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悲しみの向こう側

 こんばんは!アラタです!

昨日は、夏休み明けの生徒たちを迎えるために、黒板アートを書き、翌日に完成させようと考えているところです。

今日のテーマは「悲しみ」です。

僕が初めて悲しみを感じた出来事は予想もしない身近な存在でした。
今も、思い出すと切なくなるほどです。


何気ない日常

それは、小学6年生の頃のことでした。

僕を含めて13人くらいで、いつも仲が良く、にぎやかな学年でした。そのうち3人は重複学級でしたが、行事の際は一緒に活動していました。

その中で、とても明るくて、ちょっと強気な女の子がいました。

ここではAさんとします。

Aさんは、いつも笑顔でお笑いが大好きでした。

「はんにゃの金田さんと結婚する」

それが彼女の夢でした。

そんな彼女は持病を持っており、運動制限はあったものの、それ以外はみんなと同じように生活していました。

卒業まで残り2ヶ月となった1月。

3学期に入れば、“卒業“の2文字を意識し始め、話題にもよく出ました。


Aさん「ねえねえ、あと少しで卒業だね」

アラタ「そうだね」

Aさん「部活、何に入るか決めた?」

アラタ「まだ考え中だけど、野球部入りたいなって」

Aさん「野球か〜。私はね、陸上部!」

卒業後、中学部に入ったらどんなことがしたいか、話していたのを覚えています。

そして、中学部でも変わらずにこうやって話せる。

そう信じて疑いませんでした。


笑顔が消えた日

 ある日、いつものように帰りの会を終えて

「さよなら!」

みんなで、お互いにそう言って笑顔で別れました。

それがAさんを見た最後でした・・・。

疲れていた僕は、家に帰ってすぐ、布団を敷いて寝ました。

それから数時間。
目が覚めた時にはもう夜の8時になっていました。
寝ぼけながらテレビをつけて眺めていた時、急に母親にテレビを消されました。

びっくりして、母親の方を見るといつにもなく真剣な顔をしていたのです。

「落ち着いて聞いてほしいの。
Aさんが・・・病気で亡くなったの」

その一言を聞いた時、すぐに受け止めることはできませんでした。
頭をガツンと殴られたように、真っ白になりました。

そして、

「嘘だよね?
今日、帰るときに笑顔で『さよなら』って・・・」

そう尋ねました。
それに母親は何も答えず、黙ったままでした。


翌日、学校へ登校すると同級生のみんなは黙ったまま座っていました。

そして、朝の会の時に学年団の先生から、改めてAさんについて話がありました。

その話を誰もが俯いたままで手話をはっきり見ようとはしませんでした。
どこかで誰もが「嘘であってほしい」
そう思っていたのかもしれません。

沈黙状態がしばらく続いたあと、一人が我慢できずに泣き始め、それにつられるように全員が大泣きしました。

いつもいたはずのAさんが、もういない。
その事実を痛いほど知ってしまったから・・・。

人の死をこれほどまでに身近に・・・
しかも、同級生が亡くなるなんて全く考えもしませんでした。

あと少しで卒業できた。
みんなで笑って卒業したかった。

その思いばかりが胸を締め付けました。

この時に初めて、何度も大泣きして数日間は続いていました。

そして、卒業式の日はAさんの両親がAさんの代わりに卒業証書を受け取りました。

その姿を見た時にAさんはいないかもしれないけど、笑顔で卒業証書を受け取っている姿が脳裏に浮かびました。

紛れもなく、僕たちと一緒に
今、この瞬間、卒業した。

僕は、心からそう感じました。

悲しみのあとに

これが、僕が人生で初めて「悲しみ」を感じたことでした。

生きていれば一緒にもっと遊んだり、話したり、お酒も飲んでいたかもしれない。

そう思うと、やりきれません。

だからこそ、悲しみのあとに何をすべきかが大事なのではないかと考えています。

悲しみのまま立ち止まっては、これから先に出会う大切な何かを見落としてしまう。

それならば、悲しみも全て抱きしめて進んでいくしかない、そう思っています。

だから、僕はAさんの分まで一生懸命生きていく。
それが、僕にできることだと思っています。
そして、Aさんのことをずっと忘れずにいたい。

それを毎年冬に思い出しては、自分に約束しています。


今日は「悲しみ」について書きました。

では、また明日!

*連載小説『キミの世界線にうつりこむ君』

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