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【感想】『ゼロワンOthers 仮面ライダー滅亡迅雷』

エンタメ作品に社会問題や時事ネタを盛り込む事で作品の価値を高める場合がある。

警察組織の軋轢と葛藤を描いた『機動警察パトレイバー』シリーズや、それを剽窃した『踊る大捜査線』シリーズがそれだ。

それとは逆に、社会問題や時事ネタを盛り込む事で作品の価値を下げる場合もある。

霊感商法のような正義論に堕した『機動警察パトレイバー』シリーズや、ワイドショーのような認識論を露呈した『踊る大捜査線』シリーズがそれだ。

残念ながら、社会問題や時事ネタを取り扱うエンタメ作品には、真面目に観るほどバカバカしくなる物も存在するのだ…。

『ゼロワンOthers 仮面ライダー滅亡迅雷』では人工知能をめぐるパワーエリートの謀略をサスペンス調で描いている。ポリティカルサスペンス風味のヒーロー物とでも言おうか。

本作の問題は、Vシネという媒体であるにもかかわらず、テレビドラマのような絵作りをしている事だ。これはいただけない。だが、作品のテーマ自体は興味深い。

経済や安全保障に人工知能が与える影響とは何か。人工知能の心とは何か。そして、人工知能と人の望ましい関係とは何か。面白そうな題材ではある。

上記の問題をエンタメ作品として結実できるかどうかが作り手の腕の見せ所だろう。

筆者の本作への暫定的な評価は「テレビドラマのような演出のVシネ」だが、結論は次回作『仮面ライダーバルカン&バルキリー』に持ち越す。