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【求人多数】球団のグッズ担当(MD)ってどんな仕事?

皆さんこんにちは。PLMキャリアの藤井です。
スポーツ業界に興味をお持ちの皆さまのために開設したこのnote、実質的な第1回にあたる前回は『転職活動の準備【企業研究編】』として、球団職員への転職を想定した具体的な準備ポイントを解説しました。

今回は、ある意味でその続きとして、同じ球団職員でもより具体的な職種に絞って解説やアドバイスをお届けしたいと思います。具体的にはMD(マーチャンダイジング)と呼ばれる職種を取り上げるのですが、数ある職種の中でどうしてこのMDなのかと申しますと、実は今まさに、このポジションで多くの求人が出ているのです!

▼PLMキャリア マーチャンダイジング求人

この絶好の好機を踏まえ、今回はこの職種の具体的な仕事内容や必要とされるスキル・経験などを、そもそもなぜ今多くの募集が出ているのかという背景も含めて具体的にご説明していきます。また実は私自身、前職のオリックス・バファローズでまさにMD担当職員でしたので、当時の経験や実際に感じていたことなども踏まえて、詳しくお伝えできればと思います。

そもそもMDとは?

まず最初に、この「MD(マーチャンダイジング)」という職種自体、そもそもあまり聞き慣れないものかと思います。一応、言葉の定義としては以下の通りです。

MD=merchandising (マーチャンダイジング)                  一般的にマーチャンダイジングは、「商品化計画」や「商品政策」と訳されます。わかりやすくいえば、「商品をお客様に適切に届けるための戦略」という意味で、おもに小売業界で使われている言葉です。

小売・流通業界で働く人の情報サイト「ダイヤモンド・チェーンストア」より
https://diamond-rm.net/glossary/75052/

その上で(既にタイトルにも記してありますが)今回お伝えするスポーツ業界の話に関して言えば、要するに「グッズ担当」のことだとご理解いただければ大丈夫です。

野球ファンの方には、球場に到着すると、まずはグッズショップへ直行するという方も多いのではないでしょうか?実際にプロ野球ビジネス、特に球場ビジネスにおいてグッズは、お客様であるファンの皆さまとの重要なタッチポイントです。つまりMDは、プロ野球ビジネスには欠かせない、超重要な職種ということになります。

ちなみにグッズ担当の部署は、以前は商品部、商品営業部などの名称がよく使用されていましたが、現在ではパ・リーグ6球団も全てMD、もしくはマーチャンダイジングという部署名が使用されています。Jリーグ・Bリーグのクラブでも規模や販売タームは様々異なりますが、MDの業務に大きな違いはないと思います。

なぜ今MD担当の募集が活発なのか

それでは具体的な業務の解説を始める前に、なぜ現在、MD担当の求人が多く出ているのかという背景をお伝えしたいと思います。

ここ数年のコロナ禍において、プロ野球興行も2020年の開幕延期から始まり、無観客試合を経て、動員数の制限をしながら試合運営を行いました。これは即ち、お客様に球場へお越しいただくことが前提で行っていたビジネスが、そのままの運営では実行困難な状況に陥ってしまったことを意味します。この未曾有の事態はどの球団にとっても大打撃となりましたが、そのような難しい状況の中でも売上を作り、ファンの皆さまとのコミュニケーションツールとしても機能し続けた球団コンテンツのひとつがグッズだったのです。無観客でも、動員数が制限されていても、オンラインショップを中心にグッズ関連のビジネスを続けることで、球団の収益へ繋げることが出来ました。また球場にお越しいただけないファンの皆さまも、グッズの購入を通じて球団を応援して下さる形となりました。

このような背景から、継続的に球団の収益を上げるMD部門をさらに強化するため、今、多くの求人が出ています。つまり転職者目線に立てば、スポーツ業界に転職するチャンスが今最も広がっている分野の一つがMDなのです。


MD担当の業務

というわけでここからは、MD業務の概要をご紹介します。商品企画・店舗運営・EC・倉庫・ライセンスなど、球団の組織によって若干異なりますが、MD業務でもいくつかの担当領域が分かれていることが多いです。この場では、主要な業務である商品企画、店舗・EC運営について、具体的にご紹介します。

1.商品企画

まさに文字通り、球団のコンテンツを使った商品を企画する仕事です。球団の試合スケジュールに合わせて、コンセプト、スピード、コストなど様々な条件を踏まえて、売上に繋がる商品を考案します。ビジネスなので、企画のプロセスで製造元と打ち合わせをし、しっかりと利益を出せる商品を企画することも担当者の大事な任務です。球団によって多少の違いはありますが、グッズはおおよそ下記のカテゴリーに分類できます。

①定番系
主に球場でチームを応援する時に使うグッズです。ユニフォーム、キャップ、メガホン、タオルなど、シーズンを通して需要が高い商品なので、年間計画に基づいて企画・製作をします。

②メモリアル系
200号本塁打、新人賞受賞など、選手の記録達成時などに特別に製作する記念グッズです。記録達成を見据えて企画担当は準備を進め、試合を見守りながら、達成のその時を待ち…達成すればすぐに販売準備に取り掛かります。(この案件、とにかく忙しいです…!)

③イベント連動系
シーズン中に行われる試合イベント、ファン感謝デー、春季キャンプなどの企画に合わせて製作するグッズです。それぞれの企画主旨やビジュアルに各球団の特色がよく出ます。

④季節系
冬のアパレル商品や新春の福袋、バレンタインなど、季節に応じた企画商品です。普段使いできるアイテムもファンの皆さまから人気です。

⑤その他
各企画担当が工夫を凝らして企画する商品です。選手企画、キャラクターコラボ、EC限定受注商品などがあります。

このような商品企画の種類があることを皆さまはお気付きだったでしょうか?ぜひ次回、球場へ足を運ばれた際にはグッズ店舗へ立ち寄り、「これはどんな企画のグッズだろうか?」と商品企画の目線でグッズを手に取ってみてください。

 

2.店舗運営

©SEIBU Lions

店舗運営もMDの大切な業務です。たとえ良い商品を企画したとしても、店舗でしっかりと販売が出来なければ売上には結びつきません。プロ野球は原則3連戦ごとに試合カードが組まれるため、その都度の対戦相手にも合わせながら、最適な売り場作りや商品の品揃えを行います。また、ポイント施策や販売促進のキャンペーンを実施するなど、投入する商品の売り上げ最大化を目指します。試合前・試合後の時間がお客様の来店のピークとなりますので、どのようにオペレーションし、店舗を運営するかという点も、売上を伸ばす上で重要なポイントとなります。

 

3.EC(オンラインショップ)運営

©SEIBU Lions

コロナ禍で多くのお客様に球場へお越しいただけなくなった状況下で、ECはとても大事な球団の収入源になりました。以前は物販ビジネスといえば球場がメインでしたが、今ではECも主力チャネルです。商品企画については、オンラインの特性を活かした受注限定商品や即時性の高い商品等を企画します。また、販売についてはECのバナー画像や商品ページ等、ウェブ上の接客の工夫が必要です。今後は、オンラインイベントや実店舗との連動など、新しい施策を企画することも求められています。各球団のECサイトをビジネス目線で見たり、利用してみると様々な気付きがあると思いますので、ぜひチェックしてみてください。


球団MD担当で大変なこと

球団MD担当の業務の特徴は、スピードと慎重さの両方が求められることです。プロ野球独特のスケジュール感に慣れるまではこれらを両立させることが大変かもしれません。

まず、チーム状況に応じたその時々の商品展開のスピードがとても速いです。例えば試合で活躍する新人選手が出てきたらその試合中に新商品の企画を始める、あるいはサヨナラ勝利をしたら翌日には商品を販売する、といった具合です。この商品展開のスピードが、アパレルやメーカーなどのMDとの大きな違いかと思います。また、シーズン中の移籍で選手の陣容そのものが変わるほか、チームの成績も常に変動するので、商品企画にしても売上にしても、過去実績が参考にならないことが多く、その変化に応じてスピード感を持って判断し、柔軟に対応することも求められます。

このようにスピード感を求められる一方で、球団ロゴや選手肖像を扱う業務の性格上、色校正やサンプル確認など、かなり細かい監修作業が出てくるため、同時に慎重に物事を進める必要もあります。そして、その監修を適正に行うために、タオルやアパレルなどの素材の知識、加工方法、納期、コスト管理など、ものづくりに関する多くの知識を備え、より質の良い商品作りをすることが求められます。

このように、MD担当はスピードと慎重さの両方を持ち合わせ、それらを状況に合わせてバランス良く発揮しなければなりません。

とはいえ、もちろん最初から全てを完璧に備えている必要はありません。多くの場合、業務経験を積みながら必要な技術、能力、バランス感覚を身に付けていくことになります。いずれにしても、グッズというモノづくりの世界はとても奥深く、日々勉強です。


球団MD担当のやりがい

球団MD担当の一番のやりがいは、やっぱり「ファンの皆さまへ直接グッズをお届けできること」だと思います。球場で多くのファンの皆さまが応援歌に乗せてタオルを掲げ、笑顔で楽しく応援してくださっている姿を見ることは何にも代え難いやりがいを感じることでしょう。販売側では、試合に勝利した時や記念試合などに多くのファンの皆さまがグッズをお買い求めくださり、反応をダイレクトに受けます。チームも職員もファンも一体感が生まれます。

また、商品企画ではイメージが形となり、グッズとして完成した時には大きな喜びを感じられると思います。この選手をどうグッズにしようか?かっこいいイメージがいいか?いいキャッチフレーズがあるか?など選手のブランディングや売り出し方もよく議論をして商品イメージを作ります。選手からの意見や広報・宣伝部門と相談することもあります。ゆっくり時間をかけている余裕はないのですが、試行錯誤して産み出すグッズをファンの皆さまに手に取っていただけるやりがいは大きなものです。手にしていただいたグッズには、実は担当者が想いを込めてこだわって作り込んだ商品もたくさんあります。

私の経験談も少しお話します。私は3年という長くはない期間でしたが、球団MDを経験しました。自分が携わったグッズが発売される瞬間は、毎回欠かさず緊張感がありましたが、同時に「ファンの皆さまへ直接グッズをお届けできること」が喜びでした。一番印象に残っているのは、ラッキー7でバファローズの球団応援歌「SKY」が京セラドーム大阪の場内に流れる時に、スタンドのファンの皆さまが一斉にタオルを掲げてくださる光景です。現場で見ても、事務所のテレビで見ても心が動きます。MD担当だからこそ見える景色かもしれません。その景色の記憶は今の仕事の支えにもなっています。


どんな人がMD担当になれるか?

というわけで、MD担当の業務について詳しくご紹介してきましたが、いくらか仕事のイメージが掴めたでしょうか?

ここからは転職エージェント目線で、どんな人が球団のMD担当になれるのか、具体的にはどんな経験やスキルが必要なのかについて、実際の求人情報を見ながら解説します。今回取り上げるのは、埼玉西武ライオンズのグッズ企画販売担当の求人です。

求めるスキル・経験
・各種グッズ(キャラクター/ノベルティ/その他アイテム)におけるMD/企画/在庫管理等の経験
・店舗やECサイトの企画/販売/運営の経験
・グッズ販売等の予算管理の経験

いかがでしょうか。いくつか具体的に書かれていますが、抽象化してまとめると、要は流通・小売などの、いわゆる「モノ売りの経験」があることが求められています。これは見方を変えると、スポーツ業界への転職だからといって必ずしもスポーツ産業に直接関係した経験や技術が求められているわけではないということです。

実際にプロ野球球団へ転職された方の事例を挙げると、大手アパレルブランドで店舗運営に従事していた方が球場店舗担当として、メーカーで商品企画をされていた方が企画担当としてそれぞれ採用に至りました。スポーツ業界の外でのご経験が、そのまま球団職員の道へと繋がっています。実はかくいう私自身もそのパターンで、新卒入社の鉄道会社で、駅ナカ店舗の開発と現場運営を5年間経験しました。商品企画の経験はありませんでしたが、「どんなお客様へ・どんな商品を・どのように売るか」という流通・小売の基礎力はあると思っていましたので、球団の採用面接ではその経験をアピールしました。

ですので、現時点で上記のようなご経験やスキルのいずれかをお持ちの方であれば、必ずしも全領域レベルの経験がなかったとしても、あるいは直接スポーツ業界で働かれた経験がなかったとしても、道が開ける可能性は充分です。逆に学生の方や、あるいは現時点までは全く異なる職種の方であっても、上記のような経験・スキルを蓄積することを意識してキャリア形成していくことで、MD担当への道が開けると言えるでしょう。


まとめ

それでは最後に改めてポイントをまとめます。

・球団のMDとは、球団の収益を支える重要なグッズ担当
・商品企画・店舗運営・EC・倉庫・ライセンスなどの業務がある
・多くのファンの皆さまへグッズを届けるやりがい
・店舗開発・運営、商品企画、販売、EC運営などの経験が活かせる

以上です!

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