「3776(ミナナロ)」による創世記にして黙示録!『The Birth and Death of the Universe through Mount Fuji』
待望の「3776(ミナナロ)」の新アルバム『The Birth and Death of the Universe through Mount Fuji』が届いた!そしていつものようにやられた!ノックアウトされた!これは買いであるし、買い以外の何ものでもない!
3776(ミナナロ)って何?という人はとりあえず以下の公式サイトを見て欲しい。が、このサイトだけでは恐らくその魅力は十分には伝わらないだろう。であれば次にYoutubeなどで「3776」あるいは「ミナナロ」で検索してほしい。そうすればこのアーティスト(敢えて「アイドル」ではなく「アーティスト」という言い方をさせてもらいたい)の魅力の一端が見えてくるだろう。
そう、「3776」こと「ミナナロ」こと「井出ちよの」はもはやアイドルという概念を超えているのに敢えてアイドルを名乗っているという意味で独自の道を行くアーティストである。というか「井出ちよの」という人物の魅力に「石田彰」というプロデューサー(以下「P」)の魅力が掛け算されたのが「3776」の魅力なのだろう、というのが私の見解であるが、とにかく、この3776、我々の期待をさらに超えていってくれる存在である。そしてその魅力はこの最新アルバムでも十分というか十分以上に発揮されている!
ネタバレというかコンセプトバレにならない程度に言えば、傑作アルバム『歳時記』や『3776を聴かない理由があるとすれば』がそうであったように今回もこのアルバムは単なる楽曲集ではない。楽曲はある意味「背景」として使われており、そこに様々なエフェクトがかけられるとともに、さらに3776こと井出ちよの氏による語りがかぶされている(その意味で「3776」ではなく「井出ちよの」個人としてもそのような語りや演劇の方向でも芸能の世界でプロフェッショナルとしてやっていけるはず!)。そう、このアルバムはもはやアルバム全体として一つの作品というか一つの演劇というかひとつの世界なのである。
アルバム自体を一つの「作品」「世界」として捉える「コンセプトアルバム」という「コンセプト」はビートルズが最初と言われるが、ここに来てそれが完成されたと言うかそれが次の次元、次の世界(Universe)へとさらに一歩進んだ、と言っても過言ではないだろう。そう、それこそがこのアルバムタイトルが示している「The Birth and Death of the Universe」なのである。アルバムを一つの「Universe」として捉えれば、このアルバムはその誕生(=「Birth」)に対するレスペクトを示しているとともに、その先、その終わりをも示している。しかしここでいう「Death」とは決して「死=終わり」ではない。一つのUniverseが終わるということは次のUniverseが始まる、ということなのである。
となると、期待されるのが今後の展開であろう。前回の『歳時記』のように映像化に進むという展開もあるだろうし、『3776を聴かない理由があるとすれば』の時のように再現ライブという展開もあるであろう。とにかく、我々ファンはもっともっと3776を見たいし、聴きたい、そしてその存在をもっと広く世の中に知って欲しいのである。ということで、まずは順番的に言えばこのアルバムの再現ライブであろうか。「再現」というよりも、このCDにおいては「背景」であった楽曲をむしろメイン=前面として出したライブも見てみたい。言い換えればPである「石田彰」の色を敢えて消した「3776」こと「井出ちよの」氏のライブを見たい!というのが今の私の正直な思いである。聞けば分かることであるがこのアルバム、決して「企画もの」ではない。ここで取り上げられている楽曲をできるだけ「素」の形でも見てみたいし聴いてみたい。というのは(というのも)「3776」は井出ちよの氏であり、井出ちよの氏こそが「3776」なのだから。
近い将来にその日が来ることを強く期待している。