臨床ってなんだろう? 心理療法家の河合隼雄さんと考える教育
河合隼雄さんは日本の心理療法家、また臨床にもとづく思想家として第一人者でした。
今回は、河合隼雄さんの著書『子供と学校』から、「臨床とはなにか」「教育ってなんだろう?」を考えてみます。
河合隼雄さんは、子どもに心理療法をするうちに、教育の現場で「心」が軽視され、「問題」が起こったら罰すればいい、となっていることに気づきます。
そこから、ご自分の仕事の意味(今で言うカウンセリングに当たる)を考えます。
それを教育に適用してみると、
しかし、健康や仕事がどうでもいい、というのではない。
では、「どちらも大切ですね」で終わりだろうか。
ここで、河合隼雄は、遊びの哲学を探究したオランダの哲学者ホイジンハやフランスのカイヨワに言及しています。
ここで、思考を深めていく河合隼雄は、教育を臨床と捉えるならば、そこにはパラドックスがある、それを見つめようと言います。
まず、教育基本法をみると、
云々、と書いてあります。
しかし、他方で河合隼雄さんが出会って来た、ユニークで業績のある方々の子供時代というのは、これに照らすとイレギュラーなことが多かったのです。
これらの子供たちがいまや社会の第一線で活躍する人々になっているといいます。
負の価値に見えるものから、大きな人物が育つのですから。
つまり、「正しいもの」をかかげ、それだけを追求するカタイ姿勢では、かえって教育としてはうまくいきません。といって、「グレればよい」という真逆のことだけを言っていても、天の邪鬼でしょう。
このふたつの価値の間で、パラドックスに向き合い、取り組みを続けることが大切なのでしょう。
『子供と学校』河合隼雄 岩波新書 1992
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