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展覧会の作り方 3.ージカンノハナを例にー

7. 予算


(ア) 場所代

会場費です。光熱費を含めて、会場にはいくらかかるのか算出します。

(イ) 作家フィー

作家を拘束するのは何日間ですか?その作家さんはこの展覧会のためにどのくらいの時間を使っていてくれていますか?

作家はプロです。展覧会をすることで暮らしているし、生計を立てています。ひとつの展覧会をするのに、悠に1か月以上は費やしてくれていると思います。さらに、年間作家がかかわれる展覧会の数は限られています。うまくいって4つ程度でしょう。その中で彼らが生活していけるように、配慮することも、企画者の一つの役割です。

といっても、こちらも出せる限度があると思います。ですので、私は間を取って、作家フィーを考えるベースは公務員給料の1か月分を目安にしています。もちろん、そんなに払えないと思います。私は払えませんでした。それでも、作家が一緒に展覧会をやってもいいよと思えるメリットを提示するしかありません。例えば時間、例えば試合相手としての実力、コーチングのスキル。広報や実績としてのメリットや面白さなどです。そして、彼らが物販をするスペースを設けることなどで、困難を解消していきます。

例えば、本一冊書いてもらったとして、それは妥当な支払いですか?

重要:展覧会を始める前に、このフィーでやってもらえるかどうか、確認しましょう。

(ウ) 運送費

作品を運ぶのと戻すのに、輸送費がかかります。どのくらい、どの作家にかかるか、見積もりを取ります。作家自身がたくさんの方法を知っているので、教えてもらいましょう。この費用は、作家フィーに含むのか、それとも別建てとして考えるのか、検討します。

(エ) 材料費

作品を作るのには、材料がいります。どの作家にどのくらいの材料がいるのか、どのくらいお金を出せるのか。輸送費とともに、別建てにするか、作家フィーに含むかを検討して、提示します。

(オ) 広報費

展覧会は一人でやっても意味がないのです。見てくれる人がいて初めて意味があります。広報が必要です。方法を考えます。ホームページやブログ、SNSを使う方法。チラシを出したり、メールを送ったりします。どのくらいお金がかかるでしょうか。

(カ) 事務費

安く見積もれないのが、事務の費用です。経理と人と時間の管理。自分が働いている時間も、事務については見積もりを出してみてもよいです。人に任せられるのであれば、外注できる部分でもあります。西洋では、キュレーターはテーマを立てる人と、運営する人と教育の大きく三つの部分に分かれます。できることなら、人に頼めるといいです。

(キ) 交通費

作家や自分がその場所に行くための、下見、設営、撤去の交通費を確保します。

(ク) 人件費

一番多くかかってしまうのが、監視をしてもらうお金なのですが、これは工夫しましょう。ボランティアを募集したり、友達に頼んだり、作家さんの在廊できる日を確認したりしましょう。

(ケ) 記録費

広報以外の展覧会の記録を作る場合、冊子をデザインしたり、編集したりする必要があります。全部自分でやるのか、頼むのか、頼まないとしても、そもそもどのくらいお金がかかるものなのか、確認しましょう。

(コ) 保険費

私は保険を掛けませんでしたが、人や物に対して輸送や展覧会の期間だけ保険を掛けるという方法があります。幸いけが人は出ませんでしたが、働いてくださる人たちに対して、できるなら、ボランティア保険に入っていたほうが良いかもしれません。作品は保険をかけても、結局直すのは作家なので、それは作家と相談して、どういうお金の使い方がいいか、検討します。

8. 助成

さて、お金の話が出てきました。きちんと予算を立てると何百万という単位のお金になってしまうと思うのですが、私は実際には、50万程度でやりました(自分の交通費と記録紙費は除いています)。諸々含めて70万程度です。

自分が企画をすることで、自分が相手に利益を出せると思ったり、公共の利益を出せると思ったら、それを助成してもらう方法があります。

(ア) お金の助成

ジカンノハナは時間をテーマにしていました。そのうえ、当時、作家のひとりは横浜市民でした。これは、横浜市の助成を受けることできるかもしれないと考え、助成金に応募しました。年度初めに応募して、秋に助成を受けたと思います。20万。

もし、助成金に申請するなら、助成金の種類を見分ける必要あります。その助成金は、一般の人を対象にしていますか?それともすでにプロの人たちですか?要綱や過去の助成金を受けた人たちを調べましょう。金額は自分たちのプロジェクトに妥当ですか?期間はあっていますか?

(イ) ものと人の助成

何も、お金だけが助成ではありません。ジカンノハナでは黄金町エリアマネージメントセンターから場所を半分無料で提供してもらいました。私たちは、展示会場AとBさらに宿泊施設を借りていたのですが、宿泊施設分を助成してもらいました。

そのほかにも、ボランティアを募集するとか、経理だけをお願いするとか、広告を掲載するので、助成してほしいとか、クラウドファンディングとかいろんな方法で、自分たちがしたい企画を実行するためのリソースを得ることができます。

お金が足りないときは、何に足りないのか考えます。それを別の資源で補えないか、考えます。

一度立ち上がった企画は出来上がろうという意志を持っています。上手に企画をサポートしていくと、道は開けていきます。

(ウ) ボランティアの確保(ウェブ)

小文章が立ち上がったくらい、実際の展覧会の3カ月前くらいからボランティアの募集を始めることができます。運営の補助としての人材を探すこともできますし、1カ月前には監視のボランティアを募集することもできます。ジカンノハナは監視の人は全員ボランティアでした。アート系の人材募集サイトもあります。活用して必要な人材を集めます。
https://www.nettam.jp/career/


9. 広報


展覧会は見てもらってなんぼです。そのためにはやってますよ!と告知を打つ必要があります。

(ア) 広報と会計は人に頼んだほうがいい

展覧会を運営するのは、マルチタスクです。しかも創造脳と事務脳の両方を使っているので、混乱します。一度に両方をうまく使い分けられる人はなかなかいないのではないなと思います。そのため、教訓としては、広報と会計は人に頼んだほうがいいです。自分で自分の宣伝をするのは、至難の業です。頼みましょう。経理は結局助成金の団体の方に直してもらいながら、一緒にやった思い出があります。優しい方でした。これもキャパオーバーになる前に頼みましょう。

(イ) プレスリリース

上記のような理由で、ジカンノハナではプレスリリースをメールで出してから、配布は、作家つながりであった広報を専門にやっている人にお願いしました。自分たちでやったのは、毎日のブログの更新(これはボランティアの人に書いてもらいました)とDMの配布です。噂と評判が人々に届いたのは3週間目でした。プレスリリースの書き方は、詳しいことをいろんなところに書いてあると思うので、それを読んでください。要点としては、それをみて、いつどこでだれが、なにを、どんな目的でしているのかがわかるペラ一枚の紙です。新聞を書く人が記事をかける材料になるものです。

(ウ) 看板等告知、キャプション

意外と見落としがちなのが、展覧会の看板を作ることとキャプションを作ることです。これは設営の一部でもあるのですが、実際にものとプリンターが必要なので、ひと手間なので、検討項目に入れます。看板やキャプションのデザインをお願いする人もいます。美術館など。

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