キラキラしてるのは未来か過去か、少なくとも今じゃないんだって(『常夜燈』/PEOPLE 1)
たとえば最近子供が産まれたアスリートとかがインタビュアーに水向けられて
「そっすね、これからはもっと頑張っていきたいすね、子供のためにも」
とか、まああれだよ、オフィシャルな場で聞かれたらそう答えるしかないのはわかってんだけれど、実際そいつ今日のゲームでゴール獲ったし、ああ、キラキラしてんなぁって。
未来がキラキラ輝いて見えてるんだろうなあって。
たとえば職場で、昔こんな仕事して好き放題やって全然売れなかったけど俺は10万人に広めたいんじゃなくて「ひとり」に深く、どこまでも深くぶっ刺したかったんだよ、とかもう老害も大概にしろって話で、後からああ、やっちまった、って吐くほど後悔してんだ。俺だよ。ああ恥ずかしい。
過去にキラキラまぶしちゃったよって。
「今」がいちばんです、「今」の自分がいちばん好きです、「今」が最高に幸せです、って言ってみたいなあ、誰も訊いてくんないから自分で自分にインタビューして、
「そっすね、今の自分がいちばん好きっすね。最新の自分が最高の自分っす」
とかほざいて、おいおい、おまえがキラキラをまぶした過去だって、これから来る悲惨か幸せかぼちぼちかわかんねえ未来だって「その時」は「今」なんだろうよ、などと禅問答的哲学に溺れてる自分に酔っている事実に気がついて唐突に泣き出し、インタビュアーを狼狽させたい。
そんだけ。
どう? とりあえず世界はキラキラしてる?
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