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【下手な鉄砲も数打ちゃ当たる】(新釈ことわざ辞典)記事版

恋愛や就職がなかなかうまくいかない人を、こう言って励ます人がいます。
でも、目標を明確に定めずに数打つよりは、射撃の腕を磨く方がいい。
下手な鉄砲は流れ弾で、周りに迷惑を、そして自分自身の未来に禍をもたらすのみです。

この項目を書いたのはちょうど2年前になります。
いつもの『ことわざ辞典』と異なり、ことわざの新釈説明文それ自体が『記事版』になってしまっています。

次のように書き換えた方がいいかもしれません:

【下手な鉄砲も数打ちゃ当たる】(新釈ことわざ辞典)
狙った目標には命中せず、仲間のハンターだったり、通りすがりの無関係な人々が流れ弾で次々と倒れていく。
技量の未熟な人間がそれをわきまえずに行動するといかに周囲に迷惑が及ぶかを説いたことわざ。

そのうち、差し替えます

つまりこのことわざ、正確には:
【下手な鉄砲を数打ちゃ ── 目標以外に次々と当たる】

おそらく、鉄砲を撃ち始める前にまずすべきことは、自分の『腕前』と『目標』を正しく認識することでしょう。
その上で、『戦略』を立ててから撃つ体制に入るのがいいのでしょうね。

『恋愛』ではこういうこと、しばしばありますね。
『数撃ちゃ』には2通りあります:
① 目標自体を次々と変えて撃ち続け、しかし、どれも的には当たらず、周りの人間が迷惑をこうむる。
② ひとつのターゲットに対して乱射するのにまったく当たらず、周りの人間が迷惑をこうむる。

タイプ①は、合コンで目撃することがあります。
学生時代に人数合わせで合コンに呼ばれることがありましたが、女性参加者に次々と ── しかも、かなりの熱量で ── 声をかけていく男がいましたね。
『機先を制す』というわけなのか、じっくり時間をかけてと思っている他の男性にかまわず、とにかく激しく撃ちまくる。しかも、『撃つ順序』まではっきり見てとれる。
しかし、女性側はこのハンターを見て、
(誰でもいいんかい!)
と呆れるのでしょう ── 途中から相手にされなくなります。
こんなメンバーがひとりいるだけで、女性たちから、
「……何?……このヒトたち(!)
と下手な鉄砲撃ちコミで(!)白眼視される他の男性参加者がとばっちりを受けて悲惨な事態になります。

タイプ②は、たとえば社内でひとりの女性に狙いを定め、ひたすらアプローチを繰り返す男がいました。
周りの誰の目にも、女性がまったく相手にしていないのに(でも育ちがいいのか、明確に拒否はしないこともあり)、
「脈あり」
となぜか確信を持って『押しの一手』を続ける ── まさに『ゴーイン矢の如し(これもことわざか?)』
しかも、二人だけの誘いに応じてくれないのは『段階』を踏もうとしているのか?と誤解して、彼女コミのグループ宴会や旅行を企画する。困った女性は他のメンバーに助けを求める……。

話はそれますが、『合コン』という代物、参加人数が多くなるにつれて『位置づけ』や『思い入れ』の個人差も大きくなり、厄介な集まりになりますね。

私は大学院(日本の修士)時代、既に結婚していましたが、しばしば学科の建物内で開催される合コンに、人数合わせ兼エンターテナー兼会費負担者として呼ばれることがありました。

不思議なもので、独身時代は女性と話すのがあまり得意ではなかったのに、結婚後にはなぜか軽いジョークをヘラヘラ連発したり、隣に座った女子学生を真顔でホメたり手を握ったり肩を組んだりなど平気でできるようになっていました。
── これを『進化』と呼ぶのでしょうか?

ま、それはともかく、私は自分が呼ばれた理由をきちんと理解して場を盛り上げているのですが、隣の女性と意気投合していると、これに嫉妬する男が必ず出てきます。
そして……
「あいつ、実は結婚しているんだぜ」
と漏らす男が現れます。
「え、ホントなの?」
「うん、そうだよ」
もちろん認めます ── そもそも、それまで独身だとはひと言も言っていない。
にもかかわらず、女性たちはまるで詐欺師でも見つけたかのように、呆れ顔になる。
それまで仲良くしていた同じ女性に話しかけても、
「奥さん、ゲンキー?」
とだけ応える、席を移動するなど、そりゃあもう、ひどい仕打ちです。

最も悲惨だったのは、某芸大の女性たちとの合コンで、ひとりの女の子と話していたら、
「結婚してるくせになんだ!」
酔っぱらった後輩のひとりに胸ぐらをつかまれ、部屋の外に連れ出されて投げ飛ばされたことすらあります ── 話が違うだろう!

……やれやれ

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