付けられたグリシャ少年は悲劇です。

間違えているのは僕なのか父なのか。
間違えているのは父なのか憲兵なのか。
間違えているのは奴隷なのか主人なのか
間違えているのはエルディア人なのかマーレ人なのか
間違えているのは歴史なのか現実なのか
間違えているのは正義なのか悪魔なのか

恐らくは両方だろう
私は無知で愚かで世界は理不尽で狂っている
私も理不尽で世界も無知で愚かで狂っている
みんながみんな狂っている事には変わりはない。

実はこれはものすごい真理で。
みんながみんな狂っているというその事実だけは狂っていないのです。

フェイを殺したのは悪魔なのか正義なのか。
フェイを殺したのは現実なのか歴史なのか。
フェイを殺したのはマーレ人なのかエルディア人なのか。
フェイを殺したのは主人なのか奴隷なのか。
フェイを殺したのは憲兵なのか父なのか。
フェイを殺したのはグリシャなのか。。。

恐らくは全てだろう
みんながみんな狂っているというその事実だけは狂っていないのだ。

その現実を、幼くして突き付けられたグリシャ少年は、この先どのように生きていくのでしょうか。

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