義肢装具士みうら/装具ラボSTEPs

2024年春に暮らしに寄り添う補装具製作所『装具ラボSTEPs』を開業しました。家の庭…

義肢装具士みうら/装具ラボSTEPs

2024年春に暮らしに寄り添う補装具製作所『装具ラボSTEPs』を開業しました。家の庭にDIYで作った3坪の小屋で一人で装具を作っています。すべての医療職、介護職、装具ユーザーに正しい装具知識を広めるための情報を発信しています。装具ラボSTEPsでの活動も報告しています。

マガジン

  • 装具に詳しくなれるマガジン【日常のトラブル編】

    装具を扱っていて遭遇する、日常のトラブルについて書いた記事をまとめました。それぞれの対処法や私自身の考えを書いています。このマガジンを読めば、今後遭遇するトラブルに、冷静に対処できるようになるはず! ①「装具を着けてくれない!」を考える ②装具をつけてくれない!≪実例編≫ ③麻痺側下肢の尖足に関する問題 ④装具が当たって痛い!」その原因は? ⑤装具再作製のタイミングと不適合要素 全5記事

  • 装具に詳しくなれるマガジン【生活期で装具を作るには】

    10年以上、義肢装具士として働く中で学んだこと、気づいたことを記事にしました。「生活期で装具を作るのはハードルが高い」と言われることが多いですが、このマガジンを読めば「作ってみよう!」という気持ちになれるはず! ①装具難民問題と私たちにできること ②治療用装具と更生用装具について ③装具は介護施設でも作れます ④生活期における装具の作製はどうすればいい!? ⑤装具のこと、どこに相談すればいい? 全5記事

最近の記事

「ぎしそうぐし」が伝わらない!

こんにちは、義肢装具士のみうらです。 今回は、あまりためにならないお話かもしれませんが「義肢装具士の知名度低すぎる!」という雑談です(^^; とにかく医療職以外のひとに「義肢装具士です!」と言って伝わった試しがない! なんなら、医療職でも整形外科やリハビリテーション科に関わる人でなければ「義肢装具士」は知らないですよね💦 ぎりぎりわかってもらえるのが「パラリンピックの義足」というワードでしょうか。そう思うと、普段あまり目立たない「義肢装具士」という職種にまで、光を当て

    • 装具の中で踵が浮いてしまう!問題について

      こんにちは、義肢装具士のみうらです。 私が生活期の装具対応を行っていて、一番悩ましいのがこの拘縮が進んでしまう問題です。 非常に残念ですが、こういったことが生活期では多く見られます。 「拘縮が進んで、装具の中で踵が浮いてしまう」と聞くと、義肢装具士である私たちは「補高を積んで隙間を埋めると適合が改善する!」と短絡的に考えてしまいがちです。 でも、なぜ拘縮が進んでしまったのか?を考えることが大事です。 装具の装着時間が短いのか? それとも、装着しているけどベルトの締

      • 立脚中期のバックニーをとめたい!

        こんにちは、義肢装具士のみうらです。 脳卒中片麻痺の歩行において、たびたび問題になるのが「バックニー」の問題。膝のロッキングとも呼ばれる現象です。 短下肢装具でバックニーを防ごうとしたものの…ということありませんか? 一般的には、短下肢装具の初期背屈角度(底屈制限の角度とも言えますが今回は背屈角度で統一します)を0度→5度などに変えると、立脚中期に下腿が後傾しにくくなりバックニーが出にくくなると考えられます。 でもそれって実は、足底が床にしっかり着いていることが前提な

        • 新しい装具を着けた時に確認すること

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 新しい装具が出来上がって、歩容や装着感の確認はしたけれど…ってことありますよね。 これは「新しい装具だから仕方がない」では済まされない失敗です。 まず、義肢装具士は新しい装具を装着した場合、本人の装着感や見た目のフィッティングだけではなく、装具をはずした後の発赤の有無を必ず確認しなくてはいけません。 そして、セラピストは「表在感覚が鈍麻」という装具を装着するうえで非常に重要なことを、必ず情報提供してほしいと思います。 もちろん、

        「ぎしそうぐし」が伝わらない!

        マガジン

        • 装具に詳しくなれるマガジン【日常のトラブル編】
          5本
          ¥450
        • 装具に詳しくなれるマガジン【生活期で装具を作るには】
          5本
          ¥450

        記事

          なぜ装具は償還払いなの??

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 義肢装具士は病院で働く医療スタッフと違って、お金を頂くところまでが仕事です。 なので、時にこういったトラブルに見舞われます💦 怒ってしまうおばさまの気持ちもわかるけど、ちゃんと説明したのに怒られてしまう義肢装具士も可哀そう… 治療用の義肢装具は「償還払い」が基本ですので、一度患者さんが装具代金を全額支払いし、後で本人が申請手続きを行うことで装具代金の一部が返金されるという流れになります。 でも、けがや病気で義肢装具を着けたにもか

          なぜ装具は償還払いなの??

          装具のこと、どこに相談すればいい?

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 「生活期の装具の相談って、いったいどこにすればいいの??」 と聞かれることがあります。実際にこういったトラブルありませんか?

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          装具のこと、どこに相談すればいい?

          生活期で働く義肢装具士の悩み

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 私が生活期で装具対応を始めた時、通所リハや訪問リハと連携を取りたいけどうまくいかない!ということがよくありました。 私としては、装具の修理を自宅でするよりは、リハビリ担当者と連携をとって進めたほうが、良いのではないかと考えていたのですが… これ、決して施設側が悪いわけではありません。 問題は私を含む多くの義肢装具士が「介護領域のことを何も知らない」ということが問題なのです。 デイサービス=通所介護 デイケア=通所リハビリ とい

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          義肢装具の専門用語は難しい!

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。久しぶりの更新になってしましました! 今回のテーマは「専門用語」です。義肢装具に関する用語って専門用語でありながら、地域差があったり、整形とリハビリで呼び方が違ったり、非常に曖昧なところがあります。 これは実際に私が経験した、小児整形での一場面です。「継手なしのシェル型長下肢装具」という言い方があっているかどうかはともかく… こういったコミュニケーションエラーは、義肢装具士として働いていたら一度は経験したことがあるのではないでしょうか

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          気になる職業(?)義肢装具士に向いている人とは?

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 私が義肢装具士として発信をしていて、意外とよくいただく質問があります。それは 「義肢装具士になるにはどういった資質が必要でしょうか?」 「義肢装具士に向いている人とはどんな人でしょうか?」 といった質問です。 おそらく質問をくれるのは、義肢装具士養成所へ入学を検討している学生さん、もしくは転職を考えている社会人の方でしょう。 それだけ義肢装具士の仕事というのは「気になる職業」ではあるけど、実態がわからない「謎の職業」なのかもし

          気になる職業(?)義肢装具士に向いている人とは?

          装具のお手入れどうしてる?【金属支柱編】

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 今回は金属支柱付き装具のお手入れ方法についてお話していきます。 まず金属支柱付きの装具とは、一般的にイラストのような構造になっています。 基本的に革と金属で構成されているので、洗うことができず、非常に衛生管理が難しい装具です。革靴と一緒で湿気を避けて、表面が汚れたらブラシで落とすぐらいしかできません。 革表面のお手入れをしたい場合は、革用クリームを塗っても良いのですが、装具に使われている革が天然皮革か合成皮革かは、見た目ではなかな

          装具のお手入れどうしてる?【金属支柱編】

          装具を着けていてもお洒落な靴が履きたい!

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 Twitterや質問箱を見ていると 「装具を着けているので、履きたい靴が履けない…」 という装具ユーザーさんの声を目にすることがあります。

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          装具を着けていてもお洒落な靴が履きたい!

          装具のお手入れどうしてる?【プラスチック編】

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 前回に引き続き装具のお手入れに関して、お話ししようと思います。 今回は「プラスチック編」というように、ざっくりと材料で分けてみました。というのも、同じ体幹装具という区分でも材料によって扱い方が変わってくるんです。 プラスチック製の装具とは、下肢装具なら「シューホーンブレイス」、上肢装具なら「カックアップ」、体幹装具なら「モールドコルセット」などが代表的です。 繊維や皮革などの軟性素材や、金属材料に比べてお手入れの必要性が少ないのが

          装具のお手入れどうしてる?【プラスチック編】

          装具のお手入れどうしてる?【コルセット編】

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 装具をお使いのみなさん、医療職・介護職のみなさん、義肢装具士からお手入れの方法を聞いたことはありますか? 意外と「聞いたことない!」という方が多いのではないでしょうか。 実際、私自身も装具のつけ方や装着時の注意事項はお伝えしますが、装具のお手入れの方法までは、お伝えできていないことがあります…(ごめんなさい💦) でも、装具を使う上でお手入れってとても重要だし、人それぞれ「これがあたりまえ!」と思うラインが大きく異なる部分でもあると

          装具のお手入れどうしてる?【コルセット編】

          「装具が大きくなってカバーシューズの選択肢が減ってしまった」に対する質問回答

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 先日、Peingの質問箱を作ってみました。皆さんの質問から私自身が学ぶことが非常に多いので、義肢装具に関する質問ならなんでもこちらに送ってくださいm(__)m さっそく、頂いた質問の中からこれは多くの方が困っているかも!と感じた質問を取り上げてみたいと思います。 こちらが質問です↓↓ まず、足の大きさが24cm以上でも金属支柱付き装具をつけることは珍しくありません。 ただし、脳性麻痺に代表される先天性(もしくは小児期から)の下肢

          「装具が大きくなってカバーシューズの選択肢が減ってしまった」に対する質問回答

          外反母趾に使う装具

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 「外反母趾」とは、足の親指が小指の方に曲がっていく症状で、60代女性の3人に1人が外反母趾に悩んでいると言われるほど、身近な足のトラブルです。 この「外反母趾」は残念ながら装具では治すことはできません。 そのため、外反母趾による指の変形をもとの形に戻したい!という場合、今のところ手術しか方法はありません。 手術はちょっと…という場合は、装具を使って変形を予防したり痛みを和らげたりして保存療法を行います。 では、外反母趾に対する装

          装具に「補高」をつけるとき、気を付けること

          こんにちは、義肢装具士のみうらです。 今回は足関節の背屈制限がある場合に検討することが多い「補高」について、注意点を挙げておきます。 過去にシューホンの角度に関する記事を書いたことがあるので、そもそも足関節に可動域制限がある場合にどのように角度設定したらよいのか?に興味がある方は、以下の記事を参照ください。 ひと言に「補高」といっても、加工の仕方によって3種類の「補高」があります。 ①踵から踏み返しにかけて均一に高さを付加する これは脚長差がある場合に、よく使われる

          装具に「補高」をつけるとき、気を付けること