旬の野菜を摂って疲労回復!おすすめ野菜を紹介
「近頃、なかなか疲れがとれない」
「疲れにくい体を作りたい!」
疲労回復に大切なのは、食事・睡眠そして適度な運動です。
中でも栄養たっぷりの食事は、体力を底上げして疲れにくい体を作ります。
しかし、現代の食生活は栄養バランスが偏りがちです。
特に野菜不足については厚生労働省も警鐘を鳴らしています。[1]
今回の記事では、薬剤師が以下のことについて解説します。
疲労回復に役立つ栄養素とおすすめ野菜
それぞれの栄養素に合った調理法
簡単に作れるおいしい野菜メニュー
栄養いっぱいの野菜を摂って、効果的に疲労回復しましょう!
疲労回復には野菜が大切!?
健康を保つために必要な野菜は1日約350gです。
しかし厚生労働省の調査によると、野菜の平均摂取量は男性で290g、女性で270gにとどまっています。[1]
ほうれん草の小鉢に換算すると、1~2皿足りません。
十分な野菜を摂るためには、意識して野菜を食べる必要があります。
では、なぜ野菜を摂ると疲労回復に良いのでしょうか。
野菜には疲労回復に良い栄養素がたくさん
人間が活動するためにはエネルギーが必要です。
食事から摂った炭水化物や脂質をエネルギーに変えるために重要な栄養素であるビタミンや、疲労物質を取り除く成分が野菜にたくさん含まれています。
疲労回復のためには野菜を十分に摂ることが大切。
さらに効果的に疲れを取るコツは旬の野菜を食べることです。
旬の野菜は疲労回復に有利
野菜は季節によって旬があります。
近年はハウス栽培などで冬でも夏野菜を買うことができますが、旬の野菜の方が旬以外の時期に比べて栄養価が高いことが分かっています。
冬野菜の代表・ほうれん草に含まれるビタミンCを参考に見てみましょう。[2]
上のグラフから、旬の時期は通常の3倍のビタミンCを含むことが分かります。
季節を感じながらおいしく野菜を食べて、しっかりと栄養を摂りましょう!
疲労回復に効果的な栄養素とおすすめの野菜
野菜には、どのような疲労回復に役立つ栄養素が含まれているのでしょうか。
この章では、特に知っておきたい4つの栄養素を解説します。[3]
ビタミン
リコピン
β-カロテン
フィトケミカル
栄養素によって効果的な調理法があります。
おすすめの調理法と理由もご紹介いたしますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
①ビタミン
ビタミンは体の調子を整え、エネルギー産生に重要な栄養素です。
ビタミンが不足すると、エネルギー不足となり疲労がたまりやすくなります。
疲労回復にはビタミンを摂ることが欠かせません。
ビタミンと疲労について、こちらの記事で詳しく解説しています。
ビタミンは大きく分けると2種類に分けられ、それぞれのビタミンを含む代表的な野菜は次の通りです。
上記のビタミンのうち、特に疲労回復と関係が深いビタミンを見ていきましょう。
ビタミンB群・Cは水に溶けるビタミン
炭水化物や脂質からエネルギーを作り出すのに、重要な働きをするのがビタミンB群です。
また、ビタミンCはストレスを和らげるホルモンの分泌をサポートします。
それぞれ肉体的疲労、精神的疲労の回復に役立つビタミンです。
ビタミンB群やCなどの水溶性ビタミンは、名前の通り水に溶けやすい性質があります。
もし摂りすぎてしまったとしても、余った分は尿と一緒に外に出てしまうので安心です。
一方で、体の中にためられないので毎日摂る必要があります。
水溶性ビタミンは水に溶けやすいだけでなく、熱に弱い特徴もあります。
水溶性ビタミンを効率よく摂るのには、煮汁ごと食べられる調理法や加熱時間が短くて済むメニューがおすすめです。
例えば、サラダやスープは水溶性ビタミンを摂るのにぴったりの調理法ですね。
ビタミンA・Eは油に溶けて、体にたまりやすい
脂溶性ビタミンの中で疲労回復に特に役立つのはビタミンAとEです。
ビタミンAは「目のビタミン」とも呼ばれ、不足すると目が見えにくくなるなどの症状が現れます。
また、ビタミンEは血行を良くすることで、たまった疲労物質を運び出すサポートの役割です。
ビタミンAやEなどの脂溶性ビタミンは油に溶けやすい性質があり、肝臓や体の脂肪に蓄えられます。
通常の食生活では摂りすぎる心配はありませんが、サプリメントなどで摂取する場合は用量を守りましょう。
油と一緒に摂ると吸収が良くなるので、炒め物や揚げ物などがいいですね。
②リコピン
リコピンはカロテノイドと呼ばれる植物の赤い色素です。
トマトやスイカ、金時人参など赤い色素を持つ野菜などに含まれています。
カロテノイドのなかでも最も抗酸化作用が強く、疲労の原因のひとつである活性酸素を除去します。
美肌効果も期待されている注目の栄養素です。
疲労と活性酸素については、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。
リコピンは脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。
おすすめは真っ赤なトマトとチーズをスライスし、オリーブオイルを回しかけるカプレーゼ。
おいしくて、リコピンも効率よく摂れるのでぜひ試してみてください。
③β-カロテン
β-カロテンは緑黄色野菜に多く含まれる脂溶性の色素で、体内でビタミンAに変換されます。
ビタミンAは目の働きを助けるほか、呼吸器や腸管などの粘膜免疫を保つ働きがあります。[4]
粘膜免疫はウイルスや細菌が体内に侵入するのを防ぐ第一関門です。
疲れがたまると風邪をひきやすくなってしまいますよね。
元気な毎日を送るためにも、β-カロテンはぜひ摂りたい栄養素です。
β-カロテンは植物細胞の中に隠れているので、加熱や粉砕をすると吸収がよくなります。
人参やかぼちゃのとろりとしたポタージュスープは朝食に食べたい一品です。
④フィトケミカル
ポリフェノールやカロテノイドなどの抗酸化物質はフィトケミカルとも呼ばれています。
フィトケミカルは六大栄養素に次ぐ第七の栄養素として注目されています。[5][6]
以下に疲労回復に役立つフィトケミカルと、それぞれのフィトケミカルが含まれる野菜をまとめました。
アントシアニンは、なすや紫芋などに含まれる紫色の色素です。
目の中に存在するロドプシンという色素の再合成をサポートするため、目の疲れから肩こりやだるさを感じる人におすすめの成分。
なすの場合は皮に含まれているため、料理の際は皮ごと使ってくださいね。
アリシンは玉ねぎなどを切ったり、すりつぶしたりする時に発生するにおいの成分です。
疲労回復を助けるビタミンB₁とくっつき、疲労回復の効果を強めます。
ビタミンB₁を多く含む豚肉と一緒に炒めたものは、スタミナアップにぴったりな料理です。
ルテインは野菜や花に含まれる黄色の色素。
青い光を吸収する特徴があるため、ブルーライトから目を保護する働きがあります。
長時間パソコンやスマートホンを使う現代人は、ぜひルテインを積極的に摂りましょう。
ルテインと同じく目の疲れに効果的なアントシアニンと一緒に摂ると、さらに効果的に眼精疲労を癒します。
フィトケミカルは疲労回復だけでなく、アンチエイジング作用や免疫力アップ、肝機能の強化など、注目されている成分です。
疲労回復にぴったりな野菜メニュー3選
栄養素を単独で摂るよりも、組み合わせるほうが疲労回復に効果的です。
薬剤師おすすめの栄養満点な野菜メニューをご紹介いたします。
おうちで簡単に作れるのでぜひ試してみてくださいね。
①旬野菜たっぷりのトマトスープ
コンソメスープと旬の野菜を、トマト缶と一緒に煮込んだだけの簡単スープ。
どの野菜が良いのか、ぜひ下の表を参考にしてくださいね。
ビタミンやβ-カロテンなどの栄養価が高い旬の野菜と一緒に、強い抗酸化作用があるリコピンを含むトマトを合わせて、スープに溶けた水溶性ビタミンも丸ごといただきましょう!
②具だくさんのラタトゥイユ
ラタトゥイユはフランスにある南プロヴァンス地方の郷土料理です。
玉ねぎ、なす、ズッキーニ、トマトなどの夏野菜をオリーブオイルで炒めて、赤ワインを加えて煮込みます。
トマトのリコピンは油と一緒に摂ると吸収率がアップするため、オリーブオイルと相性が抜群。
赤ワインに含まれるポリフェノールは熱に強いため、煮込み料理に向いています。
ラタトゥイユをアレンジした野菜たっぷりパスタもおすすめですよ。
③目が疲れやすい方に!彩りサラダ
パソコンワークなどで目を酷使している人へのおすすめは、目の疲れに役立つフィトケミカルをたくさん含むカラフルなサラダ。
アボカドと蒸したかぼちゃに、紫キャベツや赤玉ねぎなどを組み合わせるだけです。
かぼちゃのルテインと、紫野菜のアントシアニンは目の疲れにばっちり。
アボカドに含まれているビタミンEは、血行を良くして疲労物質を運び去ります。
すりおろした人参のドレッシングをかけると、「目のビタミン」であるビタミンAもチャージできます。
見た目や味を楽しみながら食べると、心も満足して精神的疲労にも効果的です!
野菜をおいしく食べて疲労回復!
この記事では以下について解説しました。
野菜には疲労回復に役立つ栄養素がたくさん
旬の野菜を食べる
水溶性のものを摂るにはスープまでしっかり飲む
脂溶性のものは油と一緒に摂ると吸収率アップ
フィトケミカルを積極的に摂る
栄養素を組み合わせて疲労回復をサポート
いつも何気なく食べている食事も、栄養素という視点で見てみると面白いですね。
ぜひ栄養たっぷりの野菜を食べて、疲れにくい体を作りましょう!
【参照】
[1]厚生労働省 eヘルスネット>栄養・食生活>野菜、食べていますか?
[2]カゴメVEGEDAY>野菜の栄養・効果>野菜の栄養価と価格 旬と旬以外でどれくらい違うの?
[3]日本ニュートリション協会 サプリメントアドバイザー養成講座 ビタミン・ミネラル編
[5]ハウス食品>注目の成分「フィトケミカル」とは?種類と機能、さらに効率的に摂るコツ
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