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オーガニックってなぁに?

「オーガニック」という言葉からどのようなことを連想するでしょうか?
きっと多くの人が「無農薬、体に良い、健康、安心」といったことを思い浮かべることでしょう。

日本では農法や無農薬にクローズアップされがちな有機農業ですが、実は私たちの暮らしや命に関係することであり、持続可能な暮らしそのものなのです。

今回は「オーガニックってなぁに?」をテーマにスピーカーの方にお話しいただきました。

スピーカープロフィール


福井 佑実子さん
株式会社 プラスリジョンの代表を務める。社名プラスリジョンには、常に「プラスする」のは「リジョン(融合)」の視点で、という活動方針を込めている。また、農林水産省六次産業化プランナーとしての顔も持つほか、日本代表としてI FOAM Asiaの理事に就任。

無視できないプラネタリーバウンダリーの概念

プラネタリーバウンダリーとは人類が生存できる安全な活動領域とその限界点を定義する概念のことです。地球の限界や惑星限界とも呼ばれます。

これからの社会はEVや再生可能エネルギーが標準となるように、農林水産分野ではこのプラネタリーバウンダリーを無視できない状況にあります。

日本の農業も、もちろんこのプラネタリーバウンダリーを無視できない状況にあります。実際に農水省が持続的発展と地球環境の両立の確立をするのが急務だとし、みどりの食料システム戦略を発表しています。

そこで注目を集めるのが有機農業です。

有機農業が無視できないような未来がやってくる、やってくるかもしれないという状況、そして未来の企業経営では、これらをベースにビジネスを考えるのが当たり前になっていくかもしれないという状況が私たちの現状なのです。

世界中で有機農業布教を努める国際NGO「I FOAM」

福井さんはI FOAMの一員としても活動しておられます。I FOAMとは50年近く前に設立以来、世界中で有機農業の布教に努めてきた国際NGO。今では世界100か国以上の約800以上の団体が加盟おり、その構成メンバーは格好の小規模農家、有機農業団体、有機認証団体、コンサルタント、研究者消費者やグローバル企業など多岐にわたります。

I FOAMは有機農業運動をそのすべての多様性においてリードして結び付けて支援することを使命とし、有機農業の原理に基づいた生態学的に、また社会的に、そして経済的に健全なシステムの世界的な導入を目標に活動を行っています。

国連とタイアップしながらSDGsの食と農の分野のガイドラインも作成にもあたっています。

オーガニックとは

I FOAMでは有機農業を「土壌、自然生態系、人々の健康を持続させる農業生産システム」と定義しています。

Organic Agriculture is a production system that sustains the health of soils, ecosystems, and people. It relies on ecological processes, biodiversity and cycles adapted to local conditions, rather than the use of inputs with adverse effects. Organic Agriculture combines tradition, innovation, and science to benefit the shared environment and promote fair relationships and good quality of life for all involved.

有機農業の4原則

また、I FOAMでは有機農業の4原則「健康 (Health)、生態的原理(Ecology)、公正(Faireess)、配慮(Care)」も示しています。

健康の原則 

この原則は、個人やコミュニティの健康を生態系の健康から切り離すことはできないことを指摘しています。

土、植物、動物、そして地球の健康を個々別々に分けては考えません。人の健康だけをさしているだけでなく、土の中にいる小さな微生物から私たちが住む惑星の健康まで全てがつながっていてそのすべての健康を考えることを示しています。

生態的原理の原則

生態系とその循環に基づくものであってそれらとともに働き、学びあい、それらの維持をたすけあうもの。

有機農業では農薬や化学肥料を使うと生態系に影響があるということで、生態系に配慮した農法を選択します。

公正の原則

共有環境と生存の機会に関して公平さフェアを確かのものとする。

配慮の原則

現世代と次世代の幸福と環境を守るため予防的かつ責任ある方法で管理すべきである。

有機農業は古い伝統ではない

有機農業とは「古い伝統の中に本質を見つけて、それを大切にして新しいやり方で未来につなげること」

実は新規就農者の中には有機農業に関心のある人が多いといいます。

福井さんは「ただ単に有機農業が農法に捉えられるのではなく、産地の持続可能性、若者を呼び込む一つの可能性、一つの方策になるのでは」と考えておられました。


学生スタッフ感想

無農薬にクローズアップされがちな有機農業。実際は私たちの暮らしや命に関係することであり、持続可能な暮らしそのものであることに気が付けるお話でした。

もっと大人になった将来。今のような生活を続けるにはたくさん考えるべきことがあるように思います。その中でも「食」というのは生活するうえで切り離せないもの。小さな取り組みは私たち消費者にもできるのではないかと思いました。

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