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設計事務所の働き方(及び意識)改革

数年前からこの業界では深刻な人手不足が続いていると聞く。建築に限らない話だとも思うけれど、私の勤める事務所でも人手不足問題の解消は難しいため、今いるメンバーでいかに生産性を上げていくかをもっと真剣に考えていく時期なんだと思う。結果的にそれが作品性の向上へつながる。日経アーキの特集を読むと、社内コミュニケーションの充実が重要だと。

以下は概略

■日建設計は、2017年1月から「時間デザイン」と名付け、過剰労働を減らす取り組み。目的はワークライフバランスの実現、長時間労働からの脱却による生産性の向上など。

■プランテック総合計画事務所は、17年3月にオフィスを拡張し、「プランテックカフェ」を設置。朝食やコーヒーは無料、ランチは格安で提供。カフェの目的は外食や買い物に出なくても済むこと、グループ会社の垣根を越えた交流を増やすこと。

■佐藤総合計画は、デスク幅の変更、資料保管の廃止によって空間に余裕を与え、不足していた打ち合わせスペースに割り当て。フロア中央吹き抜け周辺に打ち合わせ席を配置。打ち合わせの様子がどこからでも見え、コミュニケーションが取りやすいと好評。

■NAP建築設計事務所は、1階がキッチンを備える大きなミーティングスペース。月に1回は所員が集まり食事会。食事会をしながらグループリーダーが担当プロジェクトから学んだ知見や失敗を説明。重要な情報を共有するナレッジマネジメントの一環。

以上を参考に、私たちの事務所では何ができるのかを考えてみたい。まちづくりの企画などを見ても、空間構築の前に「こんな場所があったら何がしたいか」などの話し合いからはじめるという。

たとえばコピー、ホチキス、穴あけなどの共通作業場、あるいはコーヒーなどを入れる給湯コーナー、模型を作る作業テーブル。これらを効率性だけでなくコミュニケーション誘発の場として再構築できないかなど。さっそく次回の業務会議で議題に上げてみよう。

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若干それるけど関連ありそうで思い出した平田さんの言葉。

我々の世代の建築家は事務所内で議論をする人が多いと思います。その方がいろんなもの掛け合わされて面白いものが生まれる可能性が高まる。その議論をモデレートする役割がトップの建築家なんだと。(建築設計02号)

さらに、オンデザイン・西田さんの言葉。

これまでの最大の改革は、トップダウンから共同設計へのシフトだと思うが、それにより、ゴール共有型のつくり方からスタート共有型のつくり方に変化した。(オンサイトの実験)

大西麻貴さんは、事務所を東京の下町の1階の元ガレージへ移したことで、まちとの関係も、建築に関係する人との関わり方も変わっていったと。(建築設計02号)

つまり働き方改革と意識改革は表裏一体ということか。

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