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【レビュー】SIGMA単焦点ズーム② 50-100mm F1.8 DC HSM | Artをフルサイズのfpで使う


はじめに

50-100mm F1.8 DC HSM | Artは、2016年4月22日に株式会社シグマから発売されたAPS-C一眼レフ用レンズです。

ズームレンズでありながらF1.8通しと明るいことや、全域で単焦点レンズ並みの解像力を有することが特長となっています。

また、本レンズはSIGMAのF1.8ズーム「18-35mm F1.8 DC HSM | Art」と双璧をなすレンズです。18-35mm F1.8 DC HSM | Artのレビューはこちらをご覧ください。

私は本レンズを2017年に購入しました。本記事では、アダプター(MC-21)を介して35mm判のSIGMA fpで使用し、その機能に触れつつ、外観や絞り毎の描写の変化、撮影した写真を紹介します。
なお、フルサイズでもズームの望遠側がケラれずに使用できました

以下、メーカーのリンクです。

※本レンズはAPS-Cカメラでの使用を想定されたものです
※本記事のAmazonへのリンクはアフィリエイトです

外観・使用感

以下に外観の写真を示します。

APS-Cで使用すると35mm判換算で75-150mm相当の本レンズ。大型のフードがその存在感を強めています。
なお、fpで使用するとこのフードで僅かにケラれてしまうので注意が必要です。

本レンズはインナーズーム・インナーフォーカスで全長が変化しません。そのためスチルはもちろん動画撮影でも重宝されているようです。質感も良好です。
ちなみに、AFについてはあまり期待しないほうがいいでしょう。私は速いと思いますが、迷うシーンがあり、動作音は大きめです。

重量およそ1.5kgの本レンズ。回転する三脚座が付いています。

これは外すことが出来ませんが、90°毎にクリックがあるなどシグマレンズ随一の質感で、三脚使用時の位置調整に有用です。

それにしても、fpに装着するとどちらが本体かわからないサイズ感です。
次は、本レンズをフルサイズのfpで使用した際のズーミングによるケラれの変化を紹介します。

ズーミングによるケラれの変化

くどいようですが、本レンズはAPS-C用のレンズです。したがって、フルサイズのfpでの使用では基本的にはイメージサークルが足りずにケラれます。

しかし、望遠端付近ではその影響が軽微でした。
後述のデメリットを承知していれば、フルサイズで100mm F1.8の明るいレンズとしても使用できそうです。

以下では、カラーモードはスタンダード、ISO100、中央のビルにピントを合わせて撮影した写真を掲載します。フードは使用していません。描写の参考としていただけますと幸いです。

50mm

広角側ではケラれますが、APS-C用レンズとしては大きいイメージサークルを備えています。

60mm

そのため、広角端でも1:1などアスペクト比を調整すれば使用できそうです。

75mm
85mm

85mmでケラれがなくなります。

100mm

フルサイズで使用するため当然周辺は荒れますが、周辺減光については絞ることで改善が期待できます。

絞り毎の描写の変化

次に、上記と同条件で撮影し、絞り毎の描写の変化を観察しました。焦点距離は100mmです。以下に中央部及び左下を等倍に拡大した画像とともに結果を示します。

F1.8

F1.8

F2.8

F2.8

絞ることで段階的に周辺減光が改善されます。

F4

F4

F5.6

F5.6

F5.6からF8までが最も描写のバランスがよいと思いました。

F8

F8

F8以降は何らかの要因でケラれているようですが、周辺減光は徐々に改善されていきます。

F11

F11

F16

F16

F16では僅かに回折の影響を感じますが、それでも中心部はかなりの高解像です。周辺部も絞ることで解像力が向上しました。

85mmの場合

先述の通り、85mmからケラれなくなります。上記と同条件で撮影した写真をかいつまんで紹介します。

F2.8

F2.8

F5.6

F5.6

100mmと同様、F5.6からF8の間が最もバランスが良いと思います。

F16

F16

ケラれが激しいですが、絞ることで周辺の解像力が向上しました。使用者やシーンによっては使えるかもしれません。

撮影した写真

撮影した写真を以下に示します。すべて望遠端の100mmで撮影しました。画質の参考になれば幸いです。

解像力については特に言うことがありません。すばらしい性能です。購入当時、カメラを始めて間もなかったわたし。このレンズを使っているところに「絞ると画質が向上する」と言われてもピンときませんでした。それくらい高解像です。

あえて難点を挙げるならば、重いこと、あまり寄れないことでしょうか。

しかし、各社の70-200mm F2.8の重量を考慮すれば、本レンズの1.5kgという重量は取り立てて重くはないといえます。

寄れないのも、一歩引いて撮影する焦点距離であることを考えれば、実際に困るシーンはそれほどありません。寄って撮影したい場合は、18-35mm F1.8 Artを使用するのが良さそうです。

また、18-35 Artと同じく、周辺部は糸巻き型の歪曲収差が発生します。APS-C用のレンズであり、本来使用しない範囲を使って写しているためです。

とはいえ、現像ソフトで補正すればよいことです。現行のミラーレス用レンズの補正を切って撮影しても同様の結果が得られることと思います。

APS-C用レンズでありながらフルサイズ用レンズと比肩できる性能だと感じます。建築など真っ直ぐなものを撮影する際には素直にフルサイズ用のレンズを使用するのがよいでしょう。

おわりに

本記事では、SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | ArtをSIGMA fpで使用し、外観や絞り毎の描写の変化、撮影した写真を紹介しました。

2016年に満を持して登場した本レンズ。18-35mm F1.8 DC HSM | Artと同様、その描写は単焦点ズームと言っても過言ではありません。

私はこれを買ったことで、多くのレンズを買わずに済みました。

開放から高い解像力を誇り、絞りは周辺減光と被写界深度の調節に使用するという認識で問題ないと思います。

fpではイメージサークルの関係から85mmから100mmが実用範囲と感じました。
フルサイズでの使用時はズーミングと絞りによる描写の変化に癖がありますが、それを承知の上で使用するのは個人的には面白い選択肢だと思っています。

もちろん、fpをAPS-Cクロップして使用すれば全域で問題なく使用できます
むしろ、画面全体で均質な結果を得たい場合はそうするのがよいでしょう。豊富なアスペクト比を設定できるfpで表現を模索するのも楽しそうです。

余談ですが、かつてsd QuattroやSD1 Merrillが私のメイン機だった頃、本レンズとSIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artの2本体制でよく撮影していました。

思えばそれは、一番シンプルで一番多くのものを撮影できる構成だったかもしれません。
フルサイズ、果ては44*33mm、いわゆる中判デジまで手を出してしまったいま、大型化するシステムと画質の関係の再構築を迫られています。

そして、それに欠かせないのがLマウントのFoveonです。

本レンズを売らずにおいたのもそのため。シグマさん、陰ながら応援しております。

フィルター経は82mm。私は以下のものを2017年から使用しています。

物足りない方にはこちら。GFXでもケラれないSIGMA Artのラスボスです。


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