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日本国憲法を口語訳してみたら 塚田薫 【読書感想文】

もう、いい年ですし。日本人ですし。
日本国憲法。真剣に向き合ってみようと思うのであります。

この本は、大学生が「日本国憲法、言葉が難しくて言っている事が分かんねーよ。僕らの言葉で訳しちゃおーぜ!」ってな試みの本であります。

そんなわけで僕も思いきりくだけた口調で感想文及び憲法改憲論を書こうと思います。

いや~。大変分りやすい本です。
同時にネットやら中学教材やらでいろいろお勉強をしました。
様々な気づきがありました。

①そもそも日本国憲法とはなんぞや?

さてさて。
改憲派だとか護憲派だとか喧々諤々していますが。
そもそも日本国憲法とは何ぞや。
という大前提を共通認識していないという衝撃的事実からお話します。

先ずは日本国憲法とは何ぞや。を紐解いていこうと思います。

義務教育を学習した日本人であれば、10人中9人がこう答えるでしょう。
「日本国憲法とは、法律の最高法規。つまり法律のラスボスである。」と。
ところがどっこい。
どうやらその思いこみ自体が大きな間違えのようですよ。

日本国憲法前文にこうあります。

前文
その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。
第九十九条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

ポイントはこの99条に「国民」が記載されていませんね。
どう言う事かと申しますと。
憲法とはけして国民を縛る法律のラスボスではなく。
国家権力者が守るべき法律。

国家権力の暴走を歯止めブレーキなのです。
同時に
憲法とはけして国民に価値感や道徳をおしつけるものではなく。
国民の権利・自由・人権を保障するものなのです。

知ってました?

簡単に言います。
「憲法は法律のラスボスだ!」と言う見方と。
「憲法は国家権力の暴走を止めるブレーキだ!」と言見方。
があるって事です。

そりゃ~憲法学者的には正解はあるのでしょうが。
それが国民には浸透していません。
少なくとも
「憲法は法律のラスボスだ!」と言う人と。
「憲法は国家権力の暴走を止めるブレーキだ!」と言う人
がいる事は事実です。
この前提が違う人達がいくら議論したって。
上手くいくわけないですよね。


②そもそも日本国憲法の意義って?


そして、もうひとつ。
これは、この本にも、どの資料にもない、僕独自に疑問なんですけど。

そもそも憲法って国家権力や、国が守るべき最高ルールなの?
それとも
そもそも憲法って国家権力や、国が目標にするべき指針なの?
つまり
企業で言えば
前者が企業行動指針。
後者が企業理念。
です。
いったいどっちなの?と疑問なのです。

これも、憲法は「最高ルールだ」と言う人と「国家指針だよ。」と言う人では議論は永遠に交わるわけないですよね。
護憲派と改憲派の喧々諤々は、いつも知識自慢大会のようで、どうしてこんなに食い違うのかと紐解けば。
いとも簡単。
そもそも日本国憲法とはなんぞや?が共有されていないんですもん。
交わるわけないじゃ~ないですか。
交わるわけがないのに、多数決で憲法改正だ憲法護憲だと決めちゃうのは危険極まりないと思うのです。

①②をまとめますね。

①そもそも憲法とは?
(1)法律のラスボスだ。
(2)国家権力へのブレーキだ。
②そもそも憲法の意義は?
(A)守るべき最高ルール
(B)目標にすべき指針

と。これだ認識の違いがあるのです。

もう一度言います。
憲法学者的には正解はあるのかもしれませんが、一般日本国民には、これだけの「そもそも日本国憲法って?」の認識の違いがあるという事実を、我々一人一人は考慮に入れておかなければ、大変危険な事になりますよね。

③恐怖の自民党改正草案

そんな「そもそも日本国憲法って?」という認識の違いがあるという前提を踏まえて、自民党改正草案を読んでみてください。
もう、ゾッとする。。。これは怖い。

完全に国民に、価値感を押し付けています。
99条の憲法尊重擁護義務を
「第百二条 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。~」
と国民を縛っています。

これは恐ろしい。
つまり自民党は
憲法とは「法律のラスボス」であり「守るべき最高ルール」という考え方のです。
こんな草案が通って憲法改正されたら。。。

大袈裟ではなく僕らの自由は終わります。


④ポエヤス的改憲案

ここでポエヤス的改憲案を提示します
先ず。9条の前に前文を改訂します。

前文に
①「憲法は法律のラスボスだ。」OR「憲法は国家権力の暴走を止めるブレーキなんだ。」のどちらかを明記します。
②「憲法は守るべき最高ルールだよ。」OR「目標にすべき指針さ」のどちらかを明記します。
つまり、先ず、改憲でやるべきことは国民の日本国憲法の共通認識をはかる事です。

最初にこの日本国憲法前文改正国民投票をします。
その後、その前文にあった草案を提示し。
再び、9条をはじめとする各条文の改正国民投票をするのです。

とにかく共通認識を持たない議論は永遠に交わる事はないし。
それを多数決で決める事は大変危険です。

前提条件の交わらない夫婦喧嘩がどれだけ危険であるかは、みなさん経験済みだと思います。

⑤まとめ

どうか、二言論の「僕は改憲派!」「私は護憲!」みたいな人気投票は止めてほしいものです。
もっと冷静に、多角的視点で秩序だてて順番を持って議論してほしいものです。

これは憲法問題に限ぎったお話ではありません。
右か左かの二元論でカテゴライズしての薄っぺらな論破合戦は、ほとほとみっともないと思うのです。

その夫婦喧嘩のこんがらがった議論を紐解けば「お互い仲良くしたい」という根源に行きつくものです。
↑って。バツ2の僕がいう事ではありませんが(笑)。



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