マガジンのカバー画像

晴旅雨筆(エッセイ)

161
これまでの人生で書き散らしてきたノートの切れ端をちぎれ絵のように張り付けたエッセイ。本を読み、山に登り、酒を呑み、街を歩く。
運営しているクリエイター

2021年11月の記事一覧

「その風は、どんな桶屋をどう儲けさせるのか?」妄想するのはけっこう楽しい (エッセイ)

「もしも《真の》男女平等が実現したら」と題する下記のショートショートで、《人工子宮》の開発によって男性の妊娠・出産が可能になった世界を描きました。 このエポックメイキングな発明は、大きく世の中を変え、《マタニティー背広》や《授乳用模擬乳房》など、一連の革新的商品群が付随的に開発されます。Noterさんのコメントから、《乳母》という古典的サービス業の《復活》も示唆されました。 以前、学生に「こんな商品が《あったらいいな》」を考えてもらう宿題を出した話を書きました。 この場合は

日本に《なじまない》って何? リーダーには論理的に語ってほしい (エッセイ)

選挙が終わるまでこのテーマでの投稿を控えていました。 この、「ロックダウンは日本になじまない」というフレーズは、岸田首相だけでなく、遡ること2か月半、7/30のニュースが、菅首相の言葉を伝えています。 この「日本に《なじまない》」って何だろう? ここでは、「ロックダウンに関する法整備の必要可否」ではなく、このような表現を一国のリーダーが公的発言で用いることについて考えてみたいと思います。 「なじまない」という言葉は、「違和感がなくならない」「しっくりこない」という意味

「本当の親」って誰? (エッセイ)

日本語の表現で《違和感》を覚えるもののひとつが、「本当の親」あるいは「実の親」です。 かつては上の記事のように、➀受精に使われた卵子や精子の提供者を指す場合の他、➁誕生の後に養子などに出された子供にとっての生物学上の親を指す場合などに、最も普通に用いられていました。 稀にですが、➂産院で取り違えられた子供が、取り違えられなければ共に生活していたであろう親を指す場合にも使われます。 元原稿を確認していませんが、「英保健省」の発表の中では「本当の親」という表現は使われていない

自分が想像する「あったらいいな」は他の誰かも想像してる (エッセイ)

このところ、約20年前の講義の宿題で、学生が提出してくれた「あったらいいな」のいくつかを眺めています。 その中に、ちょうどその頃私が書いたショートショートにかなり近いアイディアがありました。 業界誌に掲載し、このnoteにも再掲した話です。その内容は: ・エレクトロニック・ショート・サーキット(ESC)社で開発中のテレビ用画像処理装置《配役》は、ユーザーのテレビに映る、ドラマ出演者の顔を好みの誰か──例えば、自分や知人に挿げ替えることができる。 ・このためには、自分や知人の

《「あったらいいな」想像》に関する「ドラえもん」の功罪 (エッセイ)

工業高専で講師を務めた時に、次のような宿題を出し、翌日、学生にそれぞれの《商品企画》を発表・議論してもらった話を書きました。 (1)あなたが「こんなモノがあったらいいな」という製品を書いてください。できれば、イラストを使って表現してください。 (2)その製品は、どんな《技術上のブレイクスルー》があれば実現するでしょうか? 工専での講義を3年3回終えた後、今度は某国立大学の工学部から、短期留学生向けの講義を頼まれ、こちらは5年間務めました。 半年間だけ来日している種々の学

《ESC社発 デコモニ・システム》の先進性を一席 (エッセイ)

昨日、またまた、かなり昔に書いたショートショートを投稿しました。 本エッセイは、その内容(というか、ビジネスモデルのアイディア)に関わる、少々自画自賛的エッセイです。スミマセン。 このため、その話「みんなディスプレイ」の最後に、 《初出:Materials Integration, Vol. 15, No.2 (2002)》 と余計なメモ書きを残してあります。 この話は、おなじみエレクトロニック・ショート・サーキット(ESC)社が開発した《額モニター》、通称《デコモニ》を使