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本当に関心は高いの? Z世代のSDGsに対する意識調査

この2~3年でマスメディアでも多く取り上げられるようになってきたSDGs。SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略称で、「持続可能な開発目標」という意味です。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、17のゴール・169のターゲットから構成されています。

世界的に見ても若者の方がサステナビリティ(持続可能性)に関心が高いと言われており、日本でも若者の考え方や行動に注目が集まる傾向がありますが、実際彼らはSDGsに対してどのくらい意識を持っているのでしょうか。

ということで今回は、Z世代のSDGsに対する意識と行動に迫ります!

【調査概要】
<調査対象>
15 ~34歳の男女570名
<調査実施期間>
2022年3月10日~15日
<調査方法>
インターネット調査

SDGsに対してどのような印象を持っている?

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若い世代ほど「良いこと」とポジティブな印象を持っており、10代では男女ともに半数を超えています。また。「取り組むべきこと」「考えるべきこと」「社会課題」といった課題意識も、概ね若年層の方が高い傾向にあります。Z世代がSDGsに対する意識が高い、というのは日本でも当てはまるようです。

逆に「難しい」「意識高い系の人がやっていること」「怪しい」というネガティブな印象を持っている人は男女全年代で1~2割程度おり、この先理解を深めてもらう余地がありそうです。

学校や職場で詳しく学んだ?

小学校では2020年度、中学校では2021年度、高校では2022年度から「新学習指導要領」が実施され、その中に「持続可能な社会の創り手の育成」が明記されています。つまり、学校でSDGsをきちんと教わる機会が設けられるようになったのです。道徳の授業などで扱われることはあったようですが、果たしてどのくらいのZ世代の方々が学校で詳しく学んでいるのでしょうか。また、既に学校教育を終えている社会人は、SDGsについて学ぶ機会を得られているのでしょうか。

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15~19歳では男女ともに約43%が「学校で詳しく学んだ」と回答しており、「学校で簡単な資料をもらった程度」と合わせると約半数が学校で何かしらの形で学んだ経験をしています。他の質問項目でも10代は関心度が高い結果となっていますが、この学習状況が意識の高さに繋がっていると言えそうです。

一方で、社会人がメインとなる「職場の研修で詳しく学んだ」「職場で簡単な資料をもらった程度」は20~34歳で数%から高くても18.4%と、そもそも学ぶ機会を持てていないようです。「全く学んだことがない」も、世代が上になるほど割合が大きくなっています。CSR活動としてSDGsに前向きに取り組む企業は増えてきましたが、働く個人にはまだまだ行き届いていないようです。対外的な活動も重要ですが、まずは各社、自社の社員にSDGsを理解してもらう機会を作ることが大事な一歩であると考えます。

SDGsの17の目標のうち、特に関心が高いのは?

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男女の各世代で、関心が高い項目を3つ並べると以下のとおりでした。

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男女の比較では、全体的に男性は「貧困」と「健康と福祉」に、女性は「ジェンダー平等」に関心が高いことがわかります。日本は世界的に見ても女性の社会進出が遅れている(参考:2021年3月に公開「Global Gender Gap Report 2021」で、日本は156ヶ国中120位)、と言われるように、女性は当事者意識も多少働いていると推察されます。

次に男女別に世代間の違いを見ていきましょう。Z世代男性は25歳以上に比べて「教育」への関心が高く、Z世代女性は25歳以上に比べて「貧困」と「飢餓」に関心が高くなっています。ジェンダー平等のように「貧困」も、昨今の日本でも深刻な社会課題と言われていますが、その影響がこの結果にも反映されているように感じます。

実践したことがあるSDGsに関連した行動は?

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全世代で見ると、「エコ」なアクションとして昔から推奨されてきていることがメインとなっています。日常生活の中で手軽に起こせるアクションである、という点もポイントでしょう。

しかしながら各項目、性別・世代間の差も見られます。かしながら各項目、性別・世代間の差も見られます。

・ 「ゴミをなるべく減らす」は、20~24歳女性でかなり低い割合に。
・ 「節電・節水をする」は、男性では若年層ほど多く、男女比では男性よりも女性の方が多い。家庭内でのルールなどが影響していそう。
・ 「エコバッグを持ち歩いて使う」は、男女ともに20~24歳で極端に少なく、男性は30~34歳も少ない。20代前半は必要な時にはレジ袋を買う、という選択をしているよう。
・ 「自宅で食材を余らせないで使い切る」は、全体的に男性よりも女性の方が多く、特に25歳以上の女性が多い。家事の分担が影響している可能性が高い。
・ 「なるべく徒歩・自転車で移動する」は、15~19歳男女と、25歳以上の女性で多い。通学や、健康維持目的のウォーキングも影響しているのでは。

Z世代はSDGsやサステナビリティをアピールする商品に好感を持つ

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男女ともに20~24歳で「好感を持ち、買いたくなる」の割合が他の世代に比べて多く、関心の高さがうかがえます。「好感を持つが、買おうとは思わない」を含む「好感を持つ」人の割合は、男女ともに若年層ほど高い傾向が出る結果となりました。SDGsへの貢献やサステナビリティは、Z世代向けの商品訴求においてひとつ重要な指標となっていきそうです。

「好感を持てない」という方々に、その理由を聞いてみました。

・ 特に必要性を感じない
・ SDGsに便乗した商売のように感じてしまう
・ 意味がなくて無駄だと思う
・ 面倒くさい
・ 特に理由はない

SDGsは個人の意志に委ねられるところが多い目標ではありますが、現時点でこのように感じている方々にも少しでも自分ゴト化してもらえるような社会にしていきたいものですね。

一方で、「SDGsに便乗した商売のように感じてしまう」というのは企業側が広告宣伝などにおいて気を付けるべき、重要なポイントです。生活者にそのような意識を与えないよう、SDGsに絡めた訴求をするときには丁寧に説明することを意識しましょう。

まとめ

SDGsについて、ポイントは以下の通りです。

① 学校などでの学習がZ世代のSDGsに対する意識の高さに繋がっている
② 日常生活で手軽に取り組めることからSDGsアクションを起こしている
③ 若い世代ほど、SDGs・サステナビリティをアピールする商品に好感を持つ

私自身、恥ずかしながらSDGsのことを理解して実践を始めたのは最近のことです。社会人になると、日々の業務に追われて学びは後手になってしまったり、深い知識を得られる機会が少なくなります。今回のQ2の結果のように、学生は学んでいる割合が多く、年齢が上がるほど少ない、という事実も体感と同じでした。次の日本を背負っていくZ世代や以下のα世代が学校でSDGsについて学習することは大変有意義で、より良い社会を築くことに繋がっていくと思います。

一方で我々大人たちも、「若者はSDGsの関心が高いんだなぁ」で終わらせるのではなく、彼らの見本になれるくらい知識を深めて実践をしていきたいものです。世代に関係なく、地球の住人としてみんなでSDGs達成に向けて取り組んでいきましょう!

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堀 かおり
2014年、電通テック入社。2018年5月より +tech labo の研究員となり、“Z 世代”を軸として開発業務を行っている。Z世代男子に向けてメンズ美容の情報を発信するInstagramアカウント「Boys Beauty」のプロデューサー。