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『アメリカザリガニ』

世界の中心から最も遠いと言われている
日本の田舎

その田んぼの畦で
星条旗のように赤い
アメリカザリガニが一匹

干からびて死んでいた

ほんの少し前に見かけた時は
午後の照りつける日差しの中
両手のハサミを青空いっぱい高らかに持ち上げ
自由を求め
遠い祖国へと旅立つところだった

今はその肉も
体内の寄生虫とともに
太陽に焼き尽くされ干からびた

悲しいかな
その両手には最後まで
平和を携えて

合掌

▲☆▲あとがき▲☆▲
アメリカザリガニが道路を歩いていたんです。