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空(24)

 よく空を見る少年であった。いや、青年のころも空を見ていたように思うが、東京に住んでからはあまり空を見なくなった気がする。大人になったとか、趣味嗜好が変わったとか、魚類になったからとかではない。それが証拠に、今も空が好きである。

『東京には空がないといふ』
 ※高村光太郎『あどけない話』より抜粋

 有名な文句である。田舎の空は広く、東京の空が狭いというだけの意味ではなく、ゆっくり空を見ている心の余裕もないのだと勝手に解釈させていただくと、空がないという言葉は腑に落ちる気がする。実際、ゆっくり空を見る暇がないほど忙しいかと問われると、現在そんなことは全くなく、朝から晩まで干からびるほど空を見る時間はある。だが、見ていない。見ていないものはないものと一緒だ。

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この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com