夢のなかの話

何日か前に、不思議な夢を見た。
自分が自分ではない誰かになっていたような気もするし、自分は出てこなくて映画監督みたいに全て知りながら傍観していたような気もする。よくは覚えていない。

その夢の中で、誰かがこんなことを言った。
“頭の中に憂鬱がいて、その子が頭の中を食べるんだよ”
“ほら、あの人もそのせいで…”

そう言われたある人が、
“いや、僕は正常だ。病気になんかなってない”
と言っていた。

夢から醒めた私は、妙な気分だった。その夢のせいで、なんだか一日中ぼーっとしていた。夢の中の言葉がずっと頭から離れない。頭の中に憂鬱がいる…私の頭の中にも憂鬱が住んでいるような気がしてくる。そしてその子が私の頭の中を蝕んで、私は憂鬱に浸かっていくのかもしれない。

こんな話、戯言だろうか。こんな夢の中の話が、現実世界にいる私に影響を与え、意識すら変えようとしている。あれは夢の中の話なのに。

夢はとても奇妙だ。夢の中の私の意識、記憶、認識、意思、それらは果たして私のものなのだろうか。どこまでが現実と結びついているのだろう。私の夢は、時に非常にリアルだから、混乱する。

目が覚めたとき、悲しい気持ちでいることがよくある。そのときは大抵、嫌な夢を見たとき。なぜだかわからないけど目覚めたとき悲しい気持ちなのは、無意識のうちに悲しい夢を見ているから。その記憶はなくても、感覚だけ残っているから。

夢のせいで、その日が憂鬱になることがある。
どうして夢に現実を左右されなきゃいけないのだろう。
私が生きるのは現実なのに、どうして夢のために悩まなければならないのだろう。


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