共同体の破壊は日本人を無力化する

(かわせみ亭コラム#13)
日本が本当に恐るべきことは、人々の孤立分断化および企業の孤立分断化による共同体の破壊なのではないだろうか。利益共同体の破壊、地域共同体の破壊は現在も恐ろしい勢いで進んでいる。更に、経済のグローバル化による利益至上主義は異常なコスト競争を招き、国内の企業は怒涛のごとくオフショア委託生産や生産拠点の海外移転を進めており、これらの動きは国内における分業体制を破壊し共同体の衰弱化を招いているだけではなく、企業内部における業務の分断化・孤立を招いている。さらにコロナ感染の大流行が人々の分断化・孤立を決定的に深めている。
このような孤立分断化の環境の下で何も対策を講じなければ、日本はその力量を発揮できずに衰退の道をたどらざるを得ないだろう。

千数百年来に渡って培われてきた共に力を合わせ、弱い者を見捨てないという日本人の文化は、その道徳規範をはじめ行動規範に至るまで明文化はされていないが、しっかりと日本人全員に根付いていた。この道徳規範や行動規範は先の大戦による徹底的な破壊と敗北によっても決して消えることはなかった。日本文化は、この緑豊かな国土と大海に囲まれた環境に合わせて自然界との融合の中で生れてきたものであるから、目先の利益追求にあおられて欧米文化に塗り替えようとしても土台不自然かつ非合理的な行動に終始しかねない。日本人は自分たちが持つ特性を十分に発揮しさえすれば国難ともいえるような問題をも解決できると信じたい。日本人の良い国民性であった強い者も弱い者もお互いに助け合うことや、強い者が更により多くの責務を果たすことをもう一度実行する必要がある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?