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子乗せ自転車と夜の街

時刻は夜の七時半。

ひと月だけ仮住まいをしているマンスリーマンションから、子乗せ電動自転車でひとり、夜の繁華街へでかけた。

いっそ遊びにでもでかけるならうきうきとペダルをこいでいるところだが、実際は残念ながら仕事の締切におわれてぴいぴい言っている。

暇な時期はとことん暇なくせに、重なるときにはほんとうに重なるわが仕事。スケジュールが微妙にずれるはずだった複数案件が結局一気にピークを迎え、にっちもさっちもこのままではあかん状況になりそうやと、夜仕事タイムを夫に申請したのだ。

夕刻、ばばばと体によさそうな筑前煮と味噌汁を作り、仮住まいの物足りないプラスチック皿でキャンプみたいな盛り付けをする。とりあえず食卓だけは一緒に囲み、またばばばと自分の皿と鍋を洗い、君たちあとは頼んだ仲良くやってくれたまえ!と夫と娘にハイタッチして、仮住まいを出た。

Wifiと電源があって遅くまで開いている、夜のカフェを目指して。

世の中、「単語の並び」だけでもわっと違和感を感じるものはけっこうあるが、「子乗せ電動自転車と夜の繁華街」もなかなかではないかと思う。

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どうでもいいことをすごくしんけんに書いています。

<※2020年7月末で廃刊予定です。月末までは更新継続中!>熱くも冷たくもない常温の日常エッセイを書いています。気持ちが疲れているときにも…

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