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45.ポップの時代におけるロックへの回顧にして回帰!スーパーバンド「パワーステーション」の名盤『The Power Station』!

「80年代の音楽はどうも、、、」と思う音楽ファンは少なくはないであろう。そう、あのマイケル・ジャクソンが「キング・オブ・ファンク」でもなく、「キング・オブ・ブラック・ミュージック」でもなく、「キング・オブ・R&B」でもなく、「キング・オブ・ソウル」でもなく、「キング・オブ・ポップ」を名乗ってしまったように、やはり80年代の音楽はある意味「軽い」のである(しかし、マイケルはここに来て改めてそのルーツであるブラックミュージックの観点から再評価されているのではあるが)。

しかし、その「軽さ」に抵抗を示したバンドも、しかもホワイト側からいたことも忘れてはならない。あのデュラン・デュランのギタリストであるアンディ・テイラーが、自身の憧れの人でもあるロバート・パーマーに思い切って声をかけて、生まれたバンド「パワーステーション」がそうである。

まあ、このバンド名にしてアルバム名でもある『パワー・ステーション』、とにかくかっこいい!デュラン・デュランはある意味アイドルバンド的な存在でもあったのだが、「そうじゃない、それだけじゃない。俺達にはルーツがある!」という思いがここに見て取れるし、いわゆるホワイトソウルの第一人者であるロバート・パーマーはビジネス的に「これはイケる!」と直感して参加したのかもしれないが、とにかくこの組み合わせは最高である。しかも他にジャズをルーツとして持つ「シック」のメンバーなども参加しているのだからとにかくサイコーである!

おそらく目指したのは70年代ロックへの回帰とそれを80年代にやることの意義づけだろう。そしてそれは見事に成功している。新しくて古い、あるいは古くて新しい、つまりはこれこそが俺たちが好きな音楽であり、それには新しいとか古いとかいった流行は関係ない、というがこのスーパーバンドがやりたかったことなのである。どの曲がいい、というわけではなく、このアルバムのすべての曲が名曲である!

ちなみに、このバンドとしての「パワーステーション」は90年代にも、再びロバート・パーマーをボーカルに迎えての『Living in Fear』というアルバムも発表している(アルバム『パワーステーション』発売後のライブでは、実は他のボーカルを立てていた)。

こちらは正直、曲によっては「うーん」と思うものもないこともないのではあるが、しかし、逆に曲によっては「これ、これ!」と思うものもある。是非、両方、聞き比べてみることをお勧めしたい。80年代になっての70年代回顧がアルバム『パワーステーション」だとしたら(個人的な好き嫌いを言えばやはりこちらの方が好きだが)、『Living in Fear』は90年代になってから80年代と70年代を二重に回顧しているような不思議な、そしてそれ故に魅力的なアルバムである。







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