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優しい花屋さん

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優しい花屋さん #1

優しい花屋さん #1

-作文-

将来の夢

石田 咲(いしだ さく)

僕の将来の夢はお花屋さんになることです。

お父さんとお母さんがやっているお花屋さんを
一緒にやることです。

毎日キレイなお花をお客さんに渡してます。

お父さんとお母さんはお客さんにお花を渡す時
とてもニコニコしてます。

そんなお父さんとお母さんみたいな
お花屋さんになりたいです

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優しい花屋さん #2

優しい花屋さん #2

真っ暗な闇の中。

目を開けた先に淡く小さい光が浮いている。

その光は僕から徐々に遠のいていく。

その光に近付けば近づくほど
光どんどん早く僕から離れていく。

「置いてかないで!!!!!!!」

声にした途端、
淡く小さい光は何も無かったかのように
消えてなくなってしまう。

また真っ暗な闇の中でひとりぼっちだ。

何かを忘れてしまったかのように
ぽっかりと空いた心の穴は

目を覚ましても埋

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優しい花屋さん #3

優しい花屋さん #3

「この花綺麗ですね。」

開店直後の店内で僕に声掛けてきたのは
OLらしき女性だった。

「この花ですか?」

「はい。とても綺麗な色。」

「この花はアルストロメリアっていう花でして、
花言葉は”持続”と”未来への憧れ”などですね。」

「へー。」

「花の色はピンクなので”気配り”もそうですね。」

「詳しいんですね。」

「伊達に花屋じゃないので。」

女性はクスッと笑い、

「じゃ

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優しい花屋さん #4

優しい花屋さん #4

「おにいさん。」

声をかけてきたのは
先日のOLらしき女性であった。

「どうされました?」

先日来店された際は通勤服であったが
今日は私服のようだ。

「今日もお花を買いに来ました。」

前回同様ニッコリとした笑顔で

「あの花を買ってから、
お花を眺めるのが日課になってしまって。」

放つ言葉一つ一つは前回と変わっていた。

「あ、あの紫色の花。とても綺麗ね。」

「これはラベンダー

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優しい花屋さん #5

優しい花屋さん #5

女性が去った数時間後、
花屋の前を汗だくの若い男性が通った。

ただ通るだけであれば
印象にも残らなかっただろう。

しかしその男性は花屋を前にして
こちらをキツく睨み走り去って行ったのだ。

僕は訳も分からず、

女性の事と男性の事でモヤモヤさせながら
その日の店じまいを始めた。

目を見れないほどの顔をしていた女性。

こちらをキツく睨む男性。

「たまにある不運な日だったのだろう。」

そう

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優しい花屋さん #6

優しい花屋さん #6

夜もまだ明けない頃。

外からする物音で目を覚ました。

誰かが店のフェンスを叩いている。
何か言ってるようだ。

酒の入った寝ぼけた頭では
処理が追いついていなかった。

時計を見ると1時過ぎだった。

重い身体を起こして店へ向かう。

ドンドンと叩く音と男の声が聞こえる。

「おい!いるんだろ!!出てこい!」

フェンス越しに男へ話しかける。

「裏口から行くので少々お待ちください。」

自室

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優しい花屋さん #7

優しい花屋さん #7

男は優花の彼氏で浩平と名乗った。

浩平の言う話によると

元々花を見たり、
育てたりするのが好きだった優花は

休みの度、ホームセンターなどへ行き
花を購入したり、種から育てたりしていた。

しかし、

ある時に勤め先の会社から
急に解雇通知を渡された。

上司に掛け合った所、
理由は有耶無耶にされたとの事だ。

それでは納得のいかなかった優花は
会社の知り合いなどに話を聞いて回った。

すると

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優しい花屋さん #8

優しい花屋さん #8

絞り出した優花の言葉は
思いもよらぬ出会いになった。

アルストロメリアとの出会いだった。

先の考える余裕さえない優花にとって

僕の放った言葉、
アルストロメリアの持つ花言葉は

救いの手であった。

「持続」長く楽しんでいた趣味からの出会い
「未来への憧れ」今後の未来への憧れ

そして

「気配り」親に名付けられた名前の由来

『優しい花ような女性になりなさい。』

アルストロメリアを購入す

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優しい花屋さん #9

優しい花屋さん #9

「睨んでたつもりはなかったんです。
ただここかと思い見てました。」

「いいんですよ。仕方の無いことです。
ちなみにラベンダーの花言葉はどこで?」

「走った先に公園があって
そこで休憩をしながら調べました。」

「そうだったんですね。」

「はい。こんな夜遅くなのにすいません。
俺も気が気じゃなくて。」

「気にしないでください。」

そして僕はおもむろに席を立ち

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優しい花屋さん #10

優しい花屋さん #10

その後2人がどうなったのかは僕は知らない。

ただ一つ変化があった。

花屋を続けていて、
ずっと空いていた心の穴は静かに埋まっていた。

浩平が帰ったあと、僕はもう一眠りをした。

その夢の中で

真っ暗な闇の中にいる
淡く小さい光が僕に話しかけてきた。

「よくやった。」

これがどう言う意味なのかは
イマイチわかっていないが

おそらくあの二人のことであろう。

最近はとても楽しく花屋をやっ

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