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複数のSNSを使い分け!Z世代の美容情報収集法

2018年よりメンズ美容市場の動向を追ってきましたが、店頭で売り場が拡大しても男性たちについて回ったのが「なんとなく恥ずかしい」という意識でした。ことメイクにおいては、男性が化粧品を手に取ること自体に違和感を持つ人々がまだまだ居ます。

そんな中、インバウンド需要に代わる成長期待市場として注目されたのがメンズ美容市場であったことから、昨年秋ごろからマスメディアで”メンズメイク/メンズコスメ”というワードを目にすることが増えました。この現象が、男性ユーザーの恥ずかしさを払拭して背中を押すことに繋がったと推測されます。実際にGoogle検索も昨年9月~10月頃に伸びました(図1参照)。メンズ美容市場はまだ過渡期にありますが、若い男性ほど美意識が高いので(図2参照)、世の中の受容性が高まればそれに比例するように伸びていくのではと予測しています。

<図1>

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<図2>

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前段が少し長くなりましたが、先述のような美容市場の動向を踏まえ、今回は「美意識の高いZ世代は美容情報をどのように得ているのか?」についてまとめてみました。女性だけでなく男性も、美容情報を得るためにSNSを複数使い分ける層が生まれ始めています。

【インタビュー】
<対象>
Boys Beautyアンバサダー6名(21~24歳)
【アンケート】
<対象>
全国の15~34歳までの男女424名
<調査実施期間>
2021年2月24日~26日
<調査方法>
インターネット調査

美容情報はアナログよりデジタルで

Q1 美容情報を自分から探すことはありますか?

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Q2 設問1で「ある」と答えた人にお伺いします。どこで美容情報を探していますか?当てはまるものを全てお選びください。

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「TikTokでは、マッサージや軽い運動を見る。調べるというよりは、見る感じ」
「メイクよりマッサージにハマっていて、マッサージの情報をInstagram(画像+動画)やTwitterで見る」
「美容の情報を見る習慣があまりない」
「最近はTikTokでチェックすることが多い。(2020年の)夏頃は、ロフトなどメンズコスメのコーナーに行って実物を見て、説明も読んで、良さそうと思ったものを買っていた」
「ヘアマスクは、YouTubeやTikTokなどで検索してから買うことが多い。Instagram→TikTokの順でハッシュタグ検索して、ネットで買うこともある。美容系のHOW TOもあるし、スキンケアはTikTokを参考にしている。メンズ美容誌は全く見ない」
「テスターが試しづらくなり、店頭で買うことは減った。今はYouTubeでレビューしている人を探して、気になったらネットで買う。あと、Instagramのハッシュタグ検索も使います。今のところ失敗はありません」
「TikTokでハッシュタグ検索した時の見やすさは、他とは全然違う。静止画よりも動画の方が、情報量は多い」
「雑誌で見たコスメ→TikTokで検索→Instagramで検索。美容専門誌だと手軽さがなく、モチベーションが高い人しか買わないので、得策じゃないと思ってる」

TikTokを検索ツールとして活用している、という声をこの半年で多く聞くようになってきました。まだまだメンズコスメ領域での活用事例は少ないですが、Z世代をターゲットとする商材では重要なツールとして見て行く必要がありそうです。YouTubeと比べて撮影・編集の負担が少ない上に拡散性も高いため、予算が少なくても効率良く活用できます。

アンバサダーに聞きました!

Q. ロフトとかハンズに売ってるメンズコスメって、割とデザイン重視で成分などがわかりづらそうな印象。最終的に決める基準ってなに?

「YouTubeやTikTokの広告でよく見かけるBULK HOMMEは、モノトーン系でかっこいいイメージで人気。見た目が買う動機になる」
「BULK HOMMEは、圧倒的な広告量とインフルエンサーへの集中砲火のイメージ。バックに映るインテリアも含め、シンプルで高見えするのもいい。たとえばGUが学生に需要があるのは、安いのに安くないように見せられるから。『この見た目で、この内容量と質』とギャップがあると買いやすくなる」
「スキンケアもメイクも、自分の肌と合っているかを気にする。その上で香りや見た目、テクスチャで比較する。流行よりも『自分がこうしたい』『これが合ってる』の方が大事。メンズ向け商品は香りや爽快感が強すぎるので、テスターがあるかないかはかなり大きい」
「第一印象は、パッケージとCM(好きな俳優)。 肌が弱いので、アルコールの量など成分も見ます。あとは匂い」
「小さいのに高いとか、大きいのに安いとかあるけど、値段に対して量が適切かを気にするようになった。そのあと、口コミや成分を見て買う。パッケージはあんまり見なくなった」
「一番はお店のPOP。その商品のポイントとか、イチオシかどうかとか。香水は持ち歩くものだからパッケージも意識するけど、スキンケア系は誰かに見せるわけではないし、パッケージはあんまり意識したことないかな。メンズコーナーに行って、パーッと見る感じ」

今回のリサーチから言えることは、SNSは一つに注力して運用するよりも複数活用して面で勝負していく必要がある、ということです。情報検索に限らず、彼らは日常的に複数のSNSを回遊しています。そこで触れる情報は膨大で、かなりのインパクトがないと、一箇所で触れるだけでは商品の想起に繋げることは難しいです。そこで複数のSNSで同時多発的に広告出稿や投稿をして「あれ、このブランドさっきも見た」「この商品最近よく見るな。人気なのかな?」とユーザーに思わせることで初めて想起してもらえるようになるのです。

また、彼らは、先述のような商品の想起から実際に購入をしたとして、その後の使い方についてもSNS上で検索をします。そのため、購入者のフォローをする視点での商品のHOW TOコンテンツも重要です。このように購入前~購入後のそれぞれのタイミングでユーザーが必要とする情報をきちんと提供していくことは、ユーザーをファン化させることにも繋がってくるので、SNSを活用したプロモーションを行っている方はぜひ各SNSやコンテンツの役割を一度整理してみてください。

(※1):東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2021年2月2日号掲載「WeeklyTopics」

堀 200×200

堀 かおり
2014年、電通テック入社。2018年5月より +tech labo の研究員となり、“Z 世代”を軸として開発業務を行っている。Z世代男子に向けてメンズ美容の情報を発信するInstagramアカウント「Boys Beauty」のプロデューサー。

https://plustechlabo.jp/