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規格外野菜は無料で貰える物と思っている学生さんに知って欲しい事

規格外野菜に価値をつけたい私達

一般的に認知されている感じですと規格外野菜は流通に乗せられない廃棄される物だから無料で貰える物、という認識が多数派だと思います。
が、その風潮のせいか農家さんに「規格外野菜を無料で下さい」って言う人も増えていて、相手に失礼かもしれないって事ご存知ですか?
まず、私達としては規格外とされている野菜をプラスフードで受け取ってもらったりしてスーパー等で見かけない現実を知っていただき、そこから次のステップとして価値を感じていただき、最終的には廃棄や無料ではなく価値のある物として市場に出回る新常識を醸成していきたいのです。

何故、規格外野菜は無料と認識されるのか

予想としては子ども食堂さんやフードバンクさんといった所が農家さんからの無償提供を受けている、といった情報がちょっと調べるとすぐ出てくるからだと思います。
その結果、無料で貰える物=規格外野菜は無料という認識が多数を占めているのかなと。
確かにNPO団体のフードバンクさん等は1円たりとも代金貰ってはいけないルールですし、その活動自体は素晴らしいので広がるのはいい話です。
しかし一般の人々まで無料で貰える物と認識する事に農家さんへのリスペクトはありますか?と警鐘を鳴らしたいところ。
SDGsの活動をするために、食品ロス削減のために規格外野菜を無料で下さい!と農家さんに要求していると、相手の立場からすれば提供したいという気持ちにならない筈。
そういった相手を思いやれない自分中心の思考はSDGsですか?と言いたいところです。

先が生育不良となった不稔とうきび

海外では規格外野菜という概念が無い

食品ロス関連のイベントで海外在住の方に話を聞くと日本では「規格外野菜による廃棄」がある事自体に驚かれた事があります。
何故ならそもそも規格外野菜という概念自体が無いから、だそうです。
市場ではカゴにどーんと山盛りに陳列されグラムあたりいくら、で取引されるのが普通。確かにその売買だと形が多少悪くても関係なく売れていきそうです。
日本独自のこの規格という概念は流通技術が発達し過ぎてしまったが為とも言われています。運送しやすい為に形が揃ってる方が効率が良い。
そして売場としてもキレイになりやすいですし、買う側も楽です。

どっちが良い事か比較してみましょう。
海外のグラムあたりいくらの販売方法だと複数の野菜を買うと全て単価が違うので計算が複雑になりがちです。
お客さん側としても今自分がどのぐらいの買い物する事になるのか予測しづらくなります。
日本式の販売だと複数の野菜などを買っても大体何円だなとレジに行くまでに見当をつける事が出来るのはメリットではあります。
なので規格外の有無がどちらが良いとは一概には言えない筈です。

規格外野菜に価値をつける方法を考えて欲しい

私達が学生さんに考えて欲しい事は、この規格外野菜はどうやったら価値のある物になるか、という事です。
無料で野菜を貰って活用する事を考えるというより、もっと価値のある考察になる筈です。

プラスフードでは過去に様々な物が出品され、ユーザーさんには「これが出荷されずに廃棄されるなんて勿体ない!」と体験していただいております。
でも逆に「これは全然食べれなかった、本当の廃棄品を渡された」とお感じになったユーザーさんもいらっしゃいます。

「アスパラの根っこ」「ほうれん草の外葉」これが賛否分かれる代表例だったと思います。
アスパラは出荷する時に長さ27cmという決まりがあります。
30cmや35cmのアスパラを根っこ部分をカットしてこの規格を作るのですが、この時のカットされた部分・・・・
農家さんとしては「アスパラの旨みが濃縮された、実は美味しい箇所」という認識です。ホテルの料理人さんも「手間はかかるけどポタージュとかにすると良い部位」という認識。
しかし、一般のお客さんからすると筋張っていて皮を厚めに切って茹でても硬くて食べれないという事で不評。
ほうれん草の外葉も土が結構ついているので1枚ずつ丁寧に水洗いしないといけないので飲食店さん等では万が一洗い残しでお客さんに提供してしまった時のリスクを考えると使えないとも言われました。

収穫時に落下等して廃棄されるほうれん草の外葉

正当な価値のバランス

農家さんとしては味は同じでちょっと形が悪いだけのものを正規品と同じく値段をつけて欲しいと思うでしょう。
買う側としてはその使い勝手等も加味して価値を判断するでしょう。
このどちらかに偏る事なく、中間のバランス取れた状態が正当な価値だと考えています。

例えば上記のアスパラの根っこやほうれん草の外葉。
味といった品質部分は良いのですが、調理に時間がかかるとなるとその仕込みコストは飲食店が負担するのか?となります。
一般流通にのった規格通りの野菜に比べて1時間多く仕込み時間がかかったとして料理人が3人がかりでその作業等をすれば、3人分の時給分がコストになります。
その時、規格品も規格外品も同じ価格であれば当然仕込み時間が少なくてすむ規格品が買われるでしょう。
この要素に基づいての値段の違いはあっても致し方ないと考えてはいます。
ただ、無料で貰えて当たり前というのは農家さんに対しての評価を価値0円って通告しているに等しい事も考えて欲しいのです。

規格外野菜の廃棄量とは?

農家さんにお話を聞くと規格外野菜で市場に出荷しない分は畑に埋めて肥料に戻すから廃棄はしていない、という説があります。
確かに問題にしなきゃいけないのはゴミ処理場で廃棄処理される食品ロスという事であれば、処理場に持って行ってないから食品ロスじゃないという主張も出来るかと思います。
他に、規格外野菜を市場に出したら値崩れしてしまって自分達の損となるから出したくない、という説もあります。
そもそも上手に育成ちゃんとやれば規格外なんてそうそう出ないと語る農家さんもいたりはします。

しかし、山間部の果樹園等ですと熊が出没しやすくなるから畑に埋めるというのが出来ずに廃棄処理場にもっていかなくてはいけないという例もありますし、過去にプラスフードで人参を一カ月に3トンほど配布した事はありましたがその時札幌の人参の値崩れしたという話は聞きません
あとはどんなに上手な育成名人でも近年の異常気象等はちょっとお手上げだとも聞く事があります。

これらは食品流通を川で喩えると生産は川の上流にあたる部分です。生産は大規模生産でやりがちなのでここで起きる食品ロスも中々なボリュームだとは思います。
それに農家さん自体が「市場価格が値崩れしてしまう」という心配をする程の量が内在していると自分から言ってしまったようなものです。
が、これを正当な価格で買い手が評価する社会になれば農家さんの収入もあがり、食糧不足問題にもブレーキをかけ、より良い社会になると思って私達はプラスフードの活動をしているのです。

結論として農家さんに「規格外を無料で下さい」と安易に言ってはいけない事にご賛同いただければ幸いです。

最後に札幌で規格外野菜を飲食店さんに買ってもらう等の活動しているグループを紹介します。
「おもしろ野菜マルシェ」という大学生グループです。(2022年段階)

https://www.instagram.com/st_omoshiroyasai/

プラスフードも彼らが繋ぐ野菜を買って上手に活用してくれる加盟店さんを紹介するなどの協力連携をしていました。

https://www.instagram.com/gohanya_toutou/

ご飯屋桃桃さんがその野菜活用の名手の一人でもあります。
ただ、大学生も卒業していけば折角の活動も途絶えていったりする可能性があります。
出来れば創設メンバーの意志を継ぐ者が繋いでいく事を願っております。
このように実際に活動したい、活動しているという方々は是非ご連絡くださいませ。

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