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けっこう信用がある?(街で★深読み)

顔面激突→救急搬送→治療→抜糸、と一連のプロセスを経て、脳外科医に、
「もう顔、洗っていいよ」
と言われた2日後、高校のクラス会が予定されていました。

医者のコメント次第で欠席しようかとも考えていましたが、コロナ禍をはさみ4年ぶりの開催でもあり、既に飲酒を解禁していたこともあり、出席しました。

会場に行くと、
「お、Pochi、頭、どうしたんだ?」
と当然の問い。
「いやあ……実は……カミさんとひと悶着あってね」
「ええっ!」
「……いろいろ、バレちゃって……」
「ええええ! ……たいへんそうだな……」
もちろん、100%ではないだろうが、65%ぐらいは信じた感じでしたね。

私はどうも、この手の才能(?)があるようで、新卒で入った会社で既婚入社と知ったオバサン先輩社員に囲まれ、
「ねえ、どうやって奥さんと知り合ったの?」
と《詰問》された。
「……ボクたちは、ふたりが6歳の時に親同士が決めた許嫁いいなずけどうしだったんです」
「ええっ、ホント!」
……まさか、こんなに簡単に信じるとは思わず、内心ひそかに驚いていました。
(別アカにもう少し詳しく書いています)

「……いやあ、こんな風に話したら、みんな信じちゃってねえ……」
家に帰って話すと、
「そりゃ、そうだよ! そんなくだらないウソをマジメな顔で話す人間がいるなんて、誰も思わないよ!」
「いや、これって、オレ、けっこう《信用》があるってことじゃない?」
「アンタ、バカじゃない? それはアンタ個人に対する《信用》じゃなくって、人類全般に対する《信用》なわけよ ── いや、── だったわけよ
「え? 人類? なぜ過去形?」
「アンタのウソのおかげで、その『人類全般に対する《信用》』が揺らいでしまったわけよ」
「……オレが、揺らがせた?」
「アンタひとりの《信用》なんかどうでもいいけど、アンタのせいで人類全体が迷惑をこうむっているわけよ」

(……うーむ。そんな重責を担っていたとは……)

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