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『マイリーサイラス・プラスティックハーツ』アルバムレビュー【音楽】

マイリーサイラス

Plastic hearts

はいということで本日はマイリーサイラスでplastic hearts をレビューさせていただければと思うのですが、

今作はデビューから変化を続ける彼女の7作目のフルレングスアルバムになっており、 私生活でも音楽でも敷かれた道ではなく我が道を貫く彼女の意思がもっとも強くアルバムになっております。

2011年に長年続けてきた仮想の仮面ハンナモンタナを卒業し、

ポップスターのイメージを払拭するために努力を続けてきた彼女は2013年に発表された Bangerzにて大きく方向転換をすることで世間が彼女に向ける目線を変えました。

個人的には2017年に発表したYonger Nowのウエスタンロック感は好きでしたが、 今作はそんな変化を繰り返す彼女がまたも僕らの予想を裏切るような形で 超ヘビーな形で音を形成してきています。

1. "WTF Do I Know"

1曲目は重厚なベース音に合わせてマイリーのメディアに対しての怒りが歌われます。

これまでメディアのおもちゃにされてきた彼女が綴る

“I’m completely naked but I make it a fashion”という歌詞から彼女のかかってこいよという強い意思が感じられます。

サウンドもこのアルバムを開幕するには十分すぎるほど熱く重いので

この曲を聞いた段階でよりアルバムの期待が高まります。

2. "Plastic Hearts"は別れた前の夫リアムヘムズワースのことを歌っており、

Love me now, but not tomorrow

Fill me up, but leave me hollow

Pull me in, but don't you get too close (Oh)

という歌詞から彼女たちの複雑な関係が見えてきます。

独特のドラミングサウンドが曲に丸みを生み出し、

歌詞は尖っているのにサウンドは丸く空虚な印象を覚え

マイリーの心の状態をサウンドと歌詞の両方で上手に表しています。

しかし3. "Angels like You"では2曲目のツンケンモードから一変

淡いアコースティックがマイリーのリアムへの思いと後悔が切なく歌われているのですが、

2曲目と3曲目の対比の落差があること一気にアルバムに引き込まれていきます。

4. "Prisoner" (featuring Dua Lipa)

は前回レビューさせていただいたdua lipaのアルバムfuture nostalgiaを想起させるディスコ長ポップが80年代に時代を戻し、 題名の通り頭に中にトラップをかけられ、曲の中に閉じ込められます。

特に今作はサウンドがレディーガガやデュアリぱに影響されていることがここまで4曲聴いた段階でわかるかと思います。

6. "Night Crawling" (featuring Billy Idol)

映画ナイトクローラーを想起させる、ダークで雨の日のコンクリートを想起させるシンセの冷たい音と同時に溝に溜まった水溜りを硬いブーツで踏みつける力強いビリーアイドルの声の対比が融和した時にクラブで人々が踊り出す景色を想像される曲です。

短くインテンスにまとめられています。

7. "Midnight Sky"

この曲を聴いた瞬間、どこか映画ブレードランナーに出てくる

SFの近未来都市を想起させられました。

I was born to run, I don't belong to anyone, oh no I don't need to be loved by you (By you) Fire in my lungs, can't bite the devil on my tongue, you know

という強い女性を強調する歌詞からはまたもリアムを意識していることがわかります。

ここまで聴いた段階でこのアルバムは彼に当てたアルバムだと大体予想がつきますよね。

マークロンソンとのコラボ8. "High"はこのアルバムの中で個人的に一番好きな曲です。

余計な音は一切なくアコギと最小限のパーカッションのみで形成されたサウンドは無駄が一切なくその無駄のない音は煌びやかに感じるしどこか切なくも感じる不思議なサウンドを奏でています。さすがマークとしか言いようがありません。

このアルバム中で彼女の声が一番活きている曲だと思います。

And in my head, I did my very best saying goodbye, goodbye And I don't miss you, but I think of you and don't know why I still feel high

というコーラスがとてつもない焦燥感を残します。

最後の曲 12. "Golden G String"はマイリーのこれまでの経験と才能を詰め込んだ曲です。

もうこの曲を聞けばこのアルバムを理解したと言えるほど彼女の全てが詰まっており、

過去のアルバムのポップな要素サイケな要素、ヘビーな要素ノスタルジアな要素

もう全てが詰まっております。

Oh, that's just the world that we're livin' in The old boys hold all the cards and they ain't playin' gin

You dare to call me crazy, have you looked around this place? I should walk away

という歌詞はリバティンズのピートドハーティのような歌詞にどこかで聴いたことのある懐かしいサイケシンセサウンドのバラードが名残惜しい気持ちを残させアルバムにピリオドを打ちます。

全体的に見ると、

このアルバムはこれまでの彼女のどのアルバムよりも彼女の本音をさらけ出していると思います。

自分の道を突き進む彼女にしかかけない歌詞と

それを後押しする重厚なサウンドの中にもはや昔の彼女の面影はありません。

このアルバムはポップスターであったりロックスターという枠組みに囚われず、

音楽を通して一女性が伝えたい心の叫びにその重厚なのに寂しいサウンドから感じとることができると思うので皆さんもぜひ聴いてみてはいかがでしょうか。

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