空を舞う大きな龍が運ぶもの
朝出かける時にベランダから富士山を見るのが日課。富士山が見える日は、通勤電車でドア付近に立って外を眺める。ビルの合間から富士山がちらりと見えると「見えた!」と子供のように喜ぶ。
富士山が見えない日は、車内でずっと携帯を見て過ごす。
富士山が見えない朝なのに、車窓からぼんやり空を眺めていた。空一面をうろこ雲が占領している。神秘的な雲に魅せられて、写真を撮ろうと思った。携帯を取り出す数秒の間に、うろこ雲の半分はどこかへ飛んで行ってしまい、消えた雲がいた場所は青空に替わっていた。