言葉についての正確性。
『文字や言葉』を正確にとらえる力を育てておくと、テストの問題を解く際に、読み間違いが減りミスを1点でも少なくすることにつながります。
ある塾を創立された講師の、子育てに関する講話を聞きに行った時の話しである。
ご自宅での音読も正確にさせるといいですね。目で文字を見て、耳で言葉を聞くことで文字に対する力はかなり付きますよ。音読を適当にやらせてはいけないです。
(そりゃ、そうですわね。ハイハイ、頑張らせます。)
あと、言葉の言い間違い。
(ドキッ!!!!)
勉強のできるお子さんのおうちは、実に言葉に対して正確です。
(え!そうなの???)
親御さんが、実にしっかりしていらっしゃる。
(え、ごめんなさい。)
子どもさんがなにか言葉を言い間違えようものなら、正確な言葉をその場で訂正して言葉をきちんと身に付けさせようとしていらっしゃる。
(ちーーーーん)
そうなのね。
我が家では、まるっきり立場が逆であった。
先日、息子が10歳の誕生日を迎えた。
感染症を心配して、誕生日プレゼントは店頭まで買いに行かず、ネットで注文をした。
『ねえ、チビブロック何がいいんだったっけ?』
息子にたずねる。
『あのね、チビブロックではなくて、 ナノブロックね。』
『え?チビじゃなくてナノ? 2文字なところが合っていたわね!で、何がいいの?』
『東京駅!』
息子にも1度画面を確認をしてもらい、子ども達が学校に行った後、一人でゆっくりと注文をした。
そうして迎えた誕生日。
長男が目をキラキラさせて聞いてくる。
『ナノブロックの東京駅届いた?』
『うん、東京がまるごと作れるヤツが届いたよ。』
『違う、お母さん違うよ。東京駅だよ。』
『え?』
『多分、それ違うのだよ。』
『どうしてわかるの?』
『それも売ってたけど、ぼくが欲しかったのはこっち。ぼくも一緒に画面を見たから覚えているよ。』
慌ててサイトを確認している私の横で、長男が丁寧に教えてくれる。
確かに私が注文したブロックは『東京』で『東京駅』ではなかった。
『うそ!ごめんなさい。』
しぶしぶOKしてくれたものの、東京駅=東京だと早合点してしまう私は、10歳の少年にはどのように映ったであろうか。
息子の言い間違いまで指摘できるような母親になれるには、とても高いハードルが待っている気がしてならない。
この言い間違いよりもひどいのが、先日、息子たちをピアノのレッスンに送って行った時の話しである。
普段、車に乗って出かけるときは、たいてい、子ども達の好きなDVDを見せている。
いつものお気に入りはトムとジェリーだ。
私には訳のわからない追いかけっこが、息子たちには妙におもしろいらしい。
ただ、ピアノのレッスンに向かう際の車の中は、また話しが少し違ってくる。
練習が間に合わなかった日の場合、私の機嫌がすこぶる悪い。私の機嫌によって、いつもなら観せてもらえるDVDも子ども達は見せてもらえないのだ。
そして、私に話しかけようものなら『なんで練習がここまで終わってないの?いついつのあの時にこういう時間があったじゃない。あの時は何をしていたの?』と30分間延々と説教をくらうので、ふたりとも静かにしているのだった。全くもってダメな母親である。
先日ピアノのレッスンに行った日は、朝1度練習をした後『学校から帰って来てもう1回練習しようね』と約束していたのに、帰って来るのが遅くなり練習が間に合わず私は機嫌が悪いまま家を出てしまった。
私もここでトムとジェリーを見ていてもイライラがつのり息子たちへの小言しか出て来なくなるのが分かっていたので、精一杯自分を押さえようと自分の好きな曲をかける。
その時聞こえてきたのは、『ラ・ボエーム』の『ミミ』のアリアだった。
オペラの曲である。
弟はつまらなさそうに『DVDがいい』とポツンと言う。
長男は私に千歩もゆずってくれ『せめて椿姫の前奏曲にしてくれない?』と言う。
(こんなに子どもに気を使わせて、ただいま改めて猛省中です)
『前奏曲?オペラに前奏曲はないわよ。』
椿姫もオペラである。
『あるよ!前聞いたもん。』
『前奏曲ってイントロでしょ?そんなものありません。』
『あるって絶対!前聞いたから。』
だいたい私より息子の言っていることの方が合ってることが多いので、もう一度よく前奏曲について思い出してみる。
『あぁ。そうね、前奏曲ってイントロのことではなかったわね。
前奏曲ってなんだったかしら。』
ピアノ講師としては重症レベルである。
『前奏曲、前奏曲、、。』
長男が聞いたことのありそうな前奏曲と名のつく曲を必死に思い出そうとしていた。
前奏曲といえば、、、。
カルメンね!カルメンの曲のことかしら?
カルメン前奏曲ってゆうじゃない?
カルメンをかけながら歯磨きをさせていたわよね。
選曲を変えてカルメンを流してみた。
『この曲でしょ?』
『違うってば!だ、か、ら、椿姫の前奏曲!』
『え?どんな曲?歌ってみて』
長男の歌ってくれるメロディを聞いても全くわからない。
『椿姫の前奏曲さ、、、。なんで知ってるの?学校で習った?誰が教えてくれたの?』
『だから、ママだってば』
『え、そうだった???』
もう、この時点で練習してないことで起こった立場は完全に逆転してしまっている。
曲が浮かべば探しやすいのだが、椿姫の前奏曲がどんな曲でどこに入っているかもわからない。
『ママ、ホントに大丈夫?』
弟も心配そうにたずねる。
『うーーん、どうかな。』
自分でも確実に自信はない。
『だから、トムとジェリーに出てきた曲だったでしょ。これは椿姫の前奏曲だって前、教えてくれたよ。』
なるほど!トムとジェリーの曲ね。
『星空の音楽会』というタイトルの話しで椿姫の前奏曲をもとにストーリーが構成されているものだ。
ごめん!ごめん!
椿姫聴きながら、レッスン行こうか。
お母さんテストというものがあれば私は30点くらいかもしれない。
お子さんへの言葉のかけかたや気持ちを正確にとらえる力を育てておくと、テストの問題を解く際に、読み間違いが減りミスを1点でも少なくすることにつながります。
追記:トムとジェリーの『星空の音楽会』で使われている曲目は椿姫ではなく『こうもり』のオペラの前奏曲であったことが先ほど判明いたしました。お詫びと共に訂正させいただきます。
2020.04.23 14:20
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