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9. 音としてのテクノ、音としてのノイズ

さて、今回お薦めするあくまで個人的な偏向音楽はこちら。教授こと坂本龍一氏のセカンドソロアルバム『B-2 unit』です。

発売が1980年ですので、既にYMOのブームは最高潮に来ています。その中でソロを出すということはYMOではない部分を出すのだろうなと当時の中学生だった私は思っていたのですが(というか、今考えてみると発売当初はまだ小学生だった計算なので、地方在住だった私は数年遅れて聞いたらしい)、聞いてみたら当時の地方在住の中学生には理解不能でした。でも、今聞けばその素晴らしさと先端性が分かります。80年発売ということは70年代のうちにもう、こんな音を考えていたはず。さすがは教授です。恐れ入ります。

内容は、まあ、とにかく聞いてくれ、としか言いようがないのですが、YMO=テクノポップという世論に対し、ポップじゃないこともできるんだよ、ということを示したかったのではないでしょうか。「テクノイズ」は評論家の佐々木敦氏の造語ですが、恐らくその背後にある姿勢は、音をモノとして捉え、そのモノ性を楽しむ、ということです。情緒や感情との関係として捉えらえることの多い音楽ですが、音は音だよ、それを楽しむのが音楽だよ、というメッセージがそこにはあるように思います。坂本教授と佐々木敦氏の見解は異なるでしょうが、日本のテクノイズを語る場合、というか世界のテクノイズを語る場合、これは外せない歴史的名盤です。

お薦めです。是非お聞きください。

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