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第8回毎月短歌(外村ぽこ選)

みなさま、GWはいかがお過ごしでしたか?自分はひたすら何もしないをしておりました。というわけで(どうゆうわけで?)早速、第8回毎月短歌を発表していきます!
※5/15追記 二席の名前が誤っておりました。正しくは『ナイスぽこ賞』でしたので修正いたします。

テーマ詠「地獄」

グッドぽこ賞(三席)

ぐじゃぐじゃの雪道ひとり立ちすくむ もうあと5歩で学校に着く/森内詩紋

グッドぽこ賞はこちらのお歌です。物悲しい雰囲気が魅力的ですね。『雪道』なのでなんとなく田舎の学校に通う主体をイメージしました。
閉鎖的な田舎で自立していない子供にとって学校は世界のすべてのように映ると思います。ただ主体は学校が嫌いなのでしょう。恐らく勉強というより人間関係の悩みであり、人数の少ない学校ではずっと同じ人と関わっていかなければならない。
そんな逃げ場のない緩やかな絶望が初句の『ぐじゃぐじゃ』で上手く表されていると思います。好きです。

ナイスぽこ賞(二席)

狂うほど楽しい地獄わたしたちここで千年踊るがいいわ/畳川鷺々

ナイスぽこ賞はこちらのお歌です。今回はお題が地獄ということもあり、暗い歌が多かったのですが、こちらはどこか楽しい雰囲気が魅力的です。一般的に苦行を味わうとされている地獄で千年踊る主体はなんとなく鬼とも仲良くしてそうですね。
ただ地獄を『狂うほど楽しい』と表現していることから主体はもしかして生前とても苦しかったのではないかと思います。まさしく生き地獄というものかもしれません。
千年後、主体は罪を償って天国に行くのか、転生するのか。それが主体にとって果たして救いなのか。深いお歌だなと思いました。好きです。

ベストぽこ賞(一席)

「地獄だね」「地獄だね」って笑いあう君と猛暑日の体育館で/酒田ノム

ベストぽこ賞はこちらのお歌です。一読してなんて可愛らしい歌だろうと思いました。
確かに夏の体育館ってめちゃ暑いですよね。しかもバドミントンとかバレーって風の影響を受けるから窓を開けられないって聞いたことがあります。そんな過酷な環境の中でも『君』となら笑いあえるこの関係性が素敵です。
個人的には2人は親友なのかなって思いました。この先、学校を卒業してそれぞれが別の道を歩いても、また違う地獄に打ちひしがれそうなときでも、2人で笑いあってほしいなと思います。好きです。

ということで、テーマ詠の発表は以上となりますので次は自由詠を発表します!Let's Goー!

自由詠

グッドぽこ賞(三席)

生活が最も満たされてる瞬間 朝9時 起床 ペペロンチーノ/酒田ノム

まずグッドぽこ賞はこちらのお歌です。なんとも微笑ましいですね。
恐らく休日なのかなと思うのですが、いつもより遅い時間に起きて、朝からニンニクたっぷりのペペロンチーノなんか食べちゃってもう今日は誰にも会わずに家でだらけるぞ!ってゆう意志を感じますね笑
それを『生活が最も満たされている瞬間』と表現しているのがいいなと思いました。幸福は相対的なものではなく、主体は自分にとっての幸せが何か分かっているのでしょう。とても憧れる生き方だと思いました。好きです。

ナイスぽこ賞(二席)

伝統のたすきのように渡されて引き継ぎ書からはじまる春だ/くらたか湖春

ナイスぽこ賞はこちらのお歌です。春、それは出会いと別れの季節。それは社会人になっても当然存在します。
主体の働いている部署の誰かが異動、もしくは退職してしまったのでしょう。そしてその人の業務を引き継ぐ主体。当然引き継がれた業務は大切で、誰かがやらなければいけない仕事なのでしょう。ただ、いなくなってしまった人にしかできない仕事ではなかった。誰かがいなくなっても会社は回ってしまうという事実があります。
いつか主体も別の誰かに引き継ぐ日が来るかもしれません。『伝統のたすき』という比喩が上手だなと思いました。好きです。

ベストぽこ賞(一席)

入園の準備で書いた吾子の名の数だけ友達できますように/奥 かすみ

ベストぽこ賞はこちらのお歌です。入園準備でクレヨン1本1本にまで名前を書いた思い出で詠んでくださったとのことですが大変ですね!やっぱ子供が小さいとすぐ物を無くしちゃうので必要なんでしょうが気の遠くなる作業です。本当に世のお母様方、お疲れ様です。
ただそれをちゃんとやってあげるのも、その数だけ友達ができますようにと祈るのも、とても愛だと思いました。実景ならではの温もりを持ったお歌で詠み手の母性が感じられます。好きです。

というわけで自由詠は以上となります。最後は2月の自選(もう5月だが?)です!どうぞー!

2月の自選

グッドぽこ賞(三席)

手話によるラップバトルから三日経ち筋肉痛がまだ治らない/汐留ライス

グッドぽこ賞はこちらのお歌です。発想が面白いですね。あまり詳しくはないのですがラップバトルってすごい早く韻を踏むじゃないですか。それを手話でやったら一体どんな戦いになるんでしょうか。めちゃめちゃ地味かもしれないし意外と盛り上がったりするのかも?
ただ、その代償は安くないというのも想像に難くないですね。日常生活に支障をきたしかねません。ただこれからも主体が手話ラップバトルの練習を積み、指筋(?)を鍛えればいつか筋肉痛にならずもっと高速の手話を披露できるかもしれません。主体の将来に期待です。好きです。

ナイスぽこ賞(二席)

少しずつずれてしまった君と僕うるう日としての花束を買う/琴里梨央

ナイスぽこ賞はこちらのお歌です。2月の自選ということで閏日で詠んだ歌も多かったのですが、特にこの歌が好きでした。
どんなに仲のいい2人でも究極他人なので完璧に嚙み合わなくて少しずつずれてしまうものでしょう。それをどうしようもないものだと理解しながら主体は何でもない日に花束を買ってくる。そうゆう気遣いが仲良しの2人を仲良しのままにしてくれると思います。
なんか2人で過ごした軌跡というか年季のようなものを感じますね。心温まるお歌です。好きです。

ベストぽこ賞(一席)

もう一度静かな家に戻るまで猪口は戸棚でゆたかに睡る/塩本抄

ベストぽこ賞はこちらのお歌です。主体は晩酌が好きなのかなーと思いますが、恐らく子供が生まれたためにゆっくりとお酒を嗜む時間を取れなくなってしまったのでしょう。
ただそれは決して悲観的な出来事ではなくむしろ希望に溢れていると思います。子供が大きくなって家を出ていくまで、長く長く、それでいて一瞬にも感じる時間を戸棚にしまわれた猪口が温かく見守ってくれているようです。
楽しくも大変な子育てが終わり、寂しくも嬉しい未来を眺望する主体に幸せになってほしいなと思います。好きです。

ということで第8回毎月短歌の発表は以上となります!読んでいただきありがとうございました!いつもはXでスペースも開催しているのですが今回はスケジュールの都合でnoteのみとなります。
それでは次は第9回の発表でお会いしましょう!バイバイ👋

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