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第4部 XR論=空間論:「実存」から「実在」へ(3)

3.「実存」から「実在」へ(3):ポストモダン思想から「新しい実在論」へ

ポストモダン思想はまさに脱構築の思想であり、それはある意味全てに対し、Noを突き付ける、あるいはすべてのことに対し、「王様は裸だ」とその虚構性を突き付けるものであった。そしてそれはその時代には意味もあったし効果もあった。そしてそれは、今度は全てが虚構であるのであれば、我々は我々の理想とする虚構を作ることもできる、今までマイノリティ扱いされて差別されてきた側が今度は力を持つこともできる、という構築主義の考え方へと繋がっていった。しかし、どちらにしても、世界の虚構性、世界は意識により構成されているし構成できるという点がそこでは強調されていることは否めない。そしてそれに対し、たとえそれが事実だとしても、われわれはやはり「あちら側」の世界であるモノの世界に対しある種のあこがれを持つし、「モノ」の圧倒的な力、圧倒的な他者性に打ちのめされると同時に引かれるのもまた事実である。世界の虚構性、構築可能性を強調するポストモダン思想や構築主義においても、決して「モノ自体」の存在を否定しているわけではない。ただ、そこには到達できないという事実が指摘されるとともに強調されている。「モノ自体の世界」は、「意識」においては到達することができないのである。

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