ソーシャルPM手法の勉強会 Vol.5~ ステークホルダーマネジメント
こんにちは。ソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会の立澤です。
少し時間が経ってしまいましたが、今年の前半に実施したソーシャル・プロジェクトマネジメント手法の勉強会から、今回はステークホルダー・マネジメントについてご紹介いたします。
ステークホルダーとは、プロジェクトをとりまく関係者のことです。
まずステークホルダーマネジメントの対象は「ステークホルダーそのもの」ではありません。
ステークホルダーマネジメントとは、「人・グループ・組織」を特定して、「人・グループ・組織」のニーズや期待を対象にプロジェクトそのものやプロジェクトのゴールに愛着を持ち、共感し、貢献しようと思う方向に促すことです。
ソーシャル課題におけるステークホルダーマネージメントには、以下の特徴があると考えます。
関連する人・グループ・組織の数が多い
関連する人々の「ニーズ」「期待」「目標」に多様性がある
価値≠ビジネス(経済価値)だけではない。社会価値が重視される傾向にある
権力を行使できない/行使しても効果が期待できないことが多い
組織の壁を越えた「コラボレーション」がより重要
行政や市民のつながりがより重要
これらの特徴を踏まえ、有効な手法をまとめました。
コミュニケーション手法
タイプ分けの概要
タイプ分けとは、「⼈をもっとも特徴づけるのは、他者とのコミュニケーションである」という前提に⽴ち、臨床⼼理学、組織⾏動学などをベースにつくられたコミュニケーションの分類⽅法です。
目的:ステークホルダーを観察することで⾏動特性や思考特性を推察し、早期に信頼関係を構築すること
効果:相⼿に「刺さる」「琴線/逆鱗に触れる」ポイントが推察でき、相⼿の⾏動変容を促しやすくなる
利用シーン:初めて会った時から継続的に活⽤可能
タイプ分けの種類
ステークホルダー⼀⼈ひとりに対する「タイプ」のラベリングとして、以下の分類方法があります。
分類方法1:ソーシャル・スタイル
分類方法2:コーチング
分類方法3:DiSC性格類型型検査
プロジェクトマネジメント手法(PMBOKより)
ステークホルダー登録簿の概要
ステークホルダー登録簿でステークホルダーを洗い出し、分類します。
目的:ステークホルダーを特定し、プロジェクトとの「関わり⽅」を明確にすること
効果:プロジェクトとステークホルダーの関係を「⾒える化」し、⾏動計画を⽴て易くする
利用シーン:プロジェクト⽴ち上げ時、状況に変化があった時、定期的な更新も有効
ステークホルダー登録簿の作成手順
STEP1:観察/情報収集
重要⼈物を特定する(識別情報・評価情報)
STEP:評価軸の決定
分析軸を決める(ステークホルダー分類の決定)
ステークホルダー登録簿の活用方法
(例)権⼒と関⼼度のグリッド
ビジネスモデル・ツール
WCA(Wants Chain Analysis/欲求連鎖分析)の概要
⼈々の「価値」の裏側にある「動機・欲求」に着⽬した分析⼿法
目的:ステークホルダーの欲求の関係性を⾒える化すること
効果:価値が満⾜にどのようにつながっているか検証できる
利用シーン:ビジネスモデルの設計や変更時、ステークホルダーの価値に変化があった場合の状況分析
WCAの活用方法
1. 既存のビジネスやサービスについて、各ステークホルダーの⽴場で動機や欲求を整理・分析することで事業継続の問題点などを整理できる
2. ソーシャル課題における問題の構造を明確化し、問題解決の⽷⼝が発⾒できる
感想
ステークホルダー登録簿やタイプ分けは以前学んだことがありましたが、WCA(Wants Chain Analysis/欲求連鎖分析)は初めて聞いたのでとても興味深い内容でした。
ソーシャルPM研究会は様々な業界、業種の方が参加しており、いろいろな知見を得ることができるコミュニティかと思います。ぜひ、引き続きブログを読んでいただきたいと思います。
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