夜間学校教師の憂鬱

みなさんは夜間学校についてどれくらい知っているだろうか。

夜間学校に触れずに生きてこられた方々からすれば、ドラマを通り越して最早ファンタジーの世界だろう。昼間に仕事をしている生徒が多いことやヤンキーが多い…といったイメージを持たれる方が多いと思う。が、校内暴力の嵐はとうの昔に過ぎ去ったし、今は正社員にも派遣社員にもなっている生徒も少ない。

では今はどのような生徒が通っているかというと、いわゆる「学校不適応」の子だ。不登校と言っても差し支えないと思う。学校にある様々なストレッサーから不調をきたし、頭痛や腹痛を起こして登校できなくなるらしい。

そうそう、起立性調節障害、なんてのも夜間に来て初めて知った単語だった。朝起きれないから夜の学校に行く選択肢をとる生徒も少なくない。

ほとんどの夜間学校に通っている生徒は、少なくとも小中学校を含む全日制課程の学校に行けていないのだ。

もちろん、このような理由を抱えずとも通学している生徒もいるわけだがーーそれと違って土台が整っていない分、中学校までの勉強はおろか、漢字に計算、アルファベットもできないし、ましてや人付き合いもままならないのである。

学校不適応になる原因はいくつかある。いじめのせいもあれば教員に傷つく言葉をかけられたり、家の環境のせいでもあったり。ただ、私が経験した夜間学校の話で言えば、ほとんど発達障害が原因だと言える…と思う。

ここで歯切れの良い言葉を言えないのは教員の性であって、「私たちは医者ではないから診断はできないんだけど、経験上当てはまるよなあ」といったなんともし難い表現なのである。

話を戻そう。

そう、発達障害。しかも、特別支援学校には入れないくらいの「グレーゾーン」。それを抱えて生きている生徒が多いのだ。現在、夜間学校は特別支援学校の亜種と化しているところが多い。どうやら小中高と全日制に通えなくなってしまった子たちにとって、夜間の学校は環境的に通いやすい場所らしい。満員電車も避けられるし。

思いっきり重度の発達障害であれば、パッと観察しただけでなんとなく察しがつくのだろうが、グレーゾーンの子は深く関わらないとわからない。保護者だって「普通の子」として認識しているものだから、今の今まで社会からの手助けをまったく受けてこなかった子の多いこと多いこと。だからといって保護者が全て悪いわけではないけれど。

ただ、本人はものすごく生きづらいと思ってるだろう。普段生活していて、他人と衝突しやすかったり、教室での生活音をやけに気にしたり。本人自身が「普通」とは違うという思いがよぎることはあったはずだ。いや、保護者も同じ道を辿っていたら本人も周りも気付くわけがないんだけれど。

それでも学校という社会がその生きづらさに気づいてやったのであれば。それで病院にいって、接し方や生活の知恵を享受していれば。…きっと生徒は生活が苦しくないはずだったのに!

たらればを話していてもどうしようもないわけなのだが、初等教育を終えた彼らは考えが固まりすぎてしまって(障害のせいもあるかもしれないが)こんなことを思わずにはいられないのだ。

今日は14時間も仕事をした。こんなにも生徒のことしか考えられないのはきっと疲れてるからだろう。今日はもう寝て、生徒対応にむけて体力をつけようじゃないか。








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