見出し画像

『虎に翼』⑨とらちゃん正念場?

先週の穂高先生と寅ちゃんのやりとりを、切ないというかやるせない思いで見ていた。

理想に向かって邁進する寅ちゃんのことは、応援している。
でも、穂高先生の大切なお祝いの会なんだから、本音をぶつけるのは後からでもよかったのに。

すり足で会場に戻られる穂高先生の姿に、胸が痛くなった。
ご自身を出がらしだと、雨垂れのひと雫にすぎなかったと言われた穂高先生。

もっと何かできることがあったのではないかと言う穂高先生は、その時代を生きた人なのだ。
女子部を作られただけで素晴らしいことだと思う。

理想に燃えている寅ちゃんにとっては、あの挨拶が許せなかったとしても、尊敬する穂高先生に頭を下げさせるのは、それは違う。

翌日訪ねて来られた穂高先生は「わかっとるよ〜」と、怒ることはない。
小林薫さんの優しい笑顔がたまらなかった。

「佐田くん、気を抜くな、君もいつかは古くなる
 常に自分を疑い続け、時代の先を歩み、
 立派な出がらしになってくれたまえ」

寅ちゃんだけに向けた穂高先生のご挨拶、心に届いてよかった。

最近、何かと「老害」が言われるけれど、桂場さんの言う「穂高イズム」はそんなもんじゃない。
皿を噛み砕くほどに。

そして今週はもう、アメリカの視察から帰った寅ちゃん。
アメリカかぶれで帰ってくるような寅ちゃんじゃないと思うけれど、小さな違和感が少し心配。

法曹界とは違うけれど、私の職場にも優秀な人が多い。
研究のためなら多少の犠牲は厭わない。

でも周りが同じ熱を持って理想に向かっているわけではないし(やる気がないというのでなく)、目立たないところの配慮や尽力を、見ようとしない人は気づかないまま当たり前になっていく。

猪爪(佐田)家では、寅ちゃんを稼ぎ頭に、家を切りもりしているのは花江ちゃん。
そこのところに気づいてこそ、寅ちゃんの厚みが増すと思うんだけどな。

アメリカのお菓子はともかく、花江ちゃんには美容クリームでも英語の料理本でもなく。
優未ちゃんのことも、寅ちゃんよく見てと言いたい気持ち。

明日以降、火花が散る場面もありそうで、心配しながら猪爪佐田家の家族を見守っている。


いいなと思ったら応援しよう!

御手洗 育/暮らしのエッセイスト
もしもあなたの心が動いたら、サポートいただけると嬉しいです。 書き手よし、読み手よし、noteよし、そんな三方よしのために使わせていただきます。